第69話 和菓子とお茶っ葉
翌日の昼、平民上がりで、農業経験者の者と魔法使い・農業に興味のある者を連れて柊さんの下を訪れた。
「どうしたと?こんなに大勢で」
田んぼでせっせと励んでいた柊さんに声をかけたら、そう返事が来た。
首に巻いているタオルで顔についている汗をふいていた。
「この周りの土地を買い取りました。柊さんには、自由に使ってもらい、収穫の5割をいただきたいのですが可能ですか?」
「あっ、もしかして、昨日の激しい風の音、朝比愛くん?」
多分、木を魔法で切っていた時の音だろう。
「多分そうです。それで、お願いできますか?」
「うん。大丈夫だよ。任せといて、おいしい野菜さんたちを作るからね」
柊さんの家の近くに、土魔法・岩魔法でちょちょいと家を作った。
「えっと、こうだったかな?」
手順をスマホで確認しながら、土からセメントを作成しコンクリートを作る。
真祖吸血鬼のキュアートさんホント万能だよ。
キュアートさんさまさま。
あっ、ちなみに、俺、キュアートさんに、吸血されるたびに、人間やめていってるらしい。
1年もすれば、真祖ハーフ吸血鬼から真祖吸血鬼に少し微量に劣るほど迄、なれると聞いている。
『人間やめますか?』
吸われるたびに、この言葉が脳内にループされる。
最近、女性の首元うなじをみると、やけに吸い寄せられる。
色っぽく感じるようになった。
今までは、うなじに興味などなかったのに……
「ちかっぱすごすぎ」
俺の家づくりの光景を見ている、柊さん、にゃんころ、配下たちが驚く。
配下はレシャさんの列車鬼姿で度肝を抜かれていたけどね。
転移魔法は、疲労感がすごいので、レシャさんにお願いした。
2、3人なら距離が短ければそこまで疲労感はないのだが、大勢、しかも長距離になるとかなりきつい。
『ちかっぱ』とは、福岡県筑前地方の方言(筑前方言)で『すごく』『とても』を意味する言葉である。
なんかのTV番組で報道されたあと、広まり今では、筑前地方でなくても福岡の若者は使う傾向にある。
「じゃぁ、お願いしますね。定期的に顔出すのでよろしくお願いします」
レシャさんとサドンの街に転移した。
「次は、サドンの街の残りの配下たちだね。柊さんのところには男が多く行ったから、女性がけっこう残っているね」
女性か。
力仕事は置いといて。
何をお願いしようか。
俺の好きなネット小説では、お酒おつまみ系のお店、大衆浴場などを経営していたが、どうしようかな。
悩むな。うーん。
「あっ、和菓子店とか良いんじゃないかな?三色団子俺すきだし」
売れるかどうか、迷うが、やってみて決めよう。
「というわけで、サドンの街で和菓子店を開きたいと思っています」
和菓子は日本風のお菓子。
製法により生菓子・干菓子・半生菓子などに大別される。
羊羹・最中・煎餅など。
精巧で季節感を盛ったものが作られている。
「お兄ちゃん。行動力あるね」
現在、『ぷりんぷりんのプリンのおみせ』に藍川さんと一緒に顔をだしている。
褒めてくれる、綾瀬さん。素直にうれしい。
綾瀬さんは、今日も可愛いくまさんのアップリケがあしわられたエプロンを着用している。
「お米は、柊さんにお願いしてます。お餅系、できますよね?」
ここに訪れる前に柊さんに聞いたら、もち米も大丈夫とのこと。お米ほどではないが在庫もあるみたいだ。
「和菓子はできるとして、やっぱりお茶がいるよね?お茶っぱとかはどうするの?」
スイーツ研究部の部長兼ここの店長さんがアドバイス兼質問をしてくれる。
「大丈夫ですよ。お茶っ葉の件も柊さんに伝えてあります。大丈夫みたいです」
「お兄ちゃん有能だね」
「ホント、柊さん有能ですよ。同い年とは思えないです」
「柊さんもすごいと思うけど、お兄ちゃんのほうがすごい。ドラゴンは簡単に倒しちゃうし、会社の社長だし、それに聞いたよ?ギガントオークとかいう大きくて強いモンスター瞬殺だったとか」
あの魔法使いパーティたち、無事に街までたどり着けたようだね。
俺の貸したマジックアイテムが自室のテーブルの上に置いてあったから、戻ってこれたという確証はなかったから今の言葉で安心した
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