第3話 魔石の使い道とお金の価値
魔石を手に持つ。赤子の拳くらいの大きさの銀色の魔石だ。
購入しておいた使い捨てビニール手袋をはめた。
100枚入りの使い捨て手袋を1枚だけ出すということが可能だった。ソウルバック奥が深そうだ。
『ソウルバッグに入れますか?』
聞き覚えのある神様の声が響いた。
あたりを見渡したが神様はいないようだ。
脳内に直接この声は届いているのであろう。
「ソウルバッグに入れるとどうなるのであろうか?」
試してみれば良いか。
そう考え魔石を呼び出しソウルバッグに入れてみた。
『どの品に使用しますか?』
今度は、そのような言葉が聞こえた。
使用するとは?
まさか、増えたりするのか?補充的な意味?
全品に使用できるようだ。
試しに白色のタオルを選んでみた。
あらかじめ購入しておいた白色のタオルは全部で3つだ。
『魔石によりクールタイムの時間が短縮により2個増やせます。増やしますか?』
なるほど、魔石をいれると、ショッピングモールで購入した物のクールタイムが短縮する仕組みか。
ショッピングモールで購入した物は、時間経過により、全品増えるようになっている。
スマホは、364日と23時間クールタイムがあるようだ。
ホーンウルフの魔石を使用すると2日縮めることができるようである。
推測であるが、魔石のランクに応じてクールタイムが縮まるのだろう。
もしかすると、俺のスマホはいろいろなものをダウンロードしてしまったから、約1年ほどクールタイムを必要とするのかもしれない。
もしも、車を選んだ奴は大変だろうな。クールタイムは10年とかかな?
モンスターをひき殺せばよいだろうが、それにも限度があるはずだ。
強いモンスターにぶつかれば傷はつくだろうし。
それにしても、増やせるのはうれしいな。
あらかじめ増やせると分かっていたら、白色のタオルを3つも買っておく必要はなかったな。
☆☆☆☆☆
ホーンウルフとの戦闘の後、魔石の使用は保留にすることにした。
魔石は、ソウルバッグに収納保管できることが分かったからだ。
ホーンウルフの角のみ、削り取って後ろポケットに入れた。
ホーンウルフ自体は重くて運べないし、きれいに剥ぎ取りする自身もなかったので毛皮も放置だ。
それに早くこの場所を去らないと血の匂いに誘われて魔物が来たら困る。
角だけ削り取ったのは、街で買い取ってもらう為だ。
異世界物では通常、冒険者ギルドや武器屋や防具屋でモンスターの部位を買い取ってくれることが多い。
モンスターの肉なんかは、肉屋や飲食店なんかが買い取ってくれることもよくある話だ。
森の中を歩きながら、ときおり現れるモンスターを討伐していく。
スライム系統、ゴブリン系統に出会った。
良かったことはほとんど、単体で出てきてくれたことだ。
集団で現れたら、確実に亡き者にされる自信がある。
ゴブリンほんとイカ臭かった。
キノコ狩り用に使い捨て手袋を購入しておいた自分を褒めたい。
スライムは目がある可愛い系。
ゴブリンは緑色で、おなかが出ていた。
俺の討伐した、ゴブリンは140cm程度だった。
催涙スプレーにスタンガン大活躍だった。
森から出て、道沿いに出た俺は街に向かって足を進めている。
先ほど2手に分かれる道があり、木でできた看板が置いてあった。
→Eランクダンジョン。1km先
←ファスの街3km先
と文字が書かれてあった。
ダンジョンに興味があったが、森なんかよりは安心して眠れる街を目指すことにした。
街に向かっているのであろう馬車が時折俺の横を通り過ぎる。
日本のように道路は整備されていない。
足に感じる硬い大地の感触。
湿った土と草木の香り。
生ぬるい風が俺の前髪を揺らす。
日本の季節はゴールデンウィークの終わった5月中旬であったがこの異世界もそれくらいの季節だろうか。
真夏とは言わないまでも、暑い。
因みに今後の方針・目標は、
①ソウルバッグについて知る
②一応、同じく異世界に来た人たちを探す。不意打ちを避けるため・相手には知られないように
③この世界の情報を集める
④お金を稼ぐ
⑤戦いに慣れる
ここがどんな世界なのか。モンスターがいるということは、魔族もいる可能性がある。魔王は良い人物なのかも気になる。
最近は人族が勝手に魔族にケンカを売っているパターンも増えてきた。
魔王が良い人物な話も少なくない。
看板で分かったが、文字は読める。
kmという表現がされていたが1000mという保証はないが、街があるということはわかる。
2桁ほど、モンスターを討伐しているがレベルが上がった気はしない。
レベルという概念はあるのだろうか?
レベルアップすると能力値が上がると嬉しいのだが……
体力・魔力・攻撃力・防御力・俊敏力など。
魔法が使えないから魔力値は0と言えるだろうけど。
街が見えてきた。
街に入る際に入門する門の前には5・6人ほどの列ができていた。
身分のチェックをするんだろうな。
お金はあるが身分証はない。
冒険者ギルドや商業ギルドにでも入ろう。
この街の住民になるつもりはない。
この異世界を旅するのが目的でもあるからな。
夕焼けが見えるころに街の門前についた。
俺の前に並んでいる人に聞いたところ、入門料は大銅貨3枚(300円)の用だ。
大銅貨1枚で100円くらいと判断した。
街に入る際に門番に身分証明書の提示と1人300円の入門料の支払いを求められたが、身分証明書をなくしてしまったことを説明した(嘘付いた)
そして、お金を支払い商人か冒険者になるということを告げると仮の身分証明書を渡された。
ヘルメットについて『面白い兜ですね』と門番の女性騎士に言われた。
7日以内にまたここに来て、身分証明書の提示をするようにとのことだった。
とりあえず、宿屋を探すことにした。
門番の人に、宿屋について聞けばよかったと門を通過してから思った。
門を通ってから『パンや』『やさいや』『くだものや』『ぼうけんしゃギルド』『しょうぎょうギルド』という看板を見つけた。
識字率が低いのだろうと思う。看板の横には絵が描いてあった。
街は、下級層エリア中級層エリア・上級層エリアと奥に進むにつれてお金の持っているものが住んだり、高級なものを取り扱っているお店が増えるみたいだ。
門に入り、きょろきょろとしていると、スラムの子供っぽい5歳くらいの女の子が俺のほうによってきた。
その時に、いろいろと質問料をとられたが教えてくれた。
冒険者ギルドは下級層エリア、商業ギルドは中級層エリアにあった。
ひらがな・カタカナはあるようだが、漢字はないようだ。
お金の価値は、
銅貨 『 10円』
大銅貨 『 100円』
銀貨 『 1000円』
大銀貨 『 10000円』
金貨 『 100000円』
大金貨 『 1000000円』
白金貨 『 10000000円』
白大金貨『100000000円』
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