第60.3話 紬と心春 異世界とうちゃーく!!
ショッピングモールの滞在時間が24時間経ったようで、景色が変わった。どうやら、森の中のようだ。
心春は、片手にピザ、片手にペットボトルのコーラを持ち、緊張感のない面持ちである。
「先が思いやられるよ」
「えっ?何か言った?紬ちゃん。心春は、紬ちゃんがいるから、安心しているよ」
追加でポテトを食べ始める心春。
スキル系は魔力と違い体力を消費する。
そんなに、スキルばっかり使っていたら、途中で疲れて歩けなくなっちゃうよ?
私は、神器のスマホを取り出しナビを起動させた。
私と、心春のスマホは神器のため、充電などしなくても良い。
不壊属性も付いてあり、壊れる心配もない。
心春は、神様たちと連絡が取れる。
私は、進むべき場所をナビで示してくれるスマホ持ちだ。
重要度の高い方向には赤色の⇒
行くと良いかも?という方向は黄色の⇒
そのほかに、おいしい食事の出るお店など、様々なことをナビが進むべきところを判断してくれる。
☆☆☆☆☆
「ごめんね、紬ちゃん」
案の定、疲れて歩けないと言い出した心春ちゃんを背中に乗せ歩く。
ゴブリンが現れた。
この異世界は異世界のコピーであるとするなら、このゴブリンはFランク指定モンスター。色が緑。
鑑定するほどでもないけど、念のためにしておこう。
「鑑定」
名 前:ゴブリン
レベル:3
ランク:F
スキル:なし
魔 法:なし
予想通りのゴブリンであった。
以前までなら、このゴブリンの弱点や、使える部位なんかも表示されていたのだけど、鑑定スキルFランクではだめみたい。
「ホーリーボール」
白色8割黄色2割くらいの光の玉が、ゴブリンに向かっていく。
光属性の魔法。
モンスターはほとんどが光魔法が弱点。
「ゴブッ」
ゴブリンにホーリーボールが当たると、一言残しゴブリンが消滅した。
残るのは魔工石の原材料の魔石のみ。
「光魔法強いんだけど、モンスターは消滅してしまうのがネックなんだよね」
「すぴぃすぴぃー」
心春は寝てしまっている。
落ちているゴブリンの魔石を拾い、収納魔法に収納する。
「やめてっ、助けて、ままぁ、ぱぱぁ」
女の子の助けを呼ぶ声が聞こえた。
声のする方へ走った。
小学校低学年くらいの女の子が、地面にしりもちをついて泣きじゃくっていた。
手元には、薬草の入った袋が落ちている。
袋から薬草がはみ出している。
薬草採取でもしに来たのだと思う。
ゴブリン2体が女の子に近づいている。
ゴブリンは、穴があれば何でもいい。卑猥なことしか考えていない低能なモンスターだ。
「アイスランス」
ゴブリンの心臓に向かって、氷でできた槍を放つ。
「ウィンドカッター」
もう1体の別のゴブリンの首に風の刃を放つ。
ゴブリンは、声を発する前に力尽き地面へとキスをするかのように崩れ落ちた。
「えっと……大丈夫かな??」
「ぐすっ、ぐすっ。こわかったよぉーーー」
泣く女の子。
「心春、起きて」
私の背中で寝ている心春をゆすり起こす。
「紬ちゃん、どうしたの?街か村についた?」
よだれをハンカチで拭きとりながら、背中から降りる心春。
背中がひんやりすると思ったら、やっぱりよだれを垂らしていたんだね。
ひどいよ心春。
「うぇぇーん」
「あっ、そういうことね。スピリット」
泣いている女の子に気づいた心春は、巫女スキルを発動した。
心を落ち着かせる巫女の初歩スキル(技)。
「ありがとうございます。お姉ちゃんたち」
スキル発動後、心春が優しく女の子を抱きしめると、心が落ち着いたようで、泣き止んだ。
「どうして1人でいるの?」
隣で、ゴブリンの死体を木の棒でちょんちょんっと突きながら、フランクフルトを食べている心春。
どんな神経しているんだろう笑
ある意味尊敬する。
「パパもママも亡くなってしまったからです」
「ごめんね。辛いこと聞いちゃって」
「これ食べるぅ?私の名前は心春。よろしくね」
いつの間にか出していたシーフードピザを女の子に差し出す。
「食べたいですけど、お金ないんです」
「いらないよ。お金かかっていないし」
心春は気にせずに女の子の口の中にシーフードピザを押し込む。
あつそうだ。
「ごほっ」
むせる、女の子かわいそうに。
「おいしいです」
ゆっくりと咀嚼し始めた女の子。
「私の名前は紬、あなたの名前を教えてもらってもいいかな?」
「うん。ライラだよ」
食べ物をあげたことで打ち解けたのだろう。
ライラちゃんはため口になった。
こんなところに小さな女の子がいるということは、近くに村か街があるはずだ。
「近くに街はあるかな?」
「うん。あるよ。アルイルの街が近くに」
「連れていってもらってもいいかな?」
「うん。いいよ。任せて」
「おねぇちゃんたち、不思議な人だね。何もない所から物を出すなんて」
街に向かって歩いているとライラちゃんが唐突に言い始めた。
「えっ?もしかして、収納魔法とかってない?」
「収納魔法って、何もない所から物をだすことだよね?おねぇちゃんを見ていて分かったけど」
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