56勤目
リンコは建物の外へと出るとダーメオとモーモと何やら相談をしているトバッチーリの背に話しかけた。
「トバッチーリさん!」
「わ!な、何か用!?」
トバッチーリは今まで見せた事の無い驚き様だった。
「あ、あの今日グランニッカの城下町に行きたいんだけど乗せて貰えないかな?」
突如として黙る3人を前にリンコは要件を述べた。
「う、うん勿論!」
トバッチーリは二つ返事で了承したが何処と無くぎこちなかった。
リンコは不自然な3人の対応に少し不安な気持ちになった。
皆んな何話してたんだろ?何かアタシに言えない事でもあるのかなぁ…何か嫌だな…
…!
もしかして…出て行っちゃうのかな…?
…きっとそうだ…皆んなお金も出来たし、無理にここにいる理由も無いから…
もし、そうだとしてもアタシにそれを止める権利なんてないし、仕方ない…事だよね。
リンコが不安と妄想を膨らませているとダーメオの声がした。
「リンコ!準備出来たし出発しよーぜ?」
「あ、うん!」
リンコは返事をして荷馬車へと乗車した。
移動中、ダーメオとトバッチーリが口を開く事は無かった。
一方、その頃、中世のヨーロッパを彷彿とさせる白塗りの城の中、壁に沿う様にズラッと鎧に身を包む兵達が並んでいた。
その奥の玉座へと腰掛ける樽のような腹をした男、グランニッカ王国の国王クズメターボ。
その前に跪く、凛々しい長髪の男の姿があった。
国王クズメターボは長髪の男へと嬉しそうに話しかけた。
「よくぞ来てくれた大剣士アータ・マワールイ!ここへ呼んだのは他でも無い…大陸最強と謳われるお主の実力を持ってあの悪魔…クソブスオンナを亡き者にしてもらう為じゃ!」




