たぬちゃん、秘密の旅
子だぬきのたぬちゃんは、家を出発しました。
トコトコ トコトコ
トコトコ トコトコ
大きな栗の木の下に、栗が落ちてるよ。
痛っ! いが が刺さった!
今度は慎重に、栗を取り出して、ポケットにしまったよ。
トコトコ トコトコ
トコトコ トコトコ
畑に来ました。
キツネさんが、サツマイモの茎を引っ張っています。
キツネさん「よいしょ。よいしょ。なかなか抜けないな。」
たぬちゃん「手伝ってあげるよ。」
キツネさん「ありがとう!」
「「よいしょ。よいしょ。」」
スポッ
「「やったー! 抜けた!」」
キツネさん「こんなに大きいサツマイモがたくさん付いているのは初めてだよ。」
あと何本か抜いてから、サツマイモと栗を焼いて食べたよ。
ぱくぱく もぐもぐ おいしいね。
トコトコ トコトコ
トコトコ トコトコ
田んぼに来ました。
田んぼでは、稲が良く実って、稲刈りをしています。
たぬちゃんのおばあちゃんが、わら を干しています。わら の束をいくつか斜めに立てて、上の方を わら で結ぶと、テントのような形になります。
たぬちゃんは、わらを干すのを手伝いました。おばあちゃんは 簡単にやっているけど、たぬちゃんは わら で結ぶのが難しかったよ。
トコトコ トコトコ
トコトコ トコトコ
ぽんぽこ ぽんぽこ
太鼓の音が聞こえます。
ぽんぽこ ぽんぽこ
今日は 秋祭です。
ぽんぽこ ぽんぽこ
たぬちゃんも太鼓をたたきます。
ぽんぽこ ぽんぽこ
わっしょい わっしょい
たぬちゃんは、子ども神輿をかつぎます。
わっしょい わっしょい
(子ども神輿は、子ども達が手作りで作ったよ。)
太鼓の山車とお神輿は、村中を回ります。
(太鼓をたたいたり、お神輿をかついだり、順番にやりました。)
ぽんぽこ ぽんぽこ
わっしょい わっしょい
ぽんぽこ ぽんぽこ
わっしょい わっしょい
ぽんぽこ ぽんぽこ
夕方になると、8つの山車が並んで、ゆっくりと進みます。
ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ
ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ
ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ ぼんぼこ
ぼんぼこ ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ
神社の前まで来ました。
神社の前には、8つの山車が集まって、とっても賑やかです。
ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ
ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ
ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ
ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ ぽんぽこ
神社の前には、屋台が並んでいます。
たぬちゃんは、たこ焼きを食べたよ。
ぱくぱく もぐもぐ おいしいね。
トコトコ トコトコ
神社にお参りしたよ。
すると、
キツネさん「たぬちゃん。ちょっと、こっちに来て。」
たぬちゃん「え、何?」
トコトコ トコトコ
キツネさん「秋祭りが終わったら、土地神様と一緒に出雲に行く予定だったけど、サツマイモ たくさん持ちすぎて、ぎっくり腰になっちゃった。たぬちゃん、代わりに出雲に行ってくれない?」
たぬちゃん「いいよ。」
キツネさん「たぬちゃん、キツネになってみて。」
たぬちゃんは、頭に葉っぱを乗せて、キツネになりました。
キツネさん「尻尾がタヌキだよ。」
たぬちゃんは、もう一度 キツネになりました。
キツネさん「今度は、耳がタヌキだよ。」
たぬちゃんは、もう一度 キツネになりました。
キツネさん「すごい! 完璧なキツネになった! 怒られると怖いから、土地神様に気づかれないように気を付けてね。」
リーン リーン
鈴虫の声が聞こえます。
たぬちゃんはキツネの姿で、土地神様と一緒に牛車に乗ります。
土 地 神 様「キツネさん、ちょっと太った?」
たぬちゃん「秋祭で色々食べたから、太ったかも。」
たぬちゃんは、ドキドキしながら言いました。
牛車が空中に浮かんで、さらに空の上に上がって、西に向かって飛んでいきます。
たぬちゃん「わぁ~」
下を見ると、灯りが点々とあって、星空のようです。上には本物の星空があります。
土地神様は、紙に何かを書いて、紙飛行機にして飛ばしました。
たぬちゃんは、いつの間にか眠ってしまいました。
土地神様「出雲に着いたよ。起きて。」
たぬちゃんは、慌ててあちこち見直して、正しくキツネの姿になりました。
暗くて気づかれなかったみたい。
トコトコ トコトコ
入ると、大勢の神様と神使(神の使い)がいます。
宴会が始まっていて、ごちそうが並んでいます。
たぬちゃんは、ごちそうをお腹いっぱい食べたよ。
ぱくぱく もぐもぐ おいしいね。
その後、神様達は話し合いをしました。
たぬちゃんは、墨を磨る手伝いをしました。
白蛇の神使「キツネさん、目の周りに墨がついてるよ。」
たぬちゃん「! 洗ってくる。」
トコトコ トコトコ
たぬちゃんは、誰もいない所に行ってから、正しくキツネの姿になりました。
振り返ると、
たぬちゃん「あれ、どっちだっけ?」
トコトコ トコトコ
うろうろ うろうろ
トコトコ トコトコ
うろうろ うろうろ
トコトコ トコトコ
目の前に大きい石があります。
謎の声「これは、黄泉の国の入り口。黄泉の国は、死者の国だよ。入るかい?」
たぬちゃん「! 入らないよ! 神様がたくさんいる所には、どう行けばいいですか?」
謎の声「それでは、この ちょうちょ について行きなさい。」
ぼんやりと光る ちょうちょ が、ゆっくり飛んで行きます。
たぬちゃんは、ちょうちょ について行きます。
トコトコ トコトコ
トコトコ トコトコ
みんながいる所に帰ってきました。
ちょうちょは、いつの間にかいなくなりました。
土地神様「どこに行ってたの? もう帰る時間だよ。」
たぬちゃんと土地神様は、空飛ぶ牛車で帰りました。
トコトコ トコトコ
家に着きました。
たぬちゃん「ただいま~」
お 母 さ ん「お帰りなさい。1週間も たぬちゃんがいなくて、寂しかったわ。」
たぬちゃん「 1週間?!」
お 母 さ ん「出雲はどうだった?」
たぬちゃん「何で知ってるの?」
お 母 さ ん「紙飛行機が飛んで来て、そこに書いてあったからね。」
それから、たぬちゃんは、収穫と秋祭と出雲のことを話しました。
たぬちゃん「あのね・・・」
そして、話しながら眠ってしまいました。
楽しかったり、ドキドキしたり、素敵な体験をしたね。 ゆっくり おやすみなさい。
【エピローグ】
次の日の朝、たぬちゃんの家の玄関の前に、サツマイモが どっさり置いてありました。
料理好きな ぽんちゃんが、大学芋 と 芋きんとん の作り方を教えてくれて、一緒に作って 食べたよ。
ぱくぱく もぐもぐ おいしいね。
読んでいただき ありがとうございます。
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【たぬちゃんのお散歩】は、シリーズ作品です。
「たぬちゃん、春のお散歩」
「たぬちゃんとカピーとカエルの合唱」
「たぬちゃん、夏の大冒険」
「たぬちゃんとカルガモ3兄弟、冬の大冒険」
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