opening
「俺、…梓のこと、好きになった」
「は…?」
突然の告白だった。
私は、とある高校1年生の、向井 梓。
軽く身の回りのことを話すと、私のクラスは、1年C組。で、C組は、全員が仲が良いことで有名。その中でも、私が特に仲良くしているのが、藤咲 杏花、三浦 佑介、そして、わけわからない告白をしてきた、南川 広樹の3人。
つまり、私を含めこの4人が、1つの仲良しグループってわけだ。
まあ、なぜ仲良くなったかというと、簡単な話で、最初に行った移動教室で、この4人が同じ班だったからなんだけど。
私は、生まれてから中学を卒業するまで、男子と関わったことがほとんどなかった。
正直、恋愛の類は、一切興味が無かった。
だから、今こうして、男子と仲良くしているのは、自分でも驚きなんだけど…
でも、恋愛感情なんてこれっぽっちも無い。
なのに、広樹は…
私に告白をしてきた。
全く意味がわからない。どうしたらいいのかも。
とりあえず、私は断った。
「いや、ごめん。私、恋愛とか興味無いし。…ってか、好きとかそういうの、わかんないから。…というか、…本気でそれ言ってる?」
最後は、完全に広樹を疑った。もしかして…罰ゲームとかかもしれないし。
「ちげえよ。本気だから」
そんな私の淡い期待? を裏切って、広樹は真剣な顔で口を開いた。そして、続けた。
「でも梓、俺のこと、嫌いじゃないでしょ?」
「まあ、そりゃ、嫌いなら仲良くなんかしてないし?」
私は、ありのまま、素直な気持ちを広樹に伝えた。
「だったら、俺にはまだチャンスあるよな!
俺、絶対、梓に俺のこと好きにさせてみせるから!!」
…そしたら、とんでもない方向へ飛んで行ってしまった。
私が!? 広樹を? 好きになる!!?
そんなわけないでしょ…
ていうか、私、恋愛なんてわからないって言ったのに…
そんな私の心の叫びは誰にも届かず、ここから私の人生は大きく変わっていくのだった……