トライアンドエラー
トライアンドエラーが和製英語ということを知っているだろうか。
外国人からするとtrial and error.は自然だがtry and error.には違和感がある、らしい。
そして、日本人の私も、その点はなんとなく納得できる。
別に、間違った使い方をしているからといって、馬鹿にするつもりもないし、直せとも言わない。
少なくとも日本国内では当たり前の言葉として使われている以上、マジレスするのはナンセンスだから。
なぜ違和感があるかを、少し考えてみた。
辞書で「try」を調べると、意味は「努力する」とか「やってみる」とか、そういう意味合いが強い。
もちろん「試す」という意味もあるが、どちらかというと「ためしにやってみる」みたいな感じで、行き当たりばったり感がある。
それに対して「trial」を調べてみると「試験」とか「試み」とか。
ちゃんと準備をして、結果を測定する目的で「試す」というイメージが近いと思う。
trial and error.が「試行錯誤」だとしたら、try and error.は「実行錯誤」というところだろうか。
手探りでいろいろ試すのが、trial and error.
ダメ元で試すのが、try and error.
っていうのが、私の考え。
だから誰かが「トライアンドエラーを繰り返して……」って言ってるのを聞くと、捻くれた私は「この人は、ここから先も同じ失敗を繰り返すんだろうな」なんて、そんなことを考えてしまう。
過ちて改めざる是を過ちと謂う。昔の偉い人も言っていたのに、人間は学習しないな……なんて。
言葉を知ってるとかそれ以前の段階で、見下してしまう。もちろん口には出さないけれど。
みんなも言葉の使い方には気をつけよう。
ところで。
そりゃ、過ちて改めざるは過ちとして、つまりそれは「最初の失敗は、失敗じゃない」ってことにもなる。
最近の偉い人も言っている。「何もしないことが、一番のリスクだ」と。
失敗することを恐れるあまり、気づいたら茹でガエルになっている。
綿密な計画を立てることばかりに気を取られ、何一つとして実行に移せない人がいる。
実際のところ、やってみなくてはわからないことはたくさんある。
上手くいくかは、案外時の運だったりもする。
だから、何も考えずに挑戦するだけで、上手くいったり、上手くいかなかったりもする。
それでも、つまり「トライアンドエラー」するだけでも、なんとなくの雰囲気というのを掴むことができる。
改めて結論を書く。
トライアンドエラーっていうのは、泥臭い言葉なのだと思う。
トライアルアンドエラーと比べて、効率が悪い。というか、端から見ると、頭が悪いようにも見える。
バタバタともがき続けているような、無様な姿に映るかもしれない。
だけどさ、それが楽しいんじゃん。
すでに他の人が最適解を出してるとか、そういうのはどうでも良い。
あれこれ試して、上手くいったりいかなかったりで一喜一憂する。
安全に敷かれたレールを進むだけ。そんなのって、つまらないじゃないですか。
だから、エラーを恐れて何もしないのは、なんていうかもったいないと思う。
個人的には結局のところ、いつまでもトライアンドエラーを繰り返す人間でありたいんだと。
他の人が「どうするべき」とかまで、どうこう言うつもりはないけれど。