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“ビブリオテカ ── 一期一会の法魔”



「今さらだけど、話し合いの解決はどうかな」

「却下だね。私そういうのが一番苦手だし」

「だよね」

「それに、それが最初からわかっていたからここに連れてきたんでしょ?」


 ご名答だ。彼女の性格を見るにおおよそ話し合いの解決は無理だと思っていた。征服という言葉を謳い文句に、掲げた目的のために行動している女の子だ。話し合いという手段で解決できるのならとっくに彼女は目的を成し遂げていただろう。征服の呪縛から逃れていただろう。

 リリィ・サランティスの目的は、頭で考えたり話し合いで決着できるものではないはずだ。実力行使でしか終わらせられないもののはずだ。ゆえに、彼女の征服行為に平和的解決手段は通用しないと思えた。長々説明したけれど、要は考えるよりも行動タイプなわけである。


「じゃあ最後にもう一つ」

「わふん、何?」

「僕が勝ったら、この国の征服は諦めてほしいんだ」

「んー」

「僕が勝ったらでいいんだよ。出し惜しみはしない主義だからさ。どうだろ?」

「んー……」


 一応勝利条件を明白にしておきたい。恥ずかしながら、自分のフルボッコは確定しているけれど、それでも相手側に万が一の選択を提案しておきたい。

 僕は99%のボコリに耐えて、1%の勝利をもぎ取れば良いのだから。最初からそれだけにしか賭けていない。だから、この条件さえ飲んでくれれば……というより、この流れならきっと


「嫌。もう決めちゃったから」

「そこは受けようよ! 流れ的に!」


 そんなやりとりが終わった頃、彼女が指を鳴らしたと同時。

 ──きた。

 前世のイエス・キリストのように両腕を伸ばして開いた手を前に向ける。にっこりと笑いながらこちらを凝視する征服少女。ちょっとしたおしゃべりは終わりを告げ、あとは言葉要らずの劇場と化す。

 現れるは、彼女の周囲より細めの火柱、数はおおよそ二十で高さは一メートル。轟々というよりは燻っている程度の火柱の群れは、ゆらゆらと揺れながらも彼女を照らし、消える。


「“紅蛇火(くれないじゃっか)”」


 推定二十の、炎で模られた蛇が圧巻たる速度で僕を強襲する。先ほど見せていた火柱はその予行だったようだ。ほんの三秒程度で炎蛇の群れは蒼髪のもやし目掛けて突進を成功させ、勢いを殺さぬまま爆炎を巻き起こすだろう。

 怖い。泣きそう。

 これが、自然魔法を掌握した者の力なのか。消し炭とは言わずとも、コンガリいい感じには焼いてくれそうだ。けれど、黙ってそれを受けようとは思わない。僕も最初から全力でいく。いくぞ、地下に眠りし古代の法よ。先陣を切るは


「“荊棘地盤”」



   ★ ★ ★

   ☆ ☆ ☆

   ★ ★ ★



 わふん、さて。

 十八番の“紅蛇火”が目標に命中したのは成功って感じ。今は衝突時の爆風と煙でちょっと見えないなぁ。カリッと焼ける程度の火力で突撃させたから、命に別状はないと思うけど。

 ……当たる直前「“荊棘地盤”」とかいう魔法名も聞こえた。無事に防いでいると思う。まぁ、どちらにしても私の相手にはならないと思うけど。

 徐々に煙は消えていき、現れたのは──地中より生えし巨大な棘。何十本と飛び出して彼の防壁となったのだ。自然物では断じてないね……アハッ!


「やっぱり創造魔法かぁ。残念だったねシルド、その程度の出来だと直ぐ終わっちゃうよ?」

「そうとも言えないんじゃないかな。早計な判断は身を滅ぼすのさ」

「……何か隠してるよね。特にその左手の本」

「自分で考えなよ。天才なんでしょ?」


 嫌な奴だ。安い挑発にムカついている自分もいる。こういう所は未熟だと思う。

 私とは違い、創造魔法の使い手なのだろう。左手の本は……持っているね。やはりあの本は変だ。シルドの魔力と微量だけど違う魔力を感じる。不思議だ……たぶん普通の魔法師は気づかない極微量なんだよね。でも確かに感じるから不気味でもある。何か仕掛けがありそうだ。全然わかんないけど。


 話は戻して、詠唱破棄で出したってことは、普通に考えたら“荊棘地盤”を詠唱し、一千回以上発動したってことになるね。確か一般人は詠唱破棄を会得するのにそれぐらい必要とするらしいよ。努力家くんだ。

 ……ホント、哀れだなぁ。棘で作られた壁なんて砕けばいいだけの話じゃん。今度は邪魔な棘ごと砕いてあげる。そのまま身体を貫通させちゃったらゴメンね。

 ──今、思いついた。

 雷を蝶に擬態化させて数十匹作り出し、そのまま蝶を合わせ重ねて槍とする。槍は標的に標準合わせ、神速で射出させた。


「“刺雷蝶”」


 “刺雷蝶”を放つ直前、シルドがほころび始めていた“荊棘地盤”を解除しているように見えた。きっと新しい“荊棘地盤”を作り直すか、はたまた別の創造の防壁魔法を発動させるか。

 どちらにせよ、その程度の魔法とわかった時点で私には無意味だよ。人は魔法にも得意不得意があるからね。シルドが創造魔法を使えるということはつまり、他の魔法系は苦手か使えないということだ。

 七大魔法とはそういうものだよ。だから、今度の魔法は雷だ。どんな壁でも貫いてみせるさ。

 そして彼は“刺雷蝶”を受けた。

 無傷だった。

 シルドの眼前には、大きな水鏡が宙に浮いていた。パチパチと電撃が鏡の大枠を走っている。


「──!? ……ぇ」


 以前旅先で見たことがある、“避雷巡り”とかいう上級・自然魔法だ。雷系統の魔法を水鏡が受け、その電撃を鏡の外側に滞留させる。受けた電撃をそのまま相手に返すことも可能なやつで、上級魔法でも扱いが難しい魔法だったはず。それが彼を守るために発動された……。何で? どうして? どうやってそうなっているのか、今の私には理解できない。

 彼は自然と創造、両方扱える人なのか。七大魔法のうち二つを上位まで発動できる?

 たまにそういう人もいるけれど、本当にごく僅かだよ。けれど彼は発動している。ならばきっとそうなのだろう。なるほど、確かに私を挑発するだけはあるね。私の勘に間違いはなかった……! この人、強いぞ。


「凄いじゃんシルド! ちょっと驚いちゃったよ」

「ハハハ、ちょっと? ……本当に?」

「次はないよ」


 そう、次はない。防がれるなら、できないような攻撃をすればいい。全方角より巻き込むように襲えばいい。さすがに後ろに眼はないでしょ?

 炎蛇の砲撃よ。彼が防ぐという考えをする暇すら与えぬ速度で穿て消せ。

 掌を開いて勢いよく合わせれば、パンッ! と弾けた音とともに、ほんの数秒で十二の炎蛇がシルドの周りから出現する。既に口の中には豪々と燃えゆく塊を含んでいて、間髪いれず射撃する。


「“紅蛇砲(くれないじゃほう)”」


 時間にして五秒、悪くないね。

 放たれた砲撃は、一分の狂いなくシルドへ。全十二方角より打たれたそれは、自然と創造魔法では防ぎようがないほどの威力と速さだよ。だって私が作った魔法だし。さすがに二つの魔法を扱えるといっても、発動できなければ意味がない。


 だから、“紅蛇砲”が彼に当たるどころか途中で止まったのを見た時は、言葉を失った。

 彼の約三歩前辺りで十二の炎玉がぐるりと囲むように停止している場は、まるで時間の一時を区切ったかのようで。私がその原因を知った時には、炎の塊は消されてしまった。

 ……「陣」が形成されていた。シルドを中心にして、やや大きめの丸い陣が地上に形作られていた。陣からは薄く光が灯っている。


「“拒絶の火波”。元々は火事で生じた炎が周りに移らないよう足止めとして作られた魔法で、発動させれば火をその場に一時的に留め置く。応用ってところかな」

「……陣形、魔法だよね?」

「そうだよ」


 陣形魔法。最初は創造、次に自然、さらには陣形……? ありえない。どうなってるの。

 表三法を上位まで扱える人間なんて、この世にいるわけがないよ。


「シルド」

「うん?」

「そろそろ左手に持ってる本について、教えてくれないかな」


 緑の光を宿したそれは、彼の左手の上にちょこんとあって、開いていた。触ってもいないのに自然とパラパラとめくれていて、まるで意志があるかのようだった。


「僕だけが、キミの素性について知っているのは失礼だよね」


 言いながら、シルドは陣形魔法を解く。何も魔法がない状況で……いや、既に最初から彼の魔法は発動されていた状態で、私の方へ彼は向く。

 改めて紹介するね、と蒼髪の男の子は笑顔で言った。そうしてようやく私は知る。彼の魔法を。彼の力を。何を考えて私を止めようとしているのかわからないけれど、彼と私の思惑とは別に、かの魔法は当然にそこにある。その、魔法の名は……


「古代魔法“ビブリオテカ ── 一期一会の法魔”」


 何てことはない、私の前にいた貴族の男の子は、古代魔法の使い手だった。



 ※ ※ ※ 



「古代……魔法?」

「そう、古代魔法」


 左手を仰向けにして、本を下から支えている。支えられている本は優雅に開き、緑の光を発していた。彼は今、古代魔法と言った。二度も口にした。私の今はない故郷でも、古代魔法を扱える人間はいなかった。

 だってそうでしょ? もはや存在すら不確かな魔法、誰が信じるっていうの。魔法の総本山と称された故郷の者らでさえ、幻想だ童話の世界だと言っていたはずなのに。


「信じられないよ、というか無理」

「うん、同感」

「継承魔法の間違いじゃないの?」

「残念ながら……。よければ説明するけど?」


 ……説明? 対戦相手に向かって魔法の説明? 確かに私から教えてと言ったけれど……。それでもさ、辻褄が合わないんだよね。自然、創造、陣形を扱える人間は私の記憶にはない。と、なればもうこれは……。

 

「なら、お願いしよっかな」

「喜んで」


 正直、相手が未知数すぎる。普通なら古代魔法なんて信じない。が、どうしてかな。彼からほとばしる魔力と、左手にある一冊の本が……肯定しているように見えたんだ。だから、私が素直にお願いしたのも、きっと気まぐれと別の何かが関係していたのだと、そう思わずにはいられなかった。


 古代魔法“ビブリオテカ ── 一期一会の法魔”。

 言葉の意味通り一期一会の魔法。一つの魔法を一回しか使えない。一度使ってしまえば、もう二度とその魔法を発動することはできなくなる。例え下級魔法であっても。ただし、この世に存在している魔法ならば、いかなる魔法でも一回限り発動することを可能とする。

 もちろん条件はあった。それが、魔法書を読むことだという。魔法書に記された魔法を「理解」して、初めて自分の扱える魔法の配下に加えることができる。……つまり、それって


「練習して実戦で発動できるようにする必要がなく、『理解』さえすれば発動できるってこと?」

「うん、それがこの魔法の力だよ。普通なら魔法書を読んで理解して、何十回も練習してようやく発動にこぎつける。この魔法はその過程を全て省略できる。理解さえすれば、僕の魔法として扱えるようになる」


 うわ、何それ。ズルッ! ……私が言えることじゃないけど。練習なんて一度もしたことないし。

 今シルドが言っていることが本当なら、彼は魔法書さえ読めばその魔法を扱えるということだ。たとえどんなに習得が難しいとされる魔法であれ、だ。自然、陣形、創造はもちろん、裏三法の癒呪、付属、継承でさえも可能だということだ。アハッ、なるほど。


「古代魔法ということはあるね」

「まぁね」

「裏三法も可能ってことでいいの?」

「もちろん」


 反則に近い魔法だ。この世の常識や理屈を容易に覆す魔法だ。ただ、同時に笑っちゃうよ。どんな凄い魔法なのかと身構えたりもしたけれど、ぶっちゃけ大したことないじゃん。だってそれって……彼の魔法は「数が制限されている」ということだ。

 魔法書なんて、そう簡単に転がっているわけじゃない。あるとしても、下級魔法がほとんどだ。中級や上級なんて、中々あるものじゃない。特級魔法になれば尚更だよね。

 つまり、彼の使用できる魔法の数はどれだけあるか知らないけど「質」は大したものじゃない。……もっと言えば


「長期戦向きじゃないね」

「うん。本当、そう思うよ」

「質も大したことなさそうだ」

「うんうん。下級・中級は五十個、上級が七個、特級に至っては偶然あった一個だけだからね」

「それは残念」


 数に制限があるならば、長期戦に持ち越されれば圧倒的に不利だ。しかも一度使えば二度と使えない縛りがある。こちらから攻撃して、防御関連の魔法を使い切らせればもう終わり。

 しかも私と戦う前に九個しかない上級魔法の二つをさっき使っちゃって残り七個になっている。“荊棘地盤”と“避雷巡り”。最初は凄いと思ったけど、何だ本当に大したことないよ。


「それで? 私に秘密を教えたってことは、何か思うことがあるんでしょ?」

「うーん。ま、本音を言えば」

「言えば?」

「これ以上闘うっての、あんま意味ないんじゃないかなってことでさ。……止めない?」

「無理」


 どうせそんなことだろうと思ったよ。アハハ、本当どうしようもない人だねキミ。

 闘うって宣言したのに話の所々にやっぱり闘いたくないって気持ちが溢れ出てるよ。言動や仕草から簡単に伝わってくるよ。嫌なんだよね、本音は闘いなんて嫌過ぎるんだよね。

 だってキミどう見ても戦闘慣れしてないし。貴族なんだから当たり前か、勉強とか習い事とかそんなもんじゃないの? キミが歩んできた人生なんてさ。


「“いななきの風掌”」


 軋むような、割れたような、上空から爆発的な圧力で押し潰された音が鳴る。

 私の前にいた男の子は、今は地面と密着状態。真上から振り下ろされた拳の形となった風の風圧により叩きねじ伏せられたからだ。ガッと口から漏れた言葉とともに、今は私を見上げる格好となる。


 シルド。キミの魔法は優しい解説によって充分わかったよ。ありがとう。古代魔法ということも理解した。だから私は誠意をもって対応するね。キミにとって有利な短期戦にしてあげる。といっても──


「私の独壇場なんだけどさ」


 タンッと右足で合図を送る。呼応して蒼髪くんの真下より地下の土で固められた球体が砲撃の如く発車された。今思いつきで考えた……ていうか、私の魔法は全部自分で作った魔法だけどさ。魔法書なんて読む必要ないしね。キミと違って。魔法名も適当でいいや。


「“岩砲”」


 そのまま吹き飛ばされた男の子は、何とか体勢を立て直して地面に着地しようとするけれど。私がそんな地面に立たせてあげるなんて許すはずないじゃん。

 もはや言葉なしでも出現させられる十八番、“紅蛇火”で追撃。目を大にして燃える蛇の群れを見た彼は、左手にある本を緑色に輝かせて、右手を前に。何かを呟いたと思うけど、ごめん聞こえないや。どうでもいいし。

 柱の召喚。

 彼の前に上空より一回り大きい柱が降ってきた。数は三本。盾にするつもりらしいね。馬鹿だなぁ、さっきの“紅蛇火”は一直線に突っ込ませたけど、それはキミの様子を伺う意味も込めてなんだよ? だから、私が意識すれば、炎蛇たちはスルリと柱をすり抜けて……


「蛇にモテる気分はどうだい?」


 今度は相手にぶつかったら爆発するよう細工しておいたよ。もちろん思いつきでね。

 仰け反る形で、何とか地面に着地した蒼髪くん。ちょっと驚いたのは、直撃した中でも視線は私に向けていたことだ。戦う者としては満点だ。

 そして自分を中心に陣形魔法を発動、植物の蔓みたいなのが数十本私に向かって襲ってきた。きっと束縛する魔法だね。だからそれを難なく燃やして欠伸して、私は彼を風の刃で切り刻む。


 続いて土で作った大人三人分ぐらいの大きさを誇る右腕で一発の昇拳をお見舞いし、布切れみたいに飛んだ彼を氷の大砲で射出する。魔力球場の奥に突っ込んで、グラリと前へ倒れこもうとしたところをもう一度“紅蛇火”で攻撃。

 そのまま蛇たちを彼の腕とか足に喰らい突かせて固定。さながら十字架に貼り付けれた格好になったのでした。時間にして二分ぐらいかなぁ。


 血が滴り落ちる。

 顔はだらしなくダランと垂れ下がり、口は哀れに開いていて。

 綺麗だった蒼髪も赤色がやや混じって変な感じ。けれど左手にある一冊の本だけは未だに持っていた。ってことは魔法が消えてないってことで、彼にはまだ意識があるってことになる。……ふぅん、まだ保ってるんだ。意外だね。

 力の違いってやつを見せつけたかったからいいけどさ。ここまでやってまだ魔法が消えてないのはやや不満があるわけですよ。心が折れてないっていうのかな。


「もう終わりでいい?」

「……ハ……ァ、ハ、ァ」


 何とか呼吸してますって感じ。そろそろ諦めてくれると嬉しいんだけど。


「二つ……カハッ! 聞いて、いいかな」

「別にいいけど」

「その魔法は、全……部、独自に、作っ、た、ものなのかい?」

「正解。もう一つは?」

「ちょっと、前、の質問。僕が……勝ったらってやつ」


 え、とあーあー。確か私が負けたらアズールの征服を諦めるってやつかな。

 凄いなぁ、この状況下でそれ聞いちゃうんだ。ここで私が諦めるって言ったら無駄に頑張っちゃうんだろうなぁ。それはそれで面倒だね。でも、さらにそこを叩き潰したら二度と私に手を出そうとは思わないだろうし。長い目で見たら後者が最善……だね。


 何より私の方から彼を連れ出した負い目もある。

 あの本を見た時「この人には大きな何か」がある、と直感した。事実それは古代魔法だったけれど、蓋を開ければ大したことはなかった。だからお礼と言ってはなんだけど──


「いいよ、征服を諦めてあげる。やってみなよ悪あがき」

「……」


 何とか動かしていた口の動作も止まった。やっぱり限界だったみたいだね。かすかに手が動いてる程度。アハハ、何だ、悪あがきどころか強がりだったよ。でもまぁ、ここで私が決定的な勝利を得とかないと後々大変だろうし。

 ってことで……“紅蛇砲”で終幕にしよう。終わり次第、明日はローゼ島の教員らに試合を申し込まないと。一日あれば全員倒せるかな。そして王城に向かわないとね。楽しかったよ、蒼髪くん。“紅



「やるさ、全力で」



 風の爆圧と化した拳が、私を地面へと磨り潰した。

 え?

 待って。

 ちょっ、え、だって、待って。

 彼は、魔法書を読んで初めて記された魔法が扱えるはず。

 何で? だってこの魔法は──今さっき思いつきで……! 



 私が、作った──




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