第56話 炊き出し成功!?工場経営で16歳社長に?
計算のキリの良い所で、土地へと向かった。
スマホで時間を確認すると17時を過ぎていた。
季節は夏寄りだ。
18時30分くらいまではまだ明るい。
均等に並べられた色とりどりのテント。
大型テントも使われている、家族で使っているのだろう。
スパイスの効いた香ばしい香りがそよ風に乗って俺の鼻にも届く。
「あっ、お兄ちゃん。」
何故か綾瀬さんがいた。
それにスイーツ研究部の面々も見受けられた。
みんな、炊き出しの手伝いをしてくれているようだ。
「綾瀬さん。どうしたんですか??あっ、その前にお礼を言わないとですね。手伝ってもらっているみたいでありがとうございます」
「懐かしい香りにつられちゃって」
綾瀬さんが笑顔で答えてくれる。
今から、綾瀬さん等も食べるみたいで、自分のカレーを皿に入れている。
「ひまりちゃん、そっちは甘口じゃないよ?それは辛口だよ」
藍川さんが綾瀬さんに教える。
「もう、こども扱いしないで。ひまは、大人のレディーだよ。こどもじゃないもん。たべれるもんっ」
カレールーの入っている寸胴鍋は3つあり甘口・中辛・辛口の3種類。
カレー粉の提供は俺と藍川さんだ。
カレーの中に入っているお肉は新鮮そのもののようで、現在シフアさんとティナさんがお肉をとってはリアカーに乗せて戻ってくるを繰り返している。
こちらの情報提供者は、俺のペット?こうもりβ(べーた)である。
「はいっ。さくくんもどうぞ、召し上がれー」
俺の好みを知っている藍川さんは辛口をよそってくれた。
「いただきます」
カレーライスではなくカレーうどんだ。
お米はショッピングモールで買っていない。
買って置けばよかったとかなりかなーり後悔している。
お米大事。
「ことみちゃん。甘口おねがいっ」
俺が『おいしいなぁー』とカレーうどんを箸で食べていると、隣で綾瀬さんが藍川さんにお願いしていた。
「ほらっ。言ったでしょ?私の甘口と交換する?」
こうなることが分かっていたのだろう藍川さんは甘口を選んでいた。
「ありがとう。ことみちゃん」
因みに俺はショッピングモールで箸の購入をしていない。
綾瀬さんが購入していたようで俺の持っていたシャンプー関連と交換した。
飛び跳ねて喜ばれた。
7人いて誰もシャンプー関連を購入していなかったらしい。
料理をする前に手を洗う為に購入しておいたセッケンで身体や髪の毛を洗っていたらしい。
髪ごわごわになりそうだ。
☆☆☆☆☆
「咲夜さん。元ギャスラインの従業員の方から、咲夜さまに社長になってほしいという声が上がっています」
カレーうどんをスープまで飲み干し終えると、隣に来たアリアさんにそう言われた。
「どういうことですか?」
「言葉のままの意味ですが?今まで通りに、従業員の方は仕事をして、会社の社長として咲夜さまに君臨してほしいみたいです」
多分、俺が領主のキュアートさんのところに住んでいることもこのお願いに繋がるのだろう。
貴族様の後ろ盾のある会社の従業員であれば、少しは安全が保障される。
それに、俺のとった10万円を渡すという行動、一時的であるが住む場所の提供、そして今回の炊き出しによる食事の提供。
衣食住の衣以外の2つは既に、クリアしている。
まだ、従業員の方の作った品をまともに拝見していないが、ギャスラインの家で見つけた収支報告書には、結構高値で売られている品も多かった。
社長として、経営しても自信はないが、多分大丈夫だと思う。
俺の懐はかなり温かい、もしも赤字が出たとしてもある程度は何とかなるはずだ。
「わかりました。社長になります」
俺のその言葉を聞いた後、アリアさんが1000人もの人間を俺の周りに集めた。
そこで、俺は自己紹介をして、いろいろと話した。
16歳で舐めた態度をとられるかと思ったが、そんな者はいなかった。
不思議だ。
「敬愛きゅあ。ラブウォシップきゅあ。吸血鬼の特性きゅあ」
屋敷に戻り、キュアートさんに聞いてみたところそう返答があった。
また新しい発見。吸血鬼は、奥が深そうだ。
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