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民の代表




「“紅蛇火”」

「“絨布の紺”」

「“戯画の樹”・馬」


 リリィが炎蛇で滑走し、モモとミュウが紺色の絨毯に乗る。

 左手に緑色の光を発する本を携えて魔法名を告げた。呼応して近くにあった一本の樹木が高速で回転し一体の馬へと姿を変える。中級・創造魔法“戯画の樹”。樹木を一時的に動物へと模倣させ使役する魔法である。戯画のリストがいくつかある中、この場面で最も適していると判断した馬を呼び寄せる。


 僕が様々な魔法を使えると知られれば事なので今回は創造魔法のみで戦う。左手に持っている本を疑問視されても「大の読者好きで持っていないと発作を起こすんです」と言えばいい。本は常に持ち歩いているし、過去それで何度か乗り切ってきた。可哀そうな人を見る目だったが大丈夫だ。精神力は鍛えられている方だと自負している。

 隣では、何も魔法を発動させずに……しかし僕らと同じ速度で駆ける銀髪の男がいて。

 五人の考えは一緒である。あとは行動あるのみだ。


「一つ、言っておかねばならねーことがある。二人を発見したとしても、俺が目視しなきゃ捕まえたことにはならんってことだ。だから、見つけたらなんとしてでも俺を呼べ。そして俺が駆けつけるまで絶対に逃すな」

「まだあるわ。イヴが見つけてくれた二人の居場所、ロギリアから北東にあるとして私たちは今向かっている。でも、敵は私たちの動きをきっと察知したはず。なら、是が非でも奴らを今いる場所から逃がしてはならない。でも方法がないの」

「それならあるよ」


 蛇に乗りながら右へ左へ滑走し、前を見続ける征服少女。


「シルド、ロギリアから2キロの距離って、だいたいどれくらい?」

「林があるまでがちょうど2キロの範囲だ。南はちょっと違うけど、北半分は間違いないよ」

「北東って、北から始まって東の間ぐらいだよね」

「うん」

「そこから敵を出られないようにすればいいんだね」

「えぇ、でもどうやって」


 つい先ほど、リリィは“迷厘の霧”を打ち消した。一度入れば方向感覚を鈍らせ二度と出てこられないほどの濃い霧を。さすが自然魔法の天才だと改めて思い知ったばかりであった。

 けれど、間違いであった。彼女にとって、あんなものはとるに足らないものであった。大自然の全てを我が物とし、魔法科・歴代二位の称号を手に入れた彼女の力とは、たかが霧を消せる程度のものではなかったのだ。次元が、違うのだ。

 僕とジンが北を、モモとミュウが東を四人そろって見上げた。口を開けて、情けなく。

 まるで最初からそこにあったかのように。

 壁が、生まれた。

 水が、生まれた。

 ロギリアから北へ、そして東へ真っ直ぐと。

 頂上が見えないほどの、特大の水で作られたカーテンが……誕生した。


「“絶海”」


 前世で、苺のショートケーキがあった。三角形のスポンジの周りにクリームがあり、上には美味しそうな苺が乗っていた。大好きな苺は最後に取っておき、最初は鋭角の部分を上からフォークで切るのがいつもの食べ方だった。

 今、僕らはまさにそのケーキの中にいる。

 ただ、囲んでいるのはクリームではなく、全て滝のように流れ落ちる水の壁だ。

 閉じ込められたと錯覚できるほどの……空間にいる。莫大の量である水が天高くから垂直に落ちてきて、辺り一帯を濁流の轟音が木霊した。ケーキの側面部分は全て水のカーテンとなっている。これでは逃げようもない。上を見上げても、どこまであるのか途方もないほど水壁が立ち塞ぐ。右を見ても左を見ても、地面には林が生い茂り、向こうの先には水の壁。唯一、まともな感覚に戻してくれるのが、真上を見上げた際にだけ見れる夕方間近の空だった。もう自分でも何を言っているのかわからなくなってきた。


 とにかく、昇れず触れず抜け出せない水の壁が。

 北と東とロギリアを結んだ立体的な三角形を構築している。

 そして、僕らは内部にいて、敵もいる。ようは、相手を絶対に逃がさないよう作り出された巨大な三角の水箱なのだ。しかし、この天高くより降り注ぐ水圧はもはや大地をえぐり、新たな水路を作り出すほどだ。そうなってしまうと僕らがいるローゼ島が危険な状況になりかねないので、リリィにお願いして地面に触れる瞬間勢いを消し、内部に流してもらうよう調整してもらった。数十分で僕らのいる場所がプールになるだろうが、相手を動揺させるには良い一手であろう。


「“矢郷の黄”・十万」

 

 薄らとオレンジ色に差し掛かっていた空に、黄色の球体をした十万の軍勢が出現する。


「敵を見つけたら空から総攻撃をかけるから、私からの合図だと思って」

「今やるべきことは敵を見つけ次第、僕らがジンに合図を送ることだ」

「おう。どんな方法でもいい。派手にやれ。全力で駆けつけるからよ。シルドとリリィ、ミュウは敵を見つけたら“魔炎”で頼む。誰でも扱える魔法だからシルドに対して疑問視されることもないはずだ」

「“絶海”にも気を付けてね。触れば痛いじゃすまないよ。余裕で切断するぐらいの魔力を練りこんであるから」

「なら……行くぞ!」


 五人が散った。もはや四の五の言ってられない。あのおてんば娘があそこまで頑張ったんだ。ここで何もできない兄ならば、あいつの兄ちゃん失格である。



   * * *



 濁流音が敵を見つける際、邪魔になるかもしれないが相手は音と魔力を消す魔法を発動している。あまり意味はない。また、姿を消せるわけでもなく、どこかに潜んでいることは明白なのだ。樹木で模された馬に乗って辺りを見渡す。当然ながら誰もいない。林と草原に、今しがた発生した水壁と十万の球体。皆で散って、数分が経過した。


 もし自分が相手なら、どうするだろう。

 潜伏に自信があるなら黙って隠れるのが賢明だろう。しかし、僕らの中には征服少女と画麗姫、白帝児に築嬢がいる。各々が恐ろしく秀でた才能の持ち主で、自信のある潜伏だとしても見つかる可能性がある。ジンの視界に入れば即座にアウトなのだから尚更だ。

 僕ならば、味方に二人いるのなら、やるべきことは一つだ。隠れ続けても、何かの魔法で一網打尽にされる可能性がある。時間は残り三十五分。この刻限を相手側に不利に、自分側に有利に運ぶなら……僕らを混乱させることが最善ではなかろうか。すなわち──


「アシュラン卿とお見受けする」

「……貴方は?」

「拙者、アズール十四師団、十二師団・副隊長ボル・ノーマスと申す」

「要件は」

「しばし、眠っていただきたい」

「出来ない相談です。“魔炎”」


 一番弱いと思われる僕を捕縛し、時間稼ぎの道具とすることだ。

 のっそりと現れたのは、長身の男。体つきが良く、格闘家と称されても納得できる風貌である。鼻は太く頬は引き締まり目は狐のような細さで、フードを被り近寄りがたい雰囲気を出す。現状、敵は予想通りの行動をとった。

 しかし、五人の中から僕に狙いをつけ、独りになった隙を逃さず接近してきた判断力。加えてこちらがジンに知らせるよう“魔炎”を発動させ空高く打ち上げたにも関わらず、至極落ち着いてこちらを見据えている。

 予想通りとはいえ、末恐ろしい相手だ。七大魔法を数十会得しているとはいえ、とてもじゃないが勝てる気がしない。何せ副隊長だ、実戦経験の場数が違う。


「致し方なし」


 音もなく、まるで滑るようにボル・ノーマスは走り出す。即座に馬を降り、彼から目を離さず数歩下がる。お互い地面を足で踏むことに変わりはない。けれど、本来なら走ることで地面にある草を踏み均す音が聞こえるべき相手にはそれが鳴らない。……“不死人”を発動している証拠だ。

 左手に持つ“ビブリオテカ”の輝きが一度強くなり、斜め前にいた樹木の馬が荒い唸り声を出しながら十二隊副隊長へ突進を開始した。馬は徐々に形を変え、獅子へと変化する。“戯画の樹”は様々な動物へと変化可能だ。発動している間は、自由自在に変えられる。いけ──!


「通りゃんせ」


 敵の拳が、獅子の顔面を殴打した。

 雄々しい獅子へと変貌した“戯画の樹”に多少の自信はあった。仮に敵と動物の相性が悪いと判断すればすぐに別の動物へと変えればいいだけだ。とにかく、僕は時間稼ぎをしてジンの到着を待てばいいのだから。

 けれど、それは使用している樹木の動物が一発でバラバラに粉砕されれば、どうにも出来ぬものだった。大きな口を開けフードを被った大男を丸のみにしようとした獅子は、細かい木片となって弾け飛んだ。まさかの事態に、思わず足がすくむ。敵の手には大きなグローブが装着されていた。


「“四十積み畳”……!」


 敵を基点に、四方より巨大な土壁を四十枚出現させる。北に十枚並び、東に十枚並び……南と西も同じで、ドミノ倒しのように四十の壁が彼を囲む。そして間髪入れず、基点目がけて壁が集う。大きな土埃が周囲に蔓延した。圧死の可能性も否定できないが、この時、そんなものは断じてありえないと確信していた。


 今発動した魔法は、自分を落ち着かせるための一手に過ぎない。

 敵が持っていたあのグローブの威力、陣形魔法によってどうこうできるものではない。こちらが予想していた敵二人が陣形魔法の使い手というのは……大きな間違いであったのだ。この人の“不死人”は、もう一人の人間によって発動してもらい得ていただけだ。北から襲った十枚の土壁が、木端微塵に砕け飛ぶ。中からのっそりと……大男が現れて。


「付属魔法の使い手ですか!」

「左様。特級・付属魔法“軍神”。武器強化の付属魔法中、最も強い威力を宿す魔法である」

「何でそんな人が十二師団にいるのかお聞きしても?」

「恩義と忠義がため」


 言葉と同時、副隊長は駆ける。もちろんこちらに向かってだ。てっきりこちらは二人とも陣形魔法の使い手だと思っていた。バリバリの実戦タイプか。


「“木天塞針”」


 なら、安心だ。敵が陣形魔法の使い手ならばこちらが想定しにくい魔法を用いてくることが多い。

 が、付属魔法となればこと接近戦が主だ。敵を動けないよう、もしくは出れないような魔法で対抗すればいいのだ。

 半年以上前、どこぞの変態殺人鬼を捕えるために発動させようとしたけれど、発動する前に斬られて不発となった魔法があった。直後にモモとリュネさんに助けられ、あっという間に終わった事件。五つ星事件も今では随分と懐かしいもので、自分の不甲斐なさに恥ずかしくもある。樹木で創られた格子状の檻を瞬時に生み出し、相手を拘束した。地面より生じた檻から逃れる術はない。


「拙者の“軍神”の力をわかってもらえず残念だ」


 檻の中で姿勢を低くし、拳を振り上げ檻を穿つ。

 派手な衝撃音と共に“木天塞針”は穿たれた部分が壊れ……一瞬で元に戻った。


「ッ!? 馬鹿な、ありえん!」

「個人的になんですが、その魔法には嫌な思い出がありまして。今度発動する際は絶対に相手を逃がさないよう、より高みの魔法を探したんです。いろいろ苦労はしましたが、成果もありました」

「クソッ、何故壊れん! たかだか上級程度の魔法が!」

「確かにそれは上級・創造魔法なんですが、知り合いに創造魔法の中でも建築魔法に特化した才女がいましてね」

「……な」

「あれこれ工夫してもらって、特級に昇華させてもらったんですよ」


 格子状の檻が、ぐにゃりと曲がり始める。

 曲がる角度はどんどんと増していき、ねじるにねじれ、正方形であった檻はもはや原型を留めず縦長に細く伸びていく。伸びていきながらも曲がる檻は止まらず、次第に中にいる彼は立てる場所がなくなっていく。

 一歩ずつ後ろに下がり、檻の真ん中へと移動して、あたふたと周りを見渡しながらも何もできず、顔が青ざめ恐々となっていき……項垂うなだれた。


「無念」

「“曲乱狂”」


 本来ならば、この魔法は最後まで『しぼる』そうである。ただ、それだと人殺しになってしまうし、僕の役目は彼を足止めすることだ。ギリギリのところで曲がる檻を止めて、指一本動けないようにして拘束する。ちなみに、なんとか特級魔法まで昇華させてもらったものの、ミュウよりいくつか忠告もされていた。


『えとね、一応できたけど“曲乱狂”は陣形魔法の使い手には使っちゃ駄目だよ』

『どうして?』

『本来なら魔法を昇華させるには二年ぐらいかかるの。それを物凄く強引に上げたから反動が出ちゃったみたい。私も魔法をこういう形で昇華させたことなんてないし、本音を言うと偶然できちゃったんだよね。そのためか、陣形魔法で何か攻撃されちゃうと不思議とボロボロになって崩壊してしまう仕様になってしまったのだ』

『特級とは言い難いんだ』

『んーそうだね。でも、これはこれで皆の役に立てるかもしれないよ! もう少し実験して考えてみるよ。実験となると被験者が必要かな。ねぇジン、ちょっと来てー!』

『あん? 何だー』


 なんとか無事、成果を上げることが出来て何よりだ。

 ……しかし。

 眼前でねじ曲がった檻に閉じ込められている男を前にして、汗が止まらない。“魔炎”を空に打ち上げてかれこれ十分は経過している。にも関わらず、未だ誰もここに来ていないのだ。ありえない。ジンやミュウ、モモにリリィまでいるこの面子で、誰一人として来ないことがありえるだろうか。


「拙者は無様にも縛に伏したが、結果は変わらん」


 息苦しそうに身体を棒状のポーズにしつつ、勝ち誇るように告げる十二師団の副隊長。

 直後、肩で息をしながらこちらに四人がやって来た。しかし、服装は所々破れ、汚れ、ここまで来るのに何があったかは明白であった。そうだ、僕は失念していた。考えが甘かった。敵はアズールにおける治安組織の頂点に君臨する部隊の一人。


「“魔炎”は見えたんだがよ、行くまでが一苦労でな。馬鹿みてーに陣形が仕込まれてんだ」

「ミュウと一緒に空から探していたのだけれど、まさか空中にも発動する陣形魔法があっただなんて知らなかった」

「私の建築魔法は地面から生え出るものが大半だから、全然力になれなくて……」

「すっごく面白い仕掛けが山盛りだったよ! 楽しくて遊んでたら、つい時間とられちゃった」


 最後の一人がおかしい気もするけど、やはり敵もかなりの猛者だ。

 あのイヴがボロボロになっても、掴めたのは僅かだった。敵は陣形魔法の玄人に他ならない。なら、ありとあらゆる陣形を用意して、仮にこちらの居場所がバレたとしても迎撃できるよう仕組むのが道理。油断していた。味方の戦力に高を括っていた……!


「っておお、ボルじゃん!」

「久方ぶりの再会、このような状態でご挨拶となりますこと、お許しください」

「別にいいぞ気にするんな。お前付属魔法の使い手だったんだな、知らなかったわ。それよりもだ、アズールの王子として命令する。カリエィの居場所を教えろ」

「出来ませぬ」

「だよなー、言ってみただけだ」


 怒る素振りもなくジンは笑う。今回十二騎士隊を召集したのはユンゲル右大臣だ。ボルさんに非はない。むしろ、仕事を全うするため頑なに口を閉ざしている。例えそれが次期アズール王であろうとも、己が職務を貫くのだ。


「無礼を承知で申し上げます、ジン王子。此度の戦い、あまりにも王子側に不利であります」

「ん、そうか?」

「はい。もはやこうなっては、拙者の部隊における隊長の独壇場でございます。カリエィ・ザッパーの陣形妙技は、王子も重々ご存じかと」

「まぁな」

「ならば、ここは一旦ユンゲル右大臣の要求を呑み、別の策を考えるべきかと存じ」

「ねぇな」


 笑顔でボルさんを見ながら淡々と答えていたジンが、冷たく言い放つ。

 やや面食らいつつも、十二師団の副隊長が食い下がる。


「何故ですか。今回の件はあまりにもジン王子に不利です。密偵四十人を放つと言ったのに実際は違っていた。これは明らかに契約違反でございます。拙者もザッパー隊長も納得はしていません。ですが任務である以上、命をもってして成し遂げます」

「それでいいんだよボル。お前らはそれでいい。これはあのノッポと俺の問題だ。まぁ思い切り周りにも被害が出てくるがな。だが、一度やると言った以上、俺は引くわけにはいかねーのよ」

「何故!」

「世の中にはな、不測の事態ってやつがある。こちらが用意周到に準備しても、物事は上手くいかない場合がほとんどだ。その時、お前は今回の件は納得できないから全てなしにしてくれって言うのかい? 隠密部隊にいるお前なら、一番よくわかることだろ?」

「それとこれとは話が違います!」

「一緒さ。俺は王族だ。この国にいる民の代表だ。なら勝ってみせるさ。だからお前はここにいるんだろ、ボル・ノーマス。俺を信じてるからここに来たんだろ。だったらしかと両目開いて見てな。それにな」


 ニカッと笑い親指を立て、自分に向けて。


「もうカリエィの手は読んだ。たかが隊長だ。たかが陣形魔法の使い手だ。……それで? だからなんだ。あいつが神様だったら考えるが、一人の人間だぜ。ちょっと俺より長生きしてて、陣形魔法にのめり込んでウヒョーしただけの男だぜ。そんな野郎に俺が負けると、本当に思ってるのかい?」


 君子豹変。優れた人は過ちを認めればすぐに直すことをいう。

 ジンが優れた人間なのかは置いといて、この返し方に自信ありありの言動、加えて一度相手側の魔法を食らってからの心を立て直す速度。ぶれず揺れず戸惑わず、一直線に見据えて走る。諦めない不動の精神力と上に立つものとしての威厳。ジン・フォン・ティック・アズール。アズールの、次期君主。


「そんじゃ、お前ら……」


 空は夕日が差し掛かり、いよいよ刻限が近づいてきた。もはや時間はない。

 しかし、眼前にいる男はとても嬉しそうな表情をしている。この局面が、楽しくて楽しくて仕方がないように。そして今気づいた。モモやミュウ、リリィまでも服が汚れたり破れたりしているけれど、ジンの服だけが……


「そろそろ、終わらせようぜ」


 一切、何もないのだ。汚れず破れず新品同様の服装で。横でミュウが幸せそうに微笑む。

 夕方まで残り十分。

 いよいよ、決着の時であった。




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