第10話 干し肉と保存食
夜中は、暗くモンスターの存在に気付くのが遅れてしまうなど弊害がある為、緊急事態ではない限り、わざわざ進まないだろう。
比較的、ファスの街に近いこともありあらかたモンスターは討伐されていたのであろう、強いモンスターは現れなかった。
グリーンゴブリン3体も、華麗な剣捌き?でラクトが一人で対処した。
ラクトが持っているのは魔剣らしい。
切れ味上昇小の効果が付与されているのだとか。
マジックバッグ2つやこのラクトの持っている魔剣は、没落貴族であるレリィさんの実家からの支援金のようだ。
正直、素人目から見てもラクトの攻撃は隙だらけの攻撃だった。
ちゃんとした師に習わず魔剣の性能だけで戦ってきたのだろう。
Fランク程度のモンスターなら問題なさそうだがEランクのモンスターが倒せるのだろうか。疑問なところだ。
レリィさんに、『雑魚は下がっていなさい』と言われたのはイライラポイントだった。
戦わせてもらえなかったことでこちらの実力(道具)を隠すことになってしまった。
ラクトたちは、テントを立て始めた。
そして、各自で夜食をとることに。
俺は、野営の定番、干し肉と黒パンを食べている。
シレナさんのお店は保存食を扱っているお店であり、干し肉と黒パンなどを売っていた。
最近、缶詰も入荷したらしいが、すぐに売れてしまったらしい。
缶詰は、黒髪黒目の商人からの買い取りみたいだ。
よくわからない文字が使われていたとのことなので、その文字は漢字だと推測した。
この異世界は『ひらがな・カタカナアルファベットなどの英数字しかない』
干し肉を食べた感想は一言でいうと、嫌いじゃない。
やはり安物は固いが、シレナさんのお店でもワインなどを使っている高価な干し肉は少し柔らかくなっており、日本で好きだったビーフジャーキーの劣化版みたいな感じだった。
高価な品には、胡椒を使っているようで味付けも悪くなかった。
ハーブ(ドダダハーブ)を使っている干し肉はちょっと苦手な分類だった。
このドダダハーブは虫よけの効果がある香りの強いものだ。
シレナさんの故郷であるシルフル村では干し肉を作っているらしい。
それをファスの街で売っているのがシレナさんの店。
ドダダハーブは馬に踏まれても成長するほどの力強い草で栽培に成功している薬草の一つだ。
他の薬草は栽培に成功していなく、入手したい場合は自分で採取しに行くか、冒険者ギルドにて依頼するのが通常である。
俺らの今いる場所は近くに川がない。
ここで、野営をするといったのはシレナさん。
水場の近くにはモンスターがいることが多いと資料室の本にも書いてあったし、異世界物の小説でも定番。
ラクトはなぜ、川の近くまで進まないのか?と馬鹿なことを聞いてきた。
その際、シレナさんと俺は目が合った。
考えていることが伝わった気がした。
明日の朝、行水することで納得してもらった。
わざわざ、説明する気はない。
シレナさんも同じようだ。
商人にとって情報は命ともいわれる。
教える必要もないと判断したのであろう。
「見張りなんだけどさ、男らだけでしないか?」
ラクトがふざけたことを言い始めた。
なに?俺ら2人は寝れないの?明日の馬車の中で寝ろてきなやつか?
いま、この場所には全部で6名いる。
護衛対象であるシレナさんは見張りに参加しないとしても、5人で2人と3人に分けて、見張りをするのが通常だと思う。
「いやですね。俺は男女平等主義者なんです。女性にも平等に見張りを担当してもらいます」
「ゴミの分際でリーダーに文句言う気?」
レリィさんからのお言葉。
俺は役立たずからゴミへと呼び名が変わったようだ。
「女性陣は、か弱い者だ。男がそれを補うのは当然のことだろう?」
さも当然のように、いけしゃあしゃあとラクトが言った。
こいつらと話すのは面倒に感じてきた。
それをいうなら戦力となる男が万全の状態で戦えるように寝かせた方が良いだろう、寝た者を起こすぐらい簡単だろうに。
テンプレのためにこいつらとクエストを受けることにした俺にも非がある。
ここは折れることにしよう。
「わかりました。それでいいですよ」
もともと、信用などしていない。
寝ている間に、金目の物を盗まれる可能性もある。
それなら、シレナさんの起きている荷馬車内で寝るほうが安心だ。
シレナさんのことも信用はしていないが、商人としては信用している。
こんな冒険者成り立てと低級冒険者のラクト達の物(商人にしては小金にもならない)を取っても仕方がないし、それによって信用が落ちることのほうがデメリットの方が大きい。
まぁシレナさんが俺とラクト達を亡き者にして死人に口なしにするならわからないが、ラクトたちに比べれば信用に足る。
「じゃぁ、どっちから見張りをしようか?」
ラクトが変なことを言い始めた。
二人でするもんじゃないのか?
360度1人で見渡せないぞ。
囲まれてからでは遅い。
それに一人で見張りをしていれば対応がかなり遅れることは馬鹿でもわかる。
「任せます」
浅い知識しかないのであろうラクトに教えることもない。
と判断した俺はそう答えた。
モンスターの生息分布にも高ランクの目撃情報について記載はなかった。
「じゃぁ、俺から寝させてもらう」
ラクトたちはテントの中に入っていった。
シレナさんは、荷馬車の中で寝るらしい。
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