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平凡な猫による異世界記録  作者: 弦祥 蓮
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2ページ目、魔物との遭遇

 森を超えた先には、草原が広がっていた。そして、その上には魔物、と思わしき生物が歩いていた。


 草原を撫でる風が、私の毛を揺らしたが、それに気づかない程私は目の前の光景に驚いていた。


草原の上には、半透明でプルプルとゼリーのような、所謂スライムが多くいた。


得体の知れないものが、目の前でひょこひょこ動いていたら、どう思うだろうか。


私は、思考停止であった。



数秒後、まさしく宇宙猫となっていた私の意識が戻る。



すると、目の前に異形な鳥がいた。

それに酷く驚いた私は、木の幹に爪をひっかけ、枝を伝って上へ上へと登っていった。


いつの間にか8メートル上にいた。木の上からスライムがいる丘の向こうに町らしきものが見えた。


町に行ってみよう。恐らくは人がいるはずだから。そうしてあわよくば誰かの飼い猫になったらな、とここまで考えて私が木に登った原因の事を思い出す。


鳥はこちらを見上げていたが、ゆっくりと羽ばたくと、私のいる枝の元までやってきた。

そして、私に問いかけをした。


「見た事の無いやつだな。新しいやつか?突然変異、いや別の場所から来たな?」



何故か鳥は人語、それも日本語を話していましたが、その時の私にはそれを疑問に思うような余裕はありませんでした。


兎にも角にも、この鳥の問いに答えようと考えました。


「ぅなぁぁあーぉ」


しかし、私の喉からは猫の鳴き声しか出てきません。


人と整体の似ているインコであったら、こんなことは無かっただろうと少しだけ猫になったことを恨みました。


「…お前、紡の魔法使えないのか?魔物なら本能で使えるだろ?」


つむぎのまほう。鳥はそういった。


後から知ったのですが、その魔法が使えればどんな言語も聞き手に合わせて変わるそうです。


インコだったら話せたということでは無いのでした。



それから、鳥は興味を無くしたのだろう、何処かへ飛んでいきました。


鳥が居なくなり、ただ一匹、木の上に残っている私は自分の置かれた状況を改めて考え直しました。


ここには、魔法がある。そして、魔物がいる。先程の鳥が猫を知らなかった為、恐らくは猫どころか普通の動物は知られていない。そんな中、魔物とも人とも違うとバレたら…?


無論、モルモットになるであろう。いつの世にもなんでも知りたがる博士がいるものである。


私は、そっとここでは魔物として生きていこうと決めたのだった。


しかし、私は先程の鳥が言うような魔法は使えない。そのため出来うる限り目立たつにいることが無難だろうと考えました。




故郷に戻るという考えはなかったのは、今世での一番の失敗です。


閲覧有難う御座いました。

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