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リセマラ部  作者: ツチイ・シンシュン
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第2章-1 理想と現実は全く持って違います

「俺には無理かもしれない」

 休日を挟んで再び集まったリセマラ部。そこで開口一言、俺はそう言った。

「何だあの覚えることの多さは。勉強なんか比じゃないくらい多いじゃないか……」

 ただ品物を売るだけじゃなく、作る技術も必要で、一度だけ道を尋ねられたこともあった。もちろんここに来たばかりの俺には答えられる術などなく、そこも亀城さんに任せっきりになってしまった。

「うーん。色んな物があって楽しかったけど、めんどくさかったよね?」

 一ノ瀬さんはコンビニの仕事を楽しんでいたみたいだが、最終的には色々文句を言われてあまり面白くはなかったようだ。

 そして、そのしわ寄せは最終的に全部この人に受け継がれる。

「玲音さんはもう少し物事を学んでください」

 亀城さんが頭を抱えて抗議するが、件の玲音さんはつまらなそうに聞いている。

「ちなみに言いますとコンビニは昨今多様性に長けている一方でその過酷な労働環境でブラックな一面が大きい企業になりつつあります。河西さんが覚えることが多いと言っていましたが、実際はもっと覚えることがあります」

「マジで⁉」

「はい。一つに郵便関係。三日前のコンビニの際に気付いたかは分かりませんが、郵便ポストがありました。それ以外にも普段家を留守にしている人がネットショッピングで購入した品を最寄りのコンビニに届けてもらうようにして、それを一時的に預かってもらうシステムがあります」

「郵便局か……面倒だな」

「他にも銀行関係もあります。ATMでお金を卸せるのはエイトテン以外のコンビニでも実装されていますし、水道料金や電気料金の支払いなどもコンビニで済ませることができるそうです」

「色々ありすぎだろコンビニ……」

 商店に郵便局に銀行かよ。ここら辺に郵便局や銀行ってないのか? 田舎じゃ絶対に埋まることがないほど広い駐車場を作るくらいの土地が余ってるけど、都会ではそんなわけにはいかないのかな? だからコンビニが色々やってくれているのかな?

「それに加えて24時間営業ですからね。常に人がいなくちゃいけない訳ですから慢心的な人手不足が影響して、コンビニは出来てすぐに潰れるを繰り返し、減少傾向にあるそうですよ」

「嘘だろ。俺の街には来る気配すらないのに……」

 コンビニと書かれたホワイトボードに銀行+郵便局と書かれ、尚且つ今労働力不足が追加された。こんな企業の店長になって、万が一社員がストライキを起こしたら俺24時間毎日働くことになるのか。冬には比較的何も無い農業よりも厳しいじゃん。

「これは厳しいかもな……」

「なら他の探そうよ! それこそリセマラ部の真骨頂!」

「また親族の方に謝るのですか……」

 沈む俺と、明るく乗り越えようとする一ノ瀬さん、更に落ち込む亀城さんの谷あり山ありの起伏の激しい感情の渦が部屋に立ち込める。

 ……さて、そろそろいいかな。

「何でもう部室があるの?」

 今までのやり取りが行われ、体験入社のまとめを書きこむホワイトボードが備えられていて、俺ら三人しかいない、この部屋はどういうことだ。

「そこだよ! そっこ!」

 一ノ瀬さんもいつの間にかできた部室に憤怒している――訳ではなく、その理由を俺はよく知っている。

「何でリセマラ部じゃなくて職業探検部なの⁉」

 そう。入口の上にはめられた部室のネームプレートにはリセマラ部、ではなく職業探検部と書かれていた。

 俺も一ノ瀬さんも来た時には間違いじゃないのかと思ったくらいで、中から亀城さんが出てこなければ軽くスルーしてしまうところだった。

「誤解を招くからです。リセマラとは、玲音さんが仰った何度もやり直せるという意味で当たってはいますが、基本的にスマホのアプリ、或いはオンラインゲームを指し示す用語に値します。ですので、その類だと勘違いされて入部されることを避けて、本来の趣旨がよくわかるような部名に変更させてもらいました。以後、リセマラ部は職業探検部の略称、俗語と言う形で使って貰って、学校に提出する書類には『職業探検部』と明記してくださるようお願いします」

 それに対する亀城さんの反論に、俺は何一つ口ごたえ出来なかった。真っ当すぎる。確かにリセマラ部のままだったらパソコン部の何人かがこの部に移ってきたかもしれない。

「本来の目的とは別、あらぬ方向に部の方針が向かないようにするためには必要なことなんです。玲音さんもしっかり理解してくださいね」

「……むぅ」

 最近の言葉を使いたがる習性がある一ノ瀬さんだが、何故かここだけは素直に聞く。この人も一応将来の為らしいからね。庶民には分からない悩みがあるんだろう。

「で、俺の質問何だけど」

「それについては一ノ瀬さんの力ですね」

「矢代高校にも一ノ瀬グループ関わってるんですか⁉」

 やべぇ! マジでやべぇ! こうなったら日本全国、俺の実家があるど田舎ですら手がかかってるかもしれない。無いとは思うけど一ノ瀬さんに不祥事があったら村八分、いや村から存在が抹消されるかもしれない!

「私は部室など必要ないと思っていたんですけど」

「部活なんだから部室が必要なんだよ! それに、私は他の人の意見も聞きたいの」

「他の人の意見?」

 一ノ瀬さんの思惑に俺は気づいた。

「もしかして、ほかの人も募集するんですか?」

「そうだよー。色んな人のやりたいことを聞いて、体感して、自分も気に入ればその道を選んでもOKにしようって」

 リセマラは基本的に既に用意されている種類からランダムに選ばれるが、我らがリセマラ部、否職業探検部は自分たちで用意する必要性がある。ならば人数が多ければ多いほど、思い浮かぶことが出来る職業数は多いということか。

「けれども、そう簡単に人は来ないと思いますよ? 大体の場合部活は趣味趣向を最優先に考えて選びますし。何より仕事を探している人ならばこのような部活に入る前にバイトでそれらしいところを探したり、後は専攻の大学や専門学校に受かるための勉強をするはずですよ」

「いーるーの! 私たちみたいに将来悩んでいる人たちが絶対!」

「私は今悩んでいるのですが……」

「すみません。俺がなんか余計なことを言ったせいで」

 リセマラ部の名付け親って元を辿れば俺だからな。

「そんなことはありませんから気を落とさないでください河西さん」

「そうだよ! 亮一と同じで将来何したらいいか分からないけど、めんどくさいのは嫌って人がいるかもしれないじゃん!」

「そっちの意味で言ったのではありません! それと河西さんに失礼ですよ!」

「いや、結構当たってます」

 元々は田舎暮らしが嫌で抜け出したみたいな節があったけど、実際は色々な因果が重なったから田舎を抜け出そうということになったに過ぎない。めんどくさいもその一つだと思う。

「とは言うけど、仕事って面倒なものばっかりだよね? 書類の確認とかあいさつ回りとか面倒だし……」

「一ノ瀬の一族として、恥じぬようそこは徹底してください」

 上も上でめんどくさそうだな。ますます店長なんてやりたくなくなってきた。

「ねえねえ綾野はどうやって仕事を楽しむの?」

 一ノ瀬さんが机にへばりながら亀城さんに問いかける。亀城さんの仕事と言うと一ノ瀬さんのお守り。基、一ノ瀬家の従者として働くこと。

 今は苦労をしているけど、将来――も苦労をしそうな亀城さんは何をやりがいにメイドとなるのだろうか?

「そうですね。私は玲音さんと一緒なら面白そうですから、それで満足できています」

「やだー綾野照れるよー!」

 亀城さんの率直な感想に一ノ瀬さんが照れる。

「毎日成長する子供のような存在ですからね」

「むっぎー‼」

 けど、それは友達と言うよりも親としての感想だった。

「言っとくけど私だって背がおっきくなったんだからね! おっぱいだって少しは」

「このように仕事以外に関連付けて仕事を楽しむのも一つの手だと思います」

「私をスルーするなー!」

 そっか。別に仕事が人生の全てって訳では無いからな。

「それ以外にも仕事の中で好きなことを見つけるというのもあります。仕事を長続きできるこつに、好きなものを仕事にするという方法以外に今している仕事を好きになるという方法があります。好きな物で仕事をするとなると道は狭いです。ですが、好きな物に関わる仕事となればかなり幅が広がります」

「好きな物を見つけるか……」

「田舎の人ってカブトムシ取りと畑づくりが好きなんでしょ?」

「いつの時代だ。今時の人は畑づくり何かしないしカブトムシ取りもしないからな」

 寧ろ俺はその土いじりが嫌で俺は田舎から離れたからな。

「じゃあ亮一は何が好きだったの?」

「そうだな……俺の場合は三平、町唯一の商店の息子がいち早く手に入れることができる漫画が楽しみだったかな? 書店がある街までは車でも30分以上かかる距離だから、自転車で行くとなると途方も無い時間が必要になるんだ」

「ふーん。何か普通」

「普通で悪かったな! 俺は田舎者の前に一般男子なんだ!」

 漫画はどこでも共通なんだ! ネットは山を越えられなくても紙は山であろうと海であろうと超えれるんだ!

「だとすると漫画家?」

「俺美術の才能無いしな……」

 そうなると美術部に行く必要性があるな。

「あれ? 扉の前に人影が見えませんか?」

「ん?」

 趣味をどうにかして仕事に括りつけようと試行錯誤していた時、亀城さんが異変に気付き、俺はその出土、扉の方に向き直る。

 そこには確かに、人影があった。スリガラス越しのため、輪郭しか分からないが、頭部の映り方からして背丈は小さい。一ノ瀬さんと良い勝負だ。

「きっと新しい部員さんだよ!」

 その一ノ瀬さんが飛び上がる。

「待ってください! その人が本当に」

「はいはいー! 今行きますからね!」

 亀城さんの説得も空しくそのまま飛び出して扉の前まで辿り着く。

 そして、扉を開ける。

「うわっ!」

「新しいリセマラ部の部員さんですよね⁉」

「えっ? あの、ここって職業探検部では?」

「はいそうです。ここは職業探検部で合ってますから。この人が言っていることは略称みたいな物ですので」

 一ノ瀬さんが捲し立てるのを亀城さんが止めて、一ノ瀬さんを元いた席にまで連れ戻す。

「どうぞお入りください。部活動の説明をします」

「あっ。はい」

 その一ノ瀬さんの後ろから現れたのは派手に輝く髪色をした女の子だった。

 長髪を両サイドで結ぶツインテールと呼ばれる髪型で、髪の色が黒ではなく黄、或いは金だけど、これはたぶん染めているのだろう。一ノ瀬さんの例があるから勝手に外国人扱いはしない方がいいか。

「あたしは宇梶御代って言います。ここって職業探検部って名前らしいけど、それってここら辺にどんな仕事があるか調べてくれるヘローワークみたいな部活なの?」

 そして俺の予想は的中する。立派な日本人だ。しかし一ノ瀬さんと言い凄い苗字の人が多いな東京は。

「違うよ! 調べるだけじゃダメ! 試すの!」

「はぁ? 試すって?」

 そうなるでしょうね。俺も初めて聞いたときは、えっ? て思いましたし。それがまさかの一日目から実現するわけですから、それは驚きでしたよ。仕事内容も色々驚きましたけどね。

「言ってる通りだよ! やってみて、これは駄目だと思ったらやり直す! リセマラ部の最大の利点だよ!」

 そのせいで俺には若干トラウマが出来ましたけどね!

「リセマラって」

「あ、リセマラはですね」

 宇梶さんが知らなさそうなのでリセマラの説明をしようとする。

「知ってるわよ。リセットマラソンの略でしょ?」

「えっ? そうなの?」

 が、さも同然と言わんばかりに言い返された。しかも俺の知らない情報を添えて。

「知らないの⁉ あんたそれっぽい顔してるのに?」

「それっぽいってどんな顔だよ!」

「ゲームしてそうって感じよ。妙なアクセサリー付けてないし、髪型雑だし、何か外遊びしなれてなさそうだからゲーム好きでしょうねって」

「スマホゲー何てここに来て初めて触ったから分かる訳ないんだよ!」

 もう何度も言ってるが、電波が無いんだってば!

「亮一って外遊びしてなかったの? 寧ろ田舎なら木登りとか川遊びが日常茶飯事なんじゃないの?」

「そんなことやってる間が無かったんだよ」

「あー。田舎人だったのね……」

「お前今失礼なこと思っただろ! なら、とっておきのことを教えてやる。俺は友達の家でエンジョイステーションをプレイしたんだぞ!」

「……あのね。そういう嘘は止めなって」

「嘘じゃねえ! 3Dだったんだぞ! 3D!」

「そりゃそうでしょうね。そんな時代遅れなことに興奮してても意味がないわよ。今なんて60FPSや4Kだって当たり前よ? けどね。ES4はネット環境が無いところだとほとんど遊べないわよ」

「……なんだその60FPSと4Kってゲームは。後ES4って」

「エンジョイステーション4のことでしょうが!」

「嘘だろ⁉ 俺2すらやったことないのにいつの間にそこまで出たんだ⁉」

「初代機⁉」

 都会の発展早すぎるだろ! ピーマンの収穫周期並みに早えよ! それとこいつのなぁなぁっぷりすげえな!

「そろそろよろしいでしょうか? リセマラの意味は理解してくださっていると思ってよろしいのでしょうか?」

「何の略語か、それを使っているゲームがどんなものかは分かってるわ。でもそれとこの部活の関係性が分からないわよ」

「リセマラと一緒で気に入らなければやり直すのがこの部活なの! だから御代もやってみたい仕事を探してみればいいんだよ!」

「何その夢物語形式。と言うか呼び捨て⁉」

 俺の時もそうだったんだよな。でも、それも今となっては納得だよな。

「でも実際できちゃうんだよな……この人ご令嬢様だし」

「お金持ち⁉ 何でお金持ちがこんなところにいるの⁉」

 俺も聞きたいです。

「一ノ瀬グループは、あっ。こちらの自己紹介がまだでしたね。こちらが部長の一ノ瀬玲音さんで、こちらが河西亮一さん、そして私が亀城綾香と申します」

「あっ。どうも」

 亀城さんが俺たちの紹介をしてくれる。そう言えば入りが凄かったから自己紹介がまだだったっけ。この感じ、一ノ瀬さんの時と似てるな

「改めて説明を再開させてもらいます。こちらの玲音さん何ですが、一ノ瀬グループと言う大手企業家、投資家の一族の一人でして、親族にあらゆる企業トップの知り合いがいらっしゃいます。ですので、宇梶さんが気になる企業までは流石に難しいですが、業種であれば準備することが出来ます」

「……本当に大丈夫なのこれ?」

 亀城さんの説明に、絶対関係者でないだろう俺に宇梶さんが問いかける。

「俺も思ったよ。でも、用意については問題ないから」

「賄賂貰ってる訳じゃないのよね?」

「そこまで落ちぶれてねえ! 寧ろ一ノ瀬さんが賄賂とか使うような人に見えるか?」

「……見えないわね」

 この見た目で騙されたらそれこそ演者だ。

「で、御代は何がしたくてこの部に来たの?」

「だから呼び捨て――もういいか。お家柄なのよね。なら私も遠慮なく玲音て呼ばせてもらうけどいい?」

「いいよ! と言うか綾香も亮一も私のこと呼び捨てでいいのに!」

「務める者として守るべき一線がありますので」

「不祥事が怖えから……」

 そんなこと平然とできる宇梶さんが凄いよ。

「で、宇梶さんは何かやりたいことがあるのか? 感じからしてゲーム関係?」

「止めてよね、あんたと一緒な扱い」

「俺はゲーム関係目指して無かったよ!」

「亮一は店長だったよね?」

「うっわ。物欲的」

「それはもう諦めたよ!」

 過去の話は止めろ!

「あたしはね。印刷業に興味があるの! 玲音、それは出来るの?」

「うん。確か親戚に東日本印刷社の人がいたよね?」

 宇梶さんの願いを聞いた一ノ瀬さんが亀城さんの方を向く。

 それに対して、亀城さんは頷く。あるんだな。

 でも何で印刷業何だろう?

 印刷業って確か……。

「待てよ……印刷業って何やるんだ? 新聞を刷るのか?」

 それくらいしか思い浮かばねえな。そもそも印刷業者なんて近くにいなかったからな。

「やっぱ田舎は今でも新聞頼りなのね。都会じゃスマホやパソコンで記事はいつでも見れちゃうのにね」

「それくらいしか思いつかないだろ⁉ それと俺は見出しの四コマしか見ねえからな!」

「別に自慢できることじゃないわよ」

 細やかな反抗なんだこれが!

「いい? 印刷ってのは原本を複数枚に写す。分かる?」

「馬鹿にしてんのか」

 それくらいは版画でもやってるから分かるわ。

「その原本って何があるかってあなた新聞しか思い出せない訳? 本よ本」

「本か。本、教科書?」

 横にかけてある学校カバンが目に入ってついその言葉が出てしまう。

「そっちじゃないわよ。いや、そっちでも入ってるかもしれないわね。特にあんたならありそう」

「俺ならってなんだよ?」

 さっきから俺下に見られすぎじゃね?

「電波が届かない田舎だからこそよ。あんたもしかして漫画って読まないの?」

「いや、好きだ。ステップのファンだし」

「ならよっぽどのことよ。よく考えて見なさい。漫画は同じものを作者が何回も書いていると思う? そんな訳ないわよね? なら必要となるのは?」

「! 印刷」

 初めは何かうざったい人だなと思ったが、こうして話しているとわかる。宇梶さんはこっち関係の話に詳しい。

「誰よりも先に、漫画が見れるって訳か!」

「そういうこと! もちろん漫画だけじゃないわよ。女性ならファッション誌とか最近の流行りをいち早く知れるのはメリットよ」

 これは先ほど亀城さんが話してくれた好きな物に関わるという話と合っている気がする。

 何もない田舎にとって最大の娯楽だった漫画。

 それは都会に来ても一緒で、大量の古本が売っているブックマンションに土日入り浸ったりもした。漫画の図書館だからな、あそこは。

「これって前みたいに全員で行くんだよな⁉」

「部員は全員参加だよ」

「なら俺も行くぜ! そのユートピア職場!」

「綾野ももちろんだよね?」

「今度はしっかりしてくださいね……」

 こうして今度は印刷業会に俺たちは、体験入社することになった。

 店長、この場合工場長にはなりたくない。長になってしまえば挨拶回りなど面倒なことが付きまとうに違いない。それなら一般社員になって最新漫画を見ながら優越に浸ってやる!

「ねえねえ。頼んだはいいけど、これって本当に出来る訳?」

 言ったはいいがどう考えても現実的ではないことに宇梶さんが俺に聞いてくる。

「あぁ。それについてはもうすぐわかると思うよ……」

「えっ?」

 まさか二回連続はと――思わなかった。

 この人は絶対にやる。

 その答えは、もちろん今日中に出た。

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