第78話 どこでも商売。田植えの見学
「ほんとにいいの?」
「はい。良いですよ。そのかわり、先ほどの件、お願いしますね」
相楽さんに花火を渡すことになった。
その対価として、ダンスに関する本の提供。
それと、今後ポップコーンを演劇の際に販売することの許可、取り分は俺7割相楽さん3割。
花火を魔法と勘違いして逃げ出してくれるのでは?と思い、購入していた品である。
個人的には、ねずみ花火が好きだ。
☆☆☆☆☆
相楽さんと話し合いをしたあと、シャルルさんたちのいる大広場へと戻ってきた。
「すみません。お待たせしました」
「いえ、全然待っていませんよ。」
急に俺に抱き着いてきたシャルルさん。
「私たちは、そろそろ、王都に戻らなくてはなりません。また会えますよね?」
「はい、会えます。領地をもらえれば、そこにいますのでいつでも会いに来られてください」
「では、サクヤ殿、成り上がるのを期待しておるぞ」
「娘を渡せるのは、あなただと思っております。頑張ってくださいね」
「はい、頑張らせていただきます。」
王様、王妃様の順にお別れの言葉を言われた。
船の乗船先まで見送り、別れを告げた。
船が見えなくなるまで、そこに立ち尽くした。
「ふぅー、やっと自分の時間だ。いまから、することが多いぞ」
『パチンッ』
柊さんの下に転移。
「あっ、お兄ちゃん。」
ちゃんころ、じゃなかった、にゃんころと戯れている綾瀬さんがいた。
「和菓子屋について、順調ですか?」
「うん。任せておいてお兄ちゃん。お店の構造もバッチシだよ」
「柊さんはどこにいますか?」
「守里ちゃんなら、みんなに、田植えをおしえているところだよ」
そんなに、柊さんと出会ってから時間は経っていないのに、守里ちゃん呼びになっている。
綾瀬さんは、人との関わり方がうまいんだろうな。
「ありがとうございます。向かってみます」
~田んぼ~
「そろそろ、休憩にしましょう」
柊さんの下まで歩くこと数分。
柊さんに任せている配下たちに柊さんが休憩の合図を告げていた。
田植えといえば、田植え機で田んぼの中を進んでいく作業を思い起こす。
機械があれば、昔と比べて労力も少なく、時間もかけずに田植えをすることができる。
だが、機械を10万円の資産ではショッピングモールで購入はできなかったのだろう。
田植えが手植えだ。
みな、足に長靴を履き、ビニールひもで長靴を抜けにくくしている。
足が水面に25cmほど埋まるみたいで、皆バランスを取りながら歩いている。
何人か、俺が来るまでに転んでしまったようで体中汚れている。
慣れるまで、大変そうだ。慣れても大変そうだけど。
「お疲れ様です」
俺は、みんなの前に現れた。
「お疲れ様。朝比愛くん。みて、順調だよ」
田んぼを指さす柊さん。
「はい。ありがとうございます。どうですか?困っていることありませんか?」
「今のところはないかな。今日は何しに来たと?見学??」
「見学もありますけど、お願いにも来ました」
「和菓子のこと?」
「ポップコーンの素についてです」
「ポップコーンってことは、とうもろこし??」
「はい。とうもろこしです。作ってましたよね?譲ってもらえたりしますか?」
「大丈夫だけど。どれくらい必要と?」
「演劇で見ているお客さんに売るくらい必要です」
それから、相楽さんに聞いた演劇の回数や1回の入場者数を伝えた。
「分かったよ。朝比愛くん。任せておいて」
「無理はしないでくださいね。柊さんや、みんなの身体のほうが大切ですから」
「あっ、それと、綾瀬さん連れて行きますね。」
「うん、分かったよー」
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