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ああ、ありえない日々  作者: 三毛猫
目覚め
6/6

招待

あれから、頭に入らない授業を終えた放課後。

「――さて、これからどうする?」

夢翔が聞いた。

手元にある教科書をカバンに詰めている。

「…組織に入るか入らないか?」

俺は夢翔に聞き返した。

ていうか、髪飾り取っちゃったからもう組織に入ってるんじゃないだろうか。

そんな風に思ってる俺をよそに、夢翔がコクンと頷く。

「入っていいんじゃない?」

白狐がそう言いながら髪飾りを取り出した。

桔梗はあれから全く変わることなく、いきいきと咲いている。

「―――ん?」

白狐が声をあげた。そして

「稲荷の八霊 恐みも白す。我を導け。この花の名の下に」

フッと消えた。花弁に包まれて。

俺と夢翔の時間は、一緒に5秒くらい止まった。

「えっえぇ!?白狐が明日空にに向かって朝食つくる番なのにどうして!!」

夢翔はかなり混乱してる。

でも、俺だって混乱してる。

どうしたらいいだろうか。

探そうにも何処からどうやって探せばいい?

白狐、白狐何してたっけ。

確か組織に入るか入らないかの会話してたら、急に言霊唱え始めてそれで…。

「あっ」

閃いた。

髪飾りか?

俺はポケットから髪飾りを取り出した。

相変わらず綺麗な桜の花。

その時。口が勝手に動いた。

「雨空の天女、我を攫え。流とともに。この花の名の下に」

その途端。

桜の花弁が舞ったような気がして、思わず目を瞑った。

「龍牙!」

あ、夢翔に言ってない。




「りゅうご~。起きて~?」

「…ん…?」

のん気な声がして目を開けると、白狐がイスに座ってる。

…何か角度がおかしい。

ん?俺が床に寝てるからか。

高い天井が俺を見降ろす。

「ぐらぐらする?」

白狐がまたのん気に聞いてきた。

そう言われてみれば、少しぐらぐらする。

頷くと、「まだ横になってて」と言われた。

素直に天井を見上げる。

すると、目の前に人影が…

「…夢翔?」

「うわゎゎ!!」

ドスン!と俺の上に落ちて来たのは、さっきまでテンパってた夢翔だった。

よくアニメとかで、頭をぶつけたら星が散るけど今そんな感じ。

「り、龍冴、ごめん・・・」

夢翔が申し訳なさそうに覗き込む。

両手を差し伸べてきたので、その手を掴んで立ち上がる。

やっと部屋の全体が見えた。

和やかな日本式の家屋に、なぜか洋風の家具。

俺は畳に寝ていたわけだ。

奥の麩から物音が聞こえた。

3人で顔を見合わせて頷くと、その麩に手をかける。

「―――やぁ、やっぱり来てくれた」

開くか開かないか、そんな時に聞こえたあの教師の声。

ニヤリと笑んだ口元、普段かけているはずのメガネを取っているからか雰囲気が違う。

そして、和装。別人だ。

「入っておいで」

その言葉に、なんの躊躇もなく夢翔が踏み入れた。

続いて白孤、最後に俺。

麩を閉めた瞬間殺気を感じた。

影が横切った、気がする。

「・・・物騒」

白狐が呟くのが聞こえたと思ったら、ドカンと床に二人なぎ倒された。

トッ、と床をける軽い音がしたと思ったら、夢翔が最後の一人の顔面に着地する。

ぐえっと変な声を出して、襲ってきた3人はのびていた。

「どうやら本物みたいだね」

七槐はホッとした顔をして懐から眼鏡を取り出して掛けた。

「最近物騒でさ、テストさせてもらったよ」

合格、と言って立ち上がる。

「君たちには色々説明したいんだ。能力とかも、教えて欲しいしね」

七槐の言葉に、夢翔が首をかしげた。

「のうりょく?」

「―――今は、ついておいで。ここは受付みたいなもの、本部に案内するよ」

すっと七槐が掛け軸みたいなものを避けた。

暗い道が続いている。

その中へ、俺たちは進んでいった―――



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