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第四中学校の合わせ鏡

作者: 絹ごし春雨

 ねえ、知ってる? 第四中学校の合わせ鏡。

覗き込むと昔の自分と話せるんだって。

嫌なことがあった人が行くんだって。

ねえねえ、その人、どうなったのかな。



 その噂を聞いたのは、同窓会だった。根暗だったやつがイメチェンして語ってた。


あれ? こんなやついたっけ。

でも、面白いからいいか。


「へー。聞いたことないな。楽しそうじゃん」


裕太が言った。


「肝試しする?」


「馬鹿か。学校なんて閉まってるじゃん。不法侵入で捕まるぞ」


思わず俺はつっこんだ。


「つまんねーの」





しばらくして裕太が失業したと聞いた。


連絡を取ろうとしたが、俺も忙しく、会えたのは4ヶ月後だった。


「どうよ。大丈夫か?」


「ああ。新しい彼女もできたし。上手くやるよ」


裕太の彼女がやって来る。


「あれ? お前趣味変わった?」


ド派手な格好に、強気そうな女の子。


裕太って家庭的な子が好き。とか言ってたのに。首を捻った。


「そうだったか? 変わってないぞ」


裕太は言った。


「そうか?」


首を傾げながらも、意外と元気そうな裕太に安心した。



半年後、俺はいつの間にか借金の連帯保証人にされていた。


何でだ?


考えてもわからない。


昔は良かった。

それこそ学生の頃は、夢があってがむしゃらに生きてたっけ。


第四中学校が見えた。


ねえ、知ってる第四中学校の合わせ鏡。

覗き込むと昔の自分と話せるんだって。

嫌なことがあった人が行くんだって。


ふと、思い出した。

馬鹿馬鹿しい。


でも、学生の頃の自分が、今の自分を見たらなんて言うだろう。


俺は気になった。


フェンスに手をついて飛び上がる。


俺の身体は学校内へと吸い込まれていった。


「あった」


北向きの階段。3階部分にそれはある。


合わせ鏡。


俺は覗き込んだ。


俺の姿が映っている。


「……俺だな」


馬鹿馬鹿しい。


俺だ。


鏡に手をつく。


そしてーー

やつれ切った俺の顔が、嘘みたいな笑顔で笑った。


ザ・陽キャ。


「誰だ?」




鏡についていた俺の手は、

握り返されていた。

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