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46勤目

クッサイは以前にリンコが施しを受けた狼の獣人が営む屋台の前にちょうど差し掛かった。


屋台より甘く香ばしい香りがクッサイの食欲を駆り立てた。


クッサイは生唾を飲み、腰につけた巾着袋の中を見てから溜め息を吐いた。


盗賊を辞め仕事の無かったクッサイは既に金が尽きていた。


クッサイが屋台に背を向け立ち去ろうとした時狼の獣人はクッサイに声をかけた。


「らっしゃい!サイの兄さんちょうど焼きたてだよ!?」


「ああいい香りだな、だが、今腹は減って無い」

クッサイは金が無い為背を向けたまま手を挙げた。

その時クッサイの腹の虫が大きな声で鳴いた。


グゥ〜…。


「んじゃ、せっかく声掛けさせてもらったんだ…お近づきにコレ…腹が減ったら食べてよ!」

狼の獣人は察した様に袋に串を詰めてクッサイへと突き出した。


クッサイは一瞬固まったが振り返ると袋を受け取り小さな声で返答した。

「すまねぇ…」


「いやいやまた来て下さいね!…あれ?どっかで会いましたっけ?…」

狼の獣人はクッサイの顔をまじまじと見て口を開いた。


「…職を得たら必ず礼をする」

そう口にしてクッサイはその場を離れた。

そう、クッサイは食い扶持を得る為に仕事を探して歩き回っていたのだった。


クッサイの顔を見て引っかかっていた狼の獣人はハッとした様に手を叩き独り言を漏らした。

「ああ!確か千人斬りのクッサイ!…しかし、こんな何処で何してたんだ?」


クッサイは街の入り組んだ裏路地に入り壁にもたれ掛かって狼の獣人より受け取った久しぶりの食事に舌を包んでいた。


そこへ従者を5、6人従えた金回りの良さそうな人間がクッサイへと近寄り声をかけた。

「オイ、そこのデカいの…お前浮浪者だろ?このナナピカール様の元で働きたくは無いか?」


クッサイは目を輝かせて男に返事をした。

「なんだ!?雇ってくれるのか?」

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