45勤目
ギャルルは頭を掻きながらリンコの方に視線を戻すと話を続けた。
「とにかく…めんどくさいし戦う気無いから暫くしたら帰るんで、戦って引き分けた。みたいな程で宜しくっス」
リンコは複雑な顔で返事をした。
「あ、うん…」
た、助かった〜…。
すると獣人の少女達は布の上に寝転ぶとタンブラーの様な容器から紅茶を注ぎ、お菓子を口にして談笑を始めた。
ギャルルは立ち尽くすリンコに声をかけた。
「ねー…リンコもこっち来てお菓子食べないスか?」
リンコは突然の誘いに考え込んだ。
お菓子…食べたく無いわけない!
でももし…毒だったら…。
「…別に無理にとは言わないっス」
ギャルルは無表情で顔を背けた。
どうせ、また命狙われるんならお菓子食べてから死んだ方が得!
「食べる!!」
暫く甘味など口にしていなかったリンコがその誘惑に勝てる筈も無く気がつくとギャルル達と共にリピッツなる者の話をしながらお菓子に手を伸ばしていた。
リンコはギャルル以外が全員イケメンと連呼するリピッツに興味津々だった。
「ね?そのリピッツって人何してる人なの?」
リスの獣人は頬を赤らめて話した。
「王国の剣術指南役でイケメンしてる人だよ?」
リンコは白馬に跨がる王子の様な男を想像しながら返事した。
「へ〜、いつか見てみたいなぁ」
兎の獣人は首を振りリンコの肩を叩きながら答えた。
「いや!見たらヤバいよ?もう戻れない!超絶落とし穴!」
…超絶落とし穴ってなんだ?
まあいいか…とりあえずこの子らお菓子くれるし、害もないみたい。
暫くするとギャルルが眠いと言い出し獣人の兵士達はリンコに手を振り帰って行った。
同じ頃、先日リンコ達を襲い返り討ちに逢った元盗賊のサイの獣人であるクッサイは王国内を彷徨っていた。




