表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大学受験に失敗して就職もせず、気づけば五十歳ニートになっていた  作者: マルコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/145

第5部-第54章 研修初日

研修会場は、警備会社の本社ビルの四階にあった。

 会議室の扉を開けると、すでに十人ほどの男女が席に座っていた。

 年齢も服装もバラバラだが、皆どこか緊張の色を浮かべている。


 浩一は端の席に腰を下ろし、支給された研修資料に目を通した。

 「警備員の心得」「現場での安全管理」「トラブル対応」――

 文字は頭に入ってくるが、どこか現実感がなかった。


 午前中は講師による座学が続いた。

 講師は現場経験が長いという中年の男性で、実例を交えながら淡々と話を進めた。

 「立っているだけが仕事じゃない。周囲の異変に気づくことが一番大事なんだ」

 その言葉が、少しだけ浩一の胸に響いた。


 昼休み、隣の席の男性が声をかけてきた。

 「初めてですか?」

 年齢は自分よりやや若いだろうか。浩一が「ええ、そうです」と答えると、

 「俺もですよ。まあ、やってみなきゃ分からないですよね」と笑った。

 その笑顔に、わずかだが緊張がほぐれた。


 午後は実技訓練。立ち姿勢の確認、巡回ルートの歩き方、無線機の使い方。

 長時間の立ち仕事で足がじんじんと痺れたが、最後まで倒れずにやり切った。


 終了後、講師から「初日にしては悪くない」と言われた瞬間、浩一は胸の奥に小さな達成感を覚えた。

 帰りの電車の窓に映る自分の顔は、ほんの少しだけ引き締まって見えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ