52勤目
リンコとクッサイが音の出元へと目を向けるとそこには前日の鎧に身を包む獣人の少女達…スカンクのギャルル達が立っていた。
ギャルルはリンコに手を挙げると口を開いた。
「昨日は世話になったっス!でも今日は昨日の様には行かないっスよ!?」
ギャルルはそう口にするとリンコに向け腹の前で小さく手を合わせ片目を瞑った。
どうやら昨日話した『戦った事にする』に口裏を合わせて欲しい様だった。
リンコは黙ったまま頷いた。
その後、獣人の少女達と共に両脇へはけた。
「なるほど…どんな醜悪な大女かと思っていたが、存外可愛らしい女性では無いか…」
その奥より美しい男の声と共に馬の足音と白馬の顔が姿を見せた。
え!…ヤダァ〜
もしかして本当に白馬に跨がる王子様!?
馬に乗る男の顔を見ようとリンコが見上げるが白馬の上に人の顔は無かった。
というより、リンコが全体像を見ると真っ黒の雄牛に跨がる…白馬…馬の獣人の姿があった。
って!
白馬に跨がる王子様じゃ無くて
『雄牛に跨がる白馬様』かい!!
リンコのツッコミも虚しく白馬は頭を下げてから1人自己紹介と来訪した目的を口にした。
「私はこの度クズメターボ様より貴女の討伐を命じられた、グランニッカ王国剣術指南役のリピッツ…僭越ながら私と命を賭けてお手合わせ願いたい」
「え?嫌です…」
リンコは即答した。
リスの獣人と兎の獣人はリピッツに狂っていた。
「え!?リンコちゃん何で断るの!?勿体無い!リピッツ様になら殺されても良いじゃん?」
は?バカか?
どんなイケメンでも殺されんの嫌だし!
てかコイツ馬だし!
リピッツは牛から降りた。
「残念ながら王の手前、貴女の拒否権は認められ無い…」
この馬、何勝手な事ばっか言ってんの!?
恐怖より怒りに染まりだしたリンコの前にクッサイが身を乗り出した。
「リンコ…だったよな?お袋の世話への礼だ、俺が代わりにコイツの相手してやるよ…」




