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第四中学校の合わせ鏡

作者: 絹ごし春雨
掲載日:2026/01/01

 ねえ、知ってる? 第四中学校の合わせ鏡。

覗き込むと昔の自分と話せるんだって。

嫌なことがあった人が行くんだって。

ねえねえ、その人、どうなったのかな。



 その噂を聞いたのは、同窓会だった。根暗だったやつがイメチェンして語ってた。


あれ? こんなやついたっけ。

でも、面白いからいいか。


「へー。聞いたことないな。楽しそうじゃん」


裕太が言った。


「肝試しする?」


「馬鹿か。学校なんて閉まってるじゃん。不法侵入で捕まるぞ」


思わず俺はつっこんだ。


「つまんねーの」





しばらくして裕太が失業したと聞いた。


連絡を取ろうとしたが、俺も忙しく、会えたのは4ヶ月後だった。


「どうよ。大丈夫か?」


「ああ。新しい彼女もできたし。上手くやるよ」


裕太の彼女がやって来る。


「あれ? お前趣味変わった?」


ド派手な格好に、強気そうな女の子。


裕太って家庭的な子が好き。とか言ってたのに。首を捻った。


「そうだったか? 変わってないぞ」


裕太は言った。


「そうか?」


首を傾げながらも、意外と元気そうな裕太に安心した。



半年後、俺はいつの間にか借金の連帯保証人にされていた。


何でだ?


考えてもわからない。


昔は良かった。

それこそ学生の頃は、夢があってがむしゃらに生きてたっけ。


第四中学校が見えた。


ねえ、知ってる第四中学校の合わせ鏡。

覗き込むと昔の自分と話せるんだって。

嫌なことがあった人が行くんだって。


ふと、思い出した。

馬鹿馬鹿しい。


でも、学生の頃の自分が、今の自分を見たらなんて言うだろう。


俺は気になった。


フェンスに手をついて飛び上がる。


俺の身体は学校内へと吸い込まれていった。


「あった」


北向きの階段。3階部分にそれはある。


合わせ鏡。


俺は覗き込んだ。


俺の姿が映っている。


「……俺だな」


馬鹿馬鹿しい。


俺だ。


鏡に手をつく。


そしてーー

やつれ切った俺の顔が、嘘みたいな笑顔で笑った。


ザ・陽キャ。


「誰だ?」




鏡についていた俺の手は、

握り返されていた。

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