14勤目
袋の中を覗いた狼の獣人が呟いた。
「ソイツは…カボチャの種だなぁ」
「あ、ごめんなさい…お金持って無かったみたいです」
そう言ってリンコは頭を下げその場を離れた。
リンコは王の嘲笑う顔を思い浮かべ怒りに頭を怒りに染めていた。
あの樽腹髭ジジイ!
ん?そうだ…まだ500メートル離れてないな…
同じ頃に王国内で王と2人の従者とがリンコを嘲笑っていた。
「ハッハッハッ…あの女、石ころと穀物の種の入った袋を渡されて礼を言っておったぞ!」
「アッハハハ、陛下…あまり我々を笑わせないで下さいよ」
リンコは城へ向け振り返ると王と従者を想像して呟いた。
「…ゲリラゴン…」
『ゲリラゴン発動、ターゲット補足、3名の腸の蠕動運動が最大値となります』
直後、城の中で悲鳴と便臭が広がった。
再び進路へと向き直し歩くリンコの後ろから、先程の狼の獣人の声が聞こえた。
「お姉さーん!」
リンコはその声に振り返ると、狼の獣人が
笑顔で紙袋を渡して来た。
「はい、温かい内に食べて下さいね!」
リンコは紙袋を返そうとした。
「そんな!私お金払って無いし…」
狼の獣人は笑顔でリンコに商品を渡すと戻って行った。
「へへっそれなら出世払いで!じゃ毎度!」
リンコは深々と頭を下げ再び行く先の決まらぬ移動を始めた。
人間よりよっぽど優しいじゃん…