第6部-第78章 責任の重み
新しいシフト表を受け取った翌週、さっそく試練はやってきた。
日曜午後、館内イベントの現場責任者として浩一は入口付近に立っていた。
来場者は予想以上に多く、列は外まで伸びている。
無線からは各所の報告がひっきりなしに入る。
「南側の階段が混雑しています」
「駐車場から会場までの誘導が追いつきません」
それらの情報を瞬時に整理し、スタッフに的確な指示を飛ばすのが浩一の役目だ。
普段なら田村や先輩が担っていた立場。
視線が自然と周囲のスタッフや来場者に向き、わずかな異変にも神経が研ぎ澄まされる。
そんな中、突然、会場入口近くで子どもが泣き出した。
親とはぐれたらしい。スタッフが慌てて浩一に報告してくる。
「山崎、北側出口を確認して! 森さんは会場内で親を探してくれ」
自分でも驚くほど迷いなく言葉が出た。
数分後、親子が無事に再会。
周囲のスタッフがほっと息をつく中、浩一は胸の奥で小さく息をついた。
責任者としての一日は、肉体的にも精神的にも予想以上に消耗した。
だが、終業後、スタッフの一人が「浩一さんがいたから回ったんですよ」と笑ってくれた。
――重いけれど、この重みは悪くない。
そう思いながら、更衣室で制服を畳んだ。




