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59勤目

狼の獣人は驚愕していた。

「え?き、金貨じゃないか!?お姉さん!こんなに受け取れないよ!?」


「んーん、受け取って、それに前は反対だったじゃん?」

リンコはこの世界に1人急に召喚され、心細くなっていた時に彼がくれた鳥串と暖かい対応への感謝の意を示した。


「ありがとう…実は露店も壊れて来て金も無いから、もうそろそろ辞めようと思ってたんだ…コレで新しい露店を買えるよ!ありがとう!」

狼の獣人は内心、露店の老朽化から露店をもう諦めようと考えていた旨を打ち明けた。


「こちらこそ!また買いにくるね!」

リンコは鳥串を手にしながら礼に礼を持って返せた事で満足して落ち合う約束の場へと向かった。


「ま…毎度!!」

リンコの背へと狼の獣人は感極まりながらも見送った。


リンコが荷馬車に戻ると今まで見た事の無い資材と布をかけられた大きな物が載っていた。


…きっとダーメオとトバッチーリさん、何処か別の所に住まいを作る為に資材を買って来たんだ…

リンコは憶測の下、再び寂しい気持ちになった。


その後、リンコ達を乗せた荷馬車は来た道を戻り建物に着いた頃には荒野は夕陽に照らされ辺り一面茜色に染まっていた。


そんな茜色に染まる建物の側でモーモ達が何やら釜戸の様な物を作っていた。

「モーモさん達何作ってるの?」


リンコは荷馬車から降りるとすぐに好奇心から質問をした。


「あ〜…驚かせたかったんだけどな、バレちまったな…コイツは湯を沸かして風呂へ送る釜だ」

モーモは汗を拭うと少し残念そうに話した。


リンコは念願の風呂との言葉に目を輝かせた。

「えっ!?お風呂!?」


リンコの後方よりダーメオがモーモに悪態づいた。

「ったく…モーモ何バラしてんだよ?俺とトバッチーリなんてボロが出ない様に一言も話さずに帰って来たんだぞ?」


モーモは小さく謝ると荷馬車に乗る布の掛かった大きな荷物を指差した。

「あー悪い…でもどうせソレ設置したらわかる事だろ?」


リンコは自分に内緒で風呂を用意してくれていた事に驚き、そして喜びでいっぱいだった。


「え?アタシの為に皆んなお風呂用意してくれてたの!?」

リンコはこの世界に来て初めてのサプライズプレゼントに目を潤ませた。


しかし、後方から聞き覚えの無い男の声がリンコの気持ちを台無しにした。

「ハッハッハッ!見つけたぞ!クソブスオンナ!」


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