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転生?いいえ。天声です!  作者: Ryoha
── 1章 アルト編 ──
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021.植物の城壁

 魔法の練習から一夜明け、アルトたちはノーアを除く三人でダンジョンの探索を再開していた。ちなみにあのあと「神への祈りをイメージする」方法でホーリーヒールを試してもらったけど、うまくイメージできないみたいで発動しなかった。

 セーフ! いやアウトだって? そうですよ。アルトの貴重な時間を無駄にしました。ごめんなさい。


 道中はキラーラビットやゴブリン、シルバーウルフなどが現れることはあったが特に問題なく倒している。あれから新種の魔物も出てきてはいない。


 道を抜けると魔物の死体が横たわっていた。傷がほとんどついていないシルバーウルフの死体だ。火傷痕はあるので魔法で倒したのかもしれない。


「あれ……。 魔石回収してないわよね……」

「多分そうだな。……しかも1体じゃねえみてーだ」

「これじゃあまた魔物化しちゃうじゃない」


 アリアが不機嫌を隠す様子もなく解体をして魔石を拾い始める。……わかっていないのはわたしだけみたいだね。


『アルト。アリアの言っている意味わかる?』

『魔物の死骸の魔石を拾わないでおくと、魔物が復活することがあるんです。なので倒した魔物の魔石は回収することが冒険者ギルドで規定されています。回収してしまえば復活しませんから。特に魔物排出型ダンジョンでは魔物を氾濫させないという目的もあるので回収するのは絶対必要なことですね』


 なるほど。だからアリアは不機嫌になっているのか。でもなんで回収したら復活しないんだろう。そう思ってアルトに聞いてみると知らなかった。それが当たり前になっていて疑問にすら思わなかったらしい。不思議だ。


「あいつらかしら?」

「多分そうだろうな。他のパーティーどもは別の方向を探索してる。同じ方向を探索しているとしたら〈黒狼の影〉くらいだろ」

「何考えてるのかしら?」

「回収するよりも先に進むことを優先してるんじゃねえか? もしかすると魔物が復活したら他の冒険者を足止めできてラッキーくらいに考えてるかもしれねえけど」

「だとしたら悪質ね」

「そうですね」


 そのとき、アルトたちの進む方向で何かの咆哮が聞こえた。一瞬の沈黙を経て叫び声や悲鳴がこだまするように響いてくる。


「急ぐか?」

「そうね。不本意だけど。他の冒険者パーティーの可能性もなくはないし」

「急ぎましょう!」


 アルトたちは急いで叫び声のする方へ向かっていった。



 ◇◇◇



「ここ、かしら?」

「そうだな。悲鳴は聞こえないが吼え声はまだ聞こえてくる」


 アルトたちはダンジョンの森の中を探索していたはずだ。しかし目の前に広がっているのは、植物でできた檻。巨大な植物の城壁のようなものだった。

 その城壁は、繁茂した葉や花が絡み合ってできており、蔓が絡み合ってまるで植物たちが力を合わせて築き上げたように見えた。高さは十数メートルにも及び、その壁の厚さは隙間から光を通さないほどには分厚く見える。


「とりあえずこの植物の壁を壊さなきゃな。アリア。行けるか?」

「やってみるわ」


 アリアが魔法を発動するために精神集中を始める。

 わたしは植物の壁に〈天眼〉を発動した。


────────────────────

 名称:ヴァインプリズン

 魔物によって形成された植物の蔓の牢。獲物を中から逃がさないようにするために生成される。自動修復機能があり、破損やダメージを受けた部分は、植物の成長力によって素早く修復される。

────────────────────


 この中に冒険者が捉えられているのは間違いなさそうだ。しかもアリアの魔法で燃やそうとしても修復される可能性がある。


『アリアの魔法でも壊し切れないかもしれない。ホーリーレイの〈付与〉の準備をしておいて』

『わかりました』


「いくわ! ファイアジャベリン!」


 炎の槍が植物の壁に突き刺さる。その瞬間、ヴァインプリズンが激しく揺れ、燃え盛る炎が植物の蔓に焼けた穴を開ける。鶴の壁の厚さは5メートルはあろうかというくらい厚かった。さらに炎が燃え盛る中から蔓が伸び出し、炎を今にも消火しようとしている。


「まずい! 穴が閉じるわ!」


 アリアがそういうとほぼ同時にアルトが魔法を自身の長剣に付与する。


付与(エンチャント)ホーリーレイ! ぼくが道を開けます! ついてきてください!」

「わかった! 突っ切るぞ!」


 まだ煙が立ち込めているが急速に再生が始まった。アルトが光の剣を構えて走っていく。焼けた蔓や煙に立ち向かいながらヴァインプリズンの中へと入り込む。迫ってくる蔓を懸命に切り裂きながら前へ前へと進んでいく。


 抜けた! そう思った先にあったのは木を生やした小さな島?とその近くで倒れている冒険者たちの姿だった。


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