表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/51

ちょっπはちょっぴり?

困った時は神頼み?

 「天神神社」へ向かったのだが、実を言うと初めてだった。

 神と言う存在を否定する訳では無いけど、仏教にも興味が無かったんだよね。


 そんな俺が神頼みをする為に、神社へ向かう事になるとは思わなかったよ。

 作法なんかも知らないから、とりあえず鳥居を潜る前にお辞儀だけした。

 アーメン、ソ-メン的なやつはいらないよな?


 初めて来た神社は、何か神聖な感じを受けた。

 まぁ俺が小心者ってだけだろうけど。

 社殿へ続く石畳を歩きながら、キョロキョロと周りを見ていた俺。


 すると視界に1人の人物が目に入った。

 その人物は銀髪のショ-トカットで、顔は中性的な印象を受けた。

 パンツスタイルだし、男性か女性か判断が付かない。

 まぁ日本人には見えないので、観光客? なんて思ったよ。


 その人物は一瞬こちらを見たようだが、興味が無いようで視線が外される。

 俺もとにかくお参りしようと思い、歩くぺ-スを上げた。

 その時だった......。


「きゃあ!」


 突然の叫び声を聞き、その声の方向へ目を向ける俺。

 視線の先に見えたのは、今にも転げそうな例の人物だった。


 俺の身体はその光景に素早く反応。

 とりあえず受け止めないと! って思ったのさ。

 滑り込む様に倒れる身体の下へ飛び込む俺。


 次の瞬間......上からの衝撃があった。

 ゴツン。思いっきり頭を打ったんだ。


「いってぇええええ!」


 あまりの痛さに思わず叫んでしまったよ!

 だって石畳に頭を強打したんだぜ? 痛いに決まってるぜよ!


「だ、大丈夫? ごめんなさい」


 その声を聞き俺は我に返った。

 そう言えば人助けに飛び出したんだったっけ?

 頭を押さえながら顔を上げると、例の人物は赤い顔をしていた。


 恥ずかしがり屋なんだろうか? この時俺は呑気にそんな事を考えていた。

 だが次の瞬間。



 バシ-ンっと平手打ちを喰らった。

 いきなり叩かれた俺は訳も分からずオロオロ。


 その人物は真っ赤な顔で胸を押さえていたんだ。

 この状況で先程の事を思い出してみる。


 あれ? そう言えば何か柔らかい物に触れた気がする。

 でもアレはおっπじゃないだろ? だってちょっぴり膨らみがあっただけだ。

 ん? これはもしや? 噂のちょっπ何だろうか? 


「だ、だれがちょっπよ! しっかりあるわよ!」


 その人物改め多分女性は、そう言うなりもう一度平手打ち。

 俺は叩かれた衝撃を受けながら、頭で考えていた。

 

 ちょっぴりおっπ=ちょっぱいなら、しっかりおっπ=しっπ?

 ウンウン。間違いない!


「誰がしっπよ! あなたってめちゃくちゃ失礼な人ね!」


 泣きそうな顔で俺はそう言われた。あれ? もしかして口に出してた......。

 それに気が付いた俺は伝家の宝刀、ジャパニ-ズ土下座を繰り出した。

 もうね。謝らないと駄目だろ? 暫くその体制のまま動かない俺。


「も、もういいわよ。何かしらけちゃった」


 そう言われ恐る恐る顔を上げる。

 女性はため息を付きながら俺を見た。


「なんかすみませんでした! ラッキ-スケベ体験は初めてで」


「はぁ?! それ謝ってるつもりなの?」


 もはや呆れる彼女。でも何かツボに入ったのか、大声で笑いだした。

 俺はちょっと照れながら話しかけてみる。


「すみませんでした。それで貴女は観光か何かですか?」


「アハハ。え? そ、そうね。そう言う事になるのかしらね」


「そうですか。ケガも無いようだし、俺は行きますね」


「え? もう行っちゃうの? せっかく知り合ったんだから、少しお話しようよ」


 突然の申し出にキョドル俺。だって女子と面識なんて瞳ぐらいだし。

 目の前の女性はよく見るとかなり美形。

 それに目の色も日本人とは違う。


 銀髪に目の色は青い。身長は瞳と同じぐらいだろうか?


 そこで今更ながら思った。

 あれ? 日本語通じてるじゃん!

 


「私はアリス。本当はもっと長い名前なんだけどさ。アリスって呼んでね」


 彼女改めアリスは、ウインクしながらそう言った。

 ズキュ-ン。

 この時俺は恋に......落ちません。

 だって明らかに悪戯が成功した顔してるんだもん! 


「俺は守。マモルって友達には呼ばれてます」


 お互いに挨拶をした後、世間話をした。

 アリスは俺の話をウンウンと頷きながら聞いてくれた。

 話の内容は学校での事。普通の日常の話だった。


 何故かアリスが俺の事を聞きたがったからなんだけどな。

 アリスは自身の事も少し話してくれた。


 日本からはとても遠い国から来た事。

 その国は日本に比べると、違う事がとても多い。

 その違いについては詳しくは教えてくれなかったんだけどさ。

 でもアリスは国では友達が居なかった事も恥ずかしそうに教えてくれた。


「じゃあさ。今から友達になろうよ」


 俺は軽い気持ちでそう言った。だってボッチは嫌じゃん。

 俺も友達は少ないけど、女子のボッチは駄目だ。

 これだけ感じの良い彼女に友達が居ないなんて不思議なんだけどさ。


「マモルって優しいんだね。よしっ! じゃあ今から私とマモルは友達だ!」


 笑顔でそう言う彼女は、とても可愛かった。

 彼女と喋る時間は楽しくて、時間を忘れる程だった。

 でも夕日が差して来た事に気が付いた俺は、この楽しい時間を終わらせる発言をした。


「アリス。ごめん。俺そろそろ行かなきゃ」


「え? 何処か行くの?」


「えっと。ちょっとお願い事があってさ」


 俺の表情を見たアリスは、ここに来た理由を聞いてきた。

 だから俺は幼馴染が行方不明な事。手掛かりはあるが話せない事を言ったんだ。


 するとアリスはとても真剣な顔で言った。


「私達って友達でしょ? 私も一緒にお願いするよ!」


「え? 良いの? 詳しい理由は話せないよ?」


 そう言う俺の手を取ったアリスは、社殿へ俺を引っ張って行く。

 俺はなんだか嬉しくなり、足取りも軽く社殿へ向かったんだ。







◇◇◇





 神社ってさ。本殿はあるけど、お参りするのは拝殿なんだ。

 ご神体ってやつは、その拝殿の奥にある本殿に祀られている。


 ってそれぐらいの常識は持っている俺は、拝殿で立ち止まった。

 でもアリスはグイグイと拝殿の奥へ進んで行く。


 俺は慌ててアリスの手を引っ張ったが、お構いなしにアリスは止まらない。

 そのアリスの勢いに負け、俺は引っ張られるまま本殿に向かった。


「ねぇマモル。その幼馴染に会いたい?」


「うん。心配なんだ。だから神様でも誰でも良いから、連れ戻して欲しいんだ!」


 アリスは俺の言葉に笑顔で答え、本殿をさらに進んで行く。

 奥に行けば行くほど通路は狭くなっていく。


 迷いなく進むアリスを見ながら、俺は彼女は何者なんだろう? と思っていた。

 どれ程進んだだろうか? 


 通路はランプが設置されていたが、同じような光景が延々と続く。


 


 一体どれ程進んだのだろうか? 

 俺は進めど変わらない景色に飽きて来ていた。

 だが遂にその景色は終わりを迎えたんだ。

 通路が行き止まりに辿り着いたんだよ!

 


 行き止まりの場所には一つの扉があった。


「ア、アリス。ここって何なの? アリスはこの場所を知ってるのか?」


 アリスはその問いには答えず、握った手と反対側の手で扉に触れた。

 その瞬間......眩しい光が俺に降り注いだんだ。


 あまりの光に俺の視界は何も見えなくなった。

 どれぐらい経ったのか? 

 長い時間視界を奪われた俺の時間間隔は麻痺していた。

  

 だが徐々に視界が戻り始める。

 そして......。


 俺の目の前には、めちゃくちゃ広い空間が広がっていた。


「あれ? アリスは?」


 さっきまで側にいたはずのアリスが居ない。

 キョロキョロと周りを見渡すが、アリスは見つからなかった。


 そして先ほど見た扉も無い。

 どうしよう? ここはどこだ?


 自分の置かれた状況が理解できず、立ち尽くす俺。

 だがそんな時間も長く続かなかった。


 突然身体に異変を感じたんだ。

 先ずは寒気、そして頭がぐらぐらと揺れる感覚。


 とても気持ちが悪くなり、立っていられなくなる。

 俺の意識はこの後無くなった。

 でも意識を失う瞬間、俺を覗き込むアリスが見えた気がした―――


偶然出会ったのは不思議な少女アリス。


この出会いがマモルの運命を変えるのだった......

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ