ひまわり畑に死体が埋まっていると見抜いたはいいが罪悪感で死ぬほどつらい
俺は探偵だ。
とある殺人事件の捜査をしている。
「ふん、死体が埋まっているだってぇ?
いったい何を言っているやら」
白を切るマクレーン市長。
「ええ、間違いありません。
アナタの不正を突き止めたアタリメー記者の遺体は、
このひまわり畑に埋められている」
「ふん、言いがかりを……」
「言いがかりかどうか試してみようじゃないですか。
今からこのひまわり畑を掘り返して、
皆様の前で死体を見つけて差し上げますよ」
俺は駆けつけた報道陣に向かって言う。
「まさか、ダメだとは言いませんよね?」
「ああ……無論だ。
わしは何も言わないぞ。
わしはな」
そう言って口端を釣り上げるマクレーン。
「オジサン……ひまわりを虐めないで」
うるうるとした目で俺を見つめる幼稚園児たち。
マクレーンが俺の作業を妨害するために呼んだらしい。
「だっ、大丈夫だよ、すぐに見つかるから」
俺は精一杯ほほ笑んで園児の頭を撫でる。
すぐに終わらせてしまえば問題ない。
――はずだった。
「くそっ……どうしてだ!」
俺は次々とひまわりを引っこ抜いて土をほじくり返していくが、一向に死体は見つからない。
早く見つければ犠牲となるひまわりは少なく済むのだが――
「おじさん……ひどいよ」
園児たちが抗議の視線を俺へ向ける。
罪悪感で死ぬほどつらい。
「くくく……どうした、探偵さん?」
不気味に笑うマクレーン市長。
もしひまわり畑に死体がなかったのであれば、園児たちをけしかけたりはしないはずだ。
間違いなく死体が埋まっている。
――間違いなく!
「じとーっ……」
園児たちから、報道陣から、野次馬から。
じっとりとした視線が向けられている。
本当は死体なんてないんじゃないの?
誰もが疑い始めている。
それでも俺は――自分の推理が間違っていないと信じる!
――どす。
スコップの先が何かにぶつかる。
……これは!
「あった! あったぞおおおおおお!」
俺はスコップを掲げて叫ぶ。
土を払いのけるとそこには布にくるまれた死体。
ついに見つけた!
「マクレーン、貴様を逮捕する」
「くそっ……」
警察に逮捕されるマクレーン。
これで一件落着だ。
「探偵さん、疑ってごめんね」
「いいんだよ」
謝罪をする園児の頭を撫でる。
いやー本当に見つかってよかったぁ!
「それにしても、どうしてここに死体があると分かったんですか?」
報道陣が俺に質問をする。
「え? カンです」
「……は?」
俺は最高に明るい笑顔を浮かべる。
そう……ひまわりのように。