42勤目
雑巾がけはリンコが思っていたより体力を消耗した、そして何より床に寝転んだダーメオが邪魔だった。
リンコがボロ屋の奥へ奥へと雑巾をかけて行くと一つの部屋の前に差し掛かった。
そういえばここの部屋一度も空いているのを見たことが無い…
リンコはそっとドアに手を伸ばす。
「そこは寝たきりのサイトーさんの部屋…気難しいから入らん方がいい」
リンコの背に兎耳の老婆が声をかけて嗜めた。
「ありがと…でも心配だから」
リンコは寝たきりなら尚の事放っては置けないと考えドアを開けた。
しかし、リンコの目に飛び込んで来た『サイトー』さんの姿は規格外だった。
サイの頭に人間の力士の2、3倍は有る身体…
サイの獣人サイトーは身体が動かせないのか顔だけをリンコの方へ向けた。
「アンタがカボチャ持って来た女かい?」
リンコは返事をしながらもどうにか介助出来ないかを模索していた。
「あ、そうですけど…」
ジロジロと見るリンコの様子にサイトーは機嫌が悪くなって来ていた。
「フン…で、私に何か用かい?」
リンコは何の気無しに口を開いた。
「いえ、外に出れなくて…辛く無いですか?」
サイトーは眉間に皺を寄せてリンコを見た。
「なんだい?嫌味かい!?」
背中を起こす位なら何とかなるかな?
「いえ…ちょっと身体起こしてみましょうか?」
サイトーは怒鳴った。
「アンタみたいな小さいのに起こせるはず無いでしょ!」
リンコは一旦、サイトーの腕を掴もうとするが規格外の腕は太過ぎて掴む事すら出来なかった。
その時ナレートが聞こえた。
『ユニークスキル『命を運ぶ者』を使用しますか?』




