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そして戻って来たのが予定の時間より遅かったので、マリアが部屋で恐ろしい顔をして待っていた。
「アリサお嬢様、今窓から入って来られましたね? これはどういうことですか? ここは2階だというのに梯子も使わずどうやって? そしてどうやってこの部屋を抜け出されたのですか? お茶の時間になったのでここに来ましたらお嬢様はおられず、窓が開けっ放しになっていました。そもそもどうやって外に出られたんですか?」
私は仕方なくマリアには本当のことを言うことにした。
「そういうことで私は亜空間外殻膜というスキルを身につけてしまったの。それだと体重や筋力を調節できるから、窓から飛び降りたり逆に跳び上がったりできるようになるの」
マリアは黙って私の話を聞いていたが、小声で言った。
「お嬢様、そのオーガ・キングのドルゴランという鬼人は魔人国の四天王の一人とされている者です。そしてそのとき見かけた若者たちというのは半年前にこの王国で異世界から召喚した勇者たちだと思います。魔人からスキルを継承したなどとこの国に知られたらどんな扱いを受けるか分かりません。このことは決して誰にも話さないようにしてください」
さらに私のこの新しい力のことも隠すように念を押された。
それからは二度とこのような外出はしないように2時間ばかり説教をされたのだ。
但し今回のことは男爵であるお父様には報告しないようにすると約束してくれた。
実際私は遺産相続まではこの屋敷をでることはなかった。