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大学受験に失敗して就職もせず、気づけば五十歳ニートになっていた  作者: マルコ


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第6部-第100章 地域交流イベントの本番

当日、施設の広場は朝からにぎわっていた。

 色とりどりの提灯が吊るされ、模擬店の準備に走り回るスタッフたちの声が飛び交う。

 浩一は胸の奥がざわつくのを感じながらも、深呼吸をした。

 ――五十歳にして初めて、人前で責任を負う場だ。


 西村と一緒に作り上げた企画は、現実と夢を折衷した内容だった。

 大掛かりな射的は諦め、代わりに段ボールで工夫した遊具を作る。

 ヨーヨー釣りの水槽も、浩一が近所の店から借りてきたタライで代用した。

 シンプルだが温かみのある雰囲気に仕上がっていた。


 開始の合図とともに、子どもたちが一斉に駆け込んできた。

 「おじさん! また飛行機作って!」

 「ヨーヨー釣りやりたい!」

 嬉しそうな声に、浩一は自然と笑みを浮かべていた。


 だが、トラブルはすぐに起きた。

 用意していた紙飛行機の材料が足りなくなり、子どもたちが不満を漏らし始めたのだ。

 「どうしよう……」と焦る西村の横で、浩一は一歩前に出た。

 「よし、みんな! その場にある紙でも飛行機は作れるぞ!」


 施設のチラシや裏紙を集め、即席で折り紙教室が始まった。

 子どもたちは大喜びで浩一の手元を覗き込み、次々と飛行機を飛ばした。

 広場の空に、色とりどりの紙が舞い上がる。


 その光景を見ていた保護者のひとりが言った。

 「……あの人、すごいね。工夫して、子どもたちをちゃんと笑顔にしてる」


 気づけば、周囲の視線が浩一に集まっていた。

 陰口を叩かれたあの日とは違う。

 今この瞬間、大勢の人が彼を「役に立つ存在」として見ていた。


 イベントが終わった後、西村が肩を叩いてきた。

 「浩一さんがいてくれて助かりました。正直……見直しました」

 その言葉に、浩一は胸が熱くなった。


 ――五十歳にして初めて、社会の中で認められた。

 その実感が、全身を震わせていた。

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