34勤目
しかし戦慄したリンコを他所に、牛の獣人は川を指差した。
「オイ、水引こうとしてんだろ?それじゃダメだ※『セキ』作らねーと」
※川をせき止めて水位を上げる物
どうやら獣人は敵意がある訳では無い様だった。
リンコは何も分からず牛の獣人に聞き返した。
「え?『セキ』って?」
牛の獣人は川に腕を入れ深さを見ていた。
「川の水は流れる量が一定じゃ無い、だからセキを作って水の水位を上げるんだ」
リンコは関心しながらも困っていた。
どうしよう、この牛…何か教えてくれてるけど全く意味がわからない…
「…」
牛の獣人は靴を脱ぐと石と木を手に取り川の中へと足を進めた。
「俺がやってやるから見てな」
「盗賊さん、詳しいね」
リンコは牛の獣人を何となく『まとも』だと感じ話しかけた。
先程まで自身で盗賊を名乗っていた牛の獣人は元の職業を語った。
「盗賊さんじゃねー、俺はモーモってんだ、それに俺達は元々、王国の建築と設計をやってたんだ…」
やってた…過去形、人間関係…いや獣人関係が問題とかで辞めたのかな?
「嫌になってやめたの?」
リンコはセキを作るモーモの背に話しかけた。
「嫌になる?まさか…爆発したんだ…厠の下に溜まったガスが引火して…いや昔の事だ忘れてくれ、ところで水を引いて何するつもりだ?」
え?厠ってトイレだよね?
そのガスが引火して…いやむしろそんな物理的な理由で!?
男は着々と『セキ』を作り川から上がって来た。
じゃ無いな、何で水路を引いたか聞かれてるんだった。
んー…何でだろ…。




