第72話 やわらかいぷにぷにだ。思い込みと爵位
ベッドの上では安心感がある為大丈夫だが、ベッド以外では歩けるのか?
そこが心配だ。
「シャルルさん。手を握っていますので、ベッドから降りて、部屋の中を歩きませんか?」
シャルルさんに右手を差し出しエスコートする。
「はい。よろしくお願いします」
シャルルさんの右手を受け取る。
柔らかいぷにぷにだ。
女の子の手って柔らかいよな。
同じ人間とは思えない。
俺、半分人間やめてますけどね笑笑
ベッドから、降りるとき両足が震えだした。
やはり怖いのだろう。恐怖なのだろう。
「大丈夫ですよ。倒れる前に支えますから。絶対にけがはさせません。安心してください。それにしても、シャルルさんは、おきれいですね。こんなにきれいな人は見たことがないです。将来の旦那様は幸せなんでしょうね」
「いえ、そんなことありませんよ?」
「お菓子はお好きですか?」
「はい大好きです。最近王都で流行っているチョコレート?と呼ばれる物を毎日食べています」
「お好きなら良かったです。今度、この街で甘いお菓子を売るお店を作ろうと考えているのです。もし、良ければ、今度買いに来てください。あっ、王都まで持っていくのが正しいですかね?」
王女に買いにこいだなんて流石に普通じゃないよな?
「自由に歩けるようになったらぜひ、買いに行かせていただきます」
「そうですね、1人で歩けるようになったら買いにこれますね」
「はい、1人で歩けるようになったら……えっ?わたし」
すぐに支えられる距離に俺は、いる。
先ほどまで握っていた手をほどいてだ。
今、シャルルさんは自分の足で1人で歩いている。
「ありがとうございます。サクヤさん」
「パパーママー」
シャルルさんは、急に両親の下へと走りだした。
突然の行動に驚く。
ここで、転んでケガをしたら、今までの下りが水の泡だ。
「良かったなシャルル」
「良かったわシャルル」
3人で抱き合っている姿をみんなで温かい目で見守った。
☆☆☆☆☆
「それで、サクヤ殿お礼がしたい。何なりと申せ」
みんなが落ち着いた後、俺は部屋のソファーに座った。
国王にシャルルさんが歩けるようになったお礼について言われている最中だ。
「では、お言葉に甘えて、王都に一戸建ての家が欲しいです」
シャルルさんは何故か、今俺の肩に頭を乗せて、眠っている。
疲れたのだろうか?
「分かった。シャルルの将来の婿になるかもしれないからな。大きいのを準備させよう」
不穏な言葉が聞こえたが無視だ。
「それで、サクヤ殿の爵位は何だ。階級を上げよう。子爵位が空く、それを渡そうか?キュアートの話では、子爵位の次男がやらかしたみたいだ。あそこは、不祥事が昔から絶えなかった。簡単なことで領民を鉱山奴隷にして送っているという情報も調べたところ分かった。爵位剥奪の書状も早馬で送っている。」
「自分は平民です」
「なんと、そうかサクヤ殿は平民か、医術の知恵もあり賢そうであるから、貴族かと思ったぞ」
「では、子爵位授与で良いか?」
「あの、お願いがあるのですが」
「なんだ?」
「自分、成り上がりたいと思っています。一番下の爵位からです。いきなり、子爵位になったとして、直ぐにシャルル様と結婚した場合、王様への不満が高まることかと思います。そのため、準男爵から、功績をあげ、成り上がりたいと思います」
「なるほどな。あい、分かった。サクヤ殿がそういうなら構わんだろう。準男爵家からか。実に面白い。一世代限りの爵位なら、簡単に手続きも終わるだろう。さっそく、王都に帰ったら、手続きをしておこう。手紙は、キュアート宛に送れば良いか?」
「はい、もしも成り上がれなかった場合、それまでの男だったということで。シャルル様にふさわしくない男だったと思ってください。キュアートさん宛で大丈夫です。よろしくお願いします」
「準男爵家といっても、領地は、爵位剥奪する子爵家のところを任せるつもりだ。成り上がるならそれくらいできるだろう?考えもありそうだしな」
俺の心を読むかのように、そういう国王様。
お読みいただきありがとうございます。




