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とりあえず生きててラッキー

目がさめるとそこは知らない天井だった。

ごめんなさい、嘘つきました。

俺はどうやら仰向けで寝っ転がっているようである。


知らない天井どころか建物の中ですらなかった。

澄み渡る快晴の青空。所々に小さな浮雲が浮いておりささやかに吹く風が雲をゆっくりと旅に出す。

雲はどこも目指すあてのない旅ビトのようにゆっくりと大空を旅をする。


雲を旅に出した風は俺が寝転がっている芝にも影響を与え、俺の頬を優しく撫でる。

母親が子をあやすかのごとく優しく、土の匂いと草の匂いをそえて。


「じゃねーよ!何、詩的な感じで語ってくれちゃってんの!俺!意味わかんねーよここどこ?天国か?俺やっぱり死んだのか?俺って天国に行けたのか。ある程度の非人道的なことしてたからてっきり地獄行きだと思っていたが」


イキヨイよく自分に突っ込みながらとびおきる。

見渡す限りの草、草、草!

大草原!


死ぬ前に草って結構言ってたからこんなところに飛ばされたのか?

マジ笑えるわ〜


とりあえず落ち着こう。

意識が戻ってこんなハイテンションとか血糖値上げまりだわ。

ハイ、吸って〜はいて〜吸って〜はいて〜。

あー空気がおいしい。


少し落ち着きを取り戻した俺はその場で空を仰ぐ。

どうやら俺は生きているらしい。

運良く?かどうかわからないが生きているようだ。


だってこんなしっかりと意識がある状態で死んでるとかないでしょ?普通に考えて。

新鮮な空気、美しい景色、それを感じる俺という存在。

生きてた〜ラッキー!


マジで死んだと思ったわ。

邪神め、最後のイタチっぺで自爆とか選ぶなっつーの。

諦めて潔く、くたばれや。


とりあえずここがどこか真面目にわからん。

勇者のみんなは無事なのだろうか?


死んでも死に切れないような化け物どもだから大丈夫だろうけど一応心配。

特に天将てんしょう君は防御力ないからなー。

攻撃力に全スキルポイント振り切ってるような節があるから、あの爆発の余波で大ダメージ受けてるかも。

そうならないように旅の序盤は基本俺が盾になってキュアーに回復してもらってたんだっけ?


ラプラスと契約してからは一才の魔法を受け付けなくなちゃったけど。


じっとしてるのもそんなに好きじゃないしとりあえず歩きますか。


俺は立ち上がってその辺を散策してみることにした。

 

見渡す限りの草原だがまっすぐ歩けばそのうちどこかしら人がいるだろうとおもった。


今の俺の格好は正直ひどい。

ボロボロの服になんとか恥部が隠れているズボン。

ぼさぼさの髪、あの激闘を知らない人が見ればおそらくホームレスに見られることであろう。


ラプラスもどっかいっちゃったみたいだし、テンション下がる。

にしても、本当草しかねーな。

うちの近所にあった大都会の中に謎にあった原っぱみたい。

どのありの大陸に飛ばされたのだろうか?


まぁ、俺この世界の共通語に大陸ごとの言葉、果てには魔大陸の部族ごとの言語喋れるバイリンガルマスターだからどこに飛ばされていようが問題ナッシング!


会話ができれば国境なんて関係なし!

金がなくてもなんとか帰れるでしょ!


そんな軽い気持ちで草原を散歩すること早5分。

遠目からでも見ればわかる巨大な生物がいた。


どす黒く、漆黒と呼ぶにふさわしい毛並み、その鋭い牙は全てを破壊し尽くすかのごとく鋭利でその牙を隠すことなく巨大な口を開けて、こちらに疾走している黒い犬。


見たこともないモンスターだなー。

犬型のモンスターって基本賢いし感が鋭いから相手が自分より格上だとわかるとすぐ逃げるけど、集団の連携や仲間同士のコンビネーションとかすごく厄介なモンスターなんだよねー。え?同じことだって。


だから珍しくもあるな。

基本犬型のモンスターは群れで生活するはずなのにあいつ群れからはぐれたのかね?

なんて考えていると犬型のモンスターが俺の方にだんだんと近ついてくる。


あれこれやばくね?

今ラプラス持ってないから俺攻撃手段なんて持ってないんですけど。

やばい、戦ったら絶対勝てない。

やばーこっちくんなぁ!


俺の願いとは裏腹に黒い犬は一目散に俺の方に走ってくる。

俺が振り返って全力ダッシュを試みるも黒犬は当然のように俺を抜き去った。

その時の突風で俺の体は少し浮き吹き飛ばされる。


うぉ!ビックリした。

なんだあいつ、あの焦りよう、あの黒犬いったい何から逃げているんだ?

俺は黒い犬が来た方向に目をやるとそこには女性が立っていた。


あまりの存在感にその姿から目が離せない。

絹のような長い黒髪にそれと相反するような白い肌。

一糸まとわぬその裸体はあまりにも素晴らしくまさに、ボンキュボン!といったグラマラスなボディー。

薄氷のような瞳にうっすらとピンクの唇。

美しいという言葉すら霞んで見えるほどの整った顔の右額には誰かしらから受けたであろう生傷が痛痛しく残っている。

その右手には金色の玉を持っており、左手をピストルのような形にして、黒い犬にむける。


もはや、豆粒程度の大きさに見えなくなった黒い犬に向かって裸の女性はゆっくりと標準をあわした。


「バン!」


そういうと二本指から輝かしい光線が迷いなく黒い犬の頭蓋骨を貫く。

遠目からでもわかるほど、黒い犬の頭は吹き飛び、黒い犬は自分の死因にもわからずに絶命し残った胴体だけがゆっくりと倒れた。


女性は西部劇のガンマンのごとくピストルの形にした手にフッっと息をかけるとその手を下にブランと下ろした。

どこか虚な表情の彼女は全裸のままその場に立ち尽くす。


すげぇ。あんな威力の魔力を立った二本指で制御してそれを正確に犬コロの額を撃ち抜くなんて。

昔ハーベストに魔力は大きければ大きいほど、扱いが難しくなると聞いた。

それを補助するの魔道具と呼ばれるものがあるのだが、それも無しにあれほどの魔力をコントロールするなんて。


例えるなら大量の電気をコンセントも何もなしで扱うみたいな?大量の水を何も使わずに吸い上げる的な?伝えづらいな、要するに素晴らしい芸当というわけだ。


「おおぉーブラボー!ブラボー」


そのあまりの手際の良さに俺はつい拍手を送りながら近づく。

少し前までの俺ならあまりの色気にやられていたところだが今は残念ながら俺の息子は引きこもり中なものでね。

エロいとは感じても反応はしない。

その代わり、俺の危機察知能力は早く逃げろと言っているのだがそうはいかない。

裸の彼女が持っている俺の金の玉を返してもらわなければ。

いや、変な意味じゃなくて。


それに、あまり敵意は持っていないようである。

せっかくなのだ、かわいい子ちゃんをナンパするのも一興であろう。

こんなダサい格好でナンパなんて相手に失礼かも知れないが向こうもすっぽんぽんなのでおあいこってことで。


「すごいね、お嬢ちゃん!まさに西部劇のガンマン!と言いたいところだけど相手が犬っころだったから猟師の方が正確かもな。あと悪いけどその持っている金色の玉俺のなんだ返してくれる?」


俺がそう言って人差し指をちょいちょいと曲げると金の玉はそれに反応するかのごとくいきなり宙に浮き俺の肩の少し上の部分で静止した。


「おかえり、ラプラス。お嬢ちゃんは、まぁだいたい検討ついてるけど人型にもなれたんだ。まさか女の子だったとは、性別なんて概念あるとは思ってもみなかった。とりあえず自己紹介でもしとこうや。お互いに死んだと思った中なんだから」


俺と同じ場所に飛ばされたのだろう、さすがにこの辺りに住む住人だとしても全裸で徘徊はまずありえないし。

彼女がもし本当に邪神なんだとしたら、先ほどの光線も説明がつく。

天正くんたち勇者一行が邪神と戦っていた時、邪神からの攻撃ビーム以外撃って来なかったからな。

圧倒的な魔力にものを言わせた単調な攻撃が邪神の特徴だった。

もしゲーム製作者があの邪神ラスボスを作ったのだとすればそのゲームはとんでもないクソゲーである。


裸の女性は少し寂しそうな顔をして口を開く。

ボーとしているのか、寝起きなのか頭が働いてなさそうな顔でしかしゆっくりと口を開く。


「私に名前なんてない」


数分何かを考えてようやく絞り出した答えがその一言っである。

虚な滅をこちらに向けたまま次はそっちの番と言いたげな目でこちらを見ている。


「そんな寂しいこというなよ、なんのために生まれて何をして生きるのか、答えられないなんてそんなのはダメだ!って国民的人気アニメの主題歌でも歌われてることなんだから。では次は俺のバンか。俺の名前は友城 優人。敵には厳しく味方と自分には優しくがもっとうのそこらへんにでいるどこら辺にもいるやつさ。おぼえておくといいぜ?」


俺はにっこりと笑って右手を自分は邪神となのる女性に差し出した。

そこから続くは俺の決まり文句。

初対面の相手でもある程度会話ができればこの言葉で落ちなかったやつはいない。


それがたとえ、人外だろうともな。


「別に覚えておいて損はないぜ?これからお前の親友になる男の名前だ」


邪神はその言葉に虚な目を丸くさせ、ゆっくりと呆れた顔で俺の手を握った。


「調子のいいこと、いうのね」


そりゃま、おれってお調子ものですから!

あの世にテー

「だからいったんだ!あの女を襲うのはよそうって!それなのに、にいちゃんやねぇちゃんたちが襲おうとするから!」


「仕方ないだろ!あんな見た目でまさかあんなに強いなんて思いもしなかったんだ!」


「いや、ほんとよねー。まさかあんなビーム連射するなんて思わなかったわ。最後に覚えているのはあの女がバンといったところで目の前真っ暗になっちゃたもん」


「あたしもあたしもー!」


「寝ているから大丈夫って、思ったのが運の尽きだったね!みんなでいたぶろうとか思ってたら瞬殺させられるとかはず!」


「ぼく逃げてるときすんごい怖かったんだからね!あんな殺気、生物がはなっちゃいけないよ!」


「まぁまぁ、もう済んだことは仕方ない。なぁ母さん」


「そうね、お父さん。ほらあんたたち、死んでからも喧嘩しないの!全く、この子たちは死んでも変らないんだから」


「なんで死んだことに対してみんなあっけらかんとしてるんだよ!アァ!僕は死にたくなんてなかったー!」


「「「「ドンマイ!」」」」


「うぁーん!なんでそういう時だけ息ぴったりなんだよ!」


以外と仲のいい黒ワンコ家族。

来世でも家族になれますように。

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