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53勤目

リピッツは余裕の笑みを浮かべ前髪を手で払うと剣を抜いた。

「フッ…いいでしょう、ならばまずは貴方から…」


クッサイもそれに合わせて背から2メートル近い大きな斧を掴み一振りした。


ブオッ!

クッサイが振った斧の風圧でリピッツの髪はオールバックの様になっていた。


クッサイは肩を回しながら名を名乗った。

「俺の名はクッサイ…一つ聞いとくがお前…子や親は?」


リピッツは剣を構えると小さく返事をした。

「…いや」


クッサイも斧を振りかぶった。

「そうか…なら…」


リピッツは余裕のある笑みを浮かべた。


…が、内心はそうでも無かった。


ちょっと待て…

このサイの獣人…先の戦争で千人斬りを成したクッサイじゃん!

…絶対負ける!てか真っ二つにされる!!

逃げるか!?いや、獣人兵団の手前そんな事は出来ん…ならば降伏…それも無理だ。


何か戦わずに済む方法は……そうだ!

「逆に聞こう…お前は子や親が居るのか?」


リピッツはクッサイに家族が居ることを願った。

頼む!居てくれ!


クッサイは一旦斧を下ろして答えた。

「ん?親とたった今再会したところだ」


神様ありがとうございます!

リピッツは神に感謝しながらも余裕の有る佇まいを装った。

「ならば数日…猶予を与えよう…」


クッサイは再び斧を振りかぶった。

「気にするな、俺は別に構わ…」

リンコは複雑な顔でクッサイに肘を押し当て話を遮ると顎でクッサイへとリピッツの足元を見るように促した。


クッサイはリピッツの余裕の笑顔から目線を落とすと脚は生まれたての子鹿の様に震えていた。


クッサイは斧を背へ戻すと溜め息混じりにリピッツに話した。

「ハァ…わかった、言葉に甘えよう…」


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