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 気がついた時、私は全く別人のしかも西洋人の子供になって見知らぬ森の中にいた。

 これはもしかして異世界転生というあれのことだろうか?

 そしてこの年齢になって初めて前世の記憶が甦ったとか?

 でもそれだとこの体の生まれてから今に到るまでの記憶はどうなったのだろう?

 でも今自分の服を見ると血で汚れている。明らかに刃物で斬られたような服の生地が裂けていて、そこが一番血糊が多い。

 でもその下の皮膚はなんともない。

 そこで私は考えた。この体の持ち主は何者かによって殺されたのだ。

 そして死んだと同時に私の魂が憑依して乗り移った。

 その際転生時の特典として、新しい肉体を修理して使えるということになったのではないだろうか。

 私はこの体の持ち主のことを調べたかった。

「ステータスオープン」

 ダメもとで言って見たら、目の前の空間にステータスのスクリーンが現れた。


『アリサ・ガーネット(三浦亜里沙)

 年齢:10才(23才)

 レベル:L3

 スキル:光魔法L1

     ヒールL1、ライトL1』

 

 光魔法の持ち主だったんだ、この子!

 アリサって私の前世の名前と同じだわ。

 そうか、私は死にかけたけれど、自分自身にヒールをかけて回復したってことにすれば良いんだ、きっと。

 でも、私は斬られた時のショックで今までの記憶を全部失ったという設定にしなくてはいけないだろう。

 とにかくこの体は誰かに保護されなければ生存することもままならない。

 きっとこんな女の子でも襲われたらひどい目に遭うに違いない。

 そのことを考えると全身が硬直して息苦しくなった。

 駄目だ。前世の記憶と一緒にPTSDも持って来てしまっている。

 とまれ。こんなことをしている余裕はない。

 早く人里に行って、自分のことを知っている人に会わなくては。

 こんな森の中でうろうろしていると、肉食獣に襲われれば一巻の終わりだ。

 ところが森の中を歩いているうちにアリサ・ガーネットに関する鮮明な記憶は蘇らなかったものの、体に沁み込んだ本能的な記憶は残存していたようで、日本語ではないこの世界の言語も自然にわかるみたいなのだ。

 そして森の中にいても方角とか既視感があって、自然と人里の方に向かっているという意識があった。この世界に生きていた10年間の勘みたいなものが体に刻み込まれていたのかもしれない。


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