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槍の又左衛門 前田利家が貫いた乱世の幻影と能登の未来  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩


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第9話:信長との亀裂(続き) 第4章:魂の叫び

1557年、尾張の田舎

尾張の田舎は、静かだが俺の心は燃えてる。

織田信長と決別し、那古野城を出てから数週間、俺、前田利家は、小さな村の家の裏で槍を手に持ってた。19か20歳の俺は、赤母衣衆の頭として数々の戦を戦い抜き、「槍の又左衛門」の名を尾張中に響かせた男だ。背も高く、力も漲り、まつとの結婚が俺の魂を支えてる。だが、信長の非情な命令を拒み、織田家を離れた俺の胸は、静寂の中で燃え滾ってる。

「利家! また槍か!」

声が響いた。まつだ。18か19歳のまつは、小柄だがその瞳には魂が宿り、俺に近づいてきた。俺は槍を地面に突き刺し、熱い息を吐いてニヤッと笑った。

「当たり前だ! 槍がなけりゃ、俺の魂は死ぬ。お前、何だ?」

まつが微笑み、手に持った籠を掲げた。

「畑の収穫だよ。お前、信長様と決別して魂が燃えてるみたいだね。でも、その槍、静かに持てよ」

「静かになんて持てねえよ! 槍は俺の命だ! でも、まつ、お前とこうやって暮らすのは、魂に火を灯すぜ」

俺の声が裏庭に響き、まつが目を細めて頷いた。

信長と喧嘩して織田家を出たあの日、俺は魂の叫びを信長に叩きつけた。裏切り者の村を焼き払え、女や子供まで殺せと命じた信長の非情さに、俺の熱い血が逆流した。信長の為に槍を振ってきたが、そんな殺し方は俺の魂が許さねえ。母ちゃんとの「生きて帰る」約束、まつの「私を置いて死なないで」が、俺の魂を燃やしてる。

まつの魂の支え

その日の昼、俺はまつと飯を囲んだ。

小さな卓に野菜と飯が並び、まつが俺の隣で静かに笑う。だが、その笑顔に深い魂が宿ってる。

「利家、こんな暮らし、どうだい?」

まつが熱く問いかける。俺は飯を豪快に食い、ニヤッと笑った。

「最高だぜ! 戦場じゃねえけど、お前と飯食ってると、魂が生き返る。槍を手に持つ熱さが、まつで燃えるんだ!」

まつがクスクス笑い、俺の手を強く握った。

「私もだよ。お前が信長様と決別して、ここに来てくれた。魂が燃えてるお前を見て、私も熱くなる。お前が戦場で死なないでよかった」

俺はまつの手を握り返し、魂から叫んだ。

「死ぬかよ! 俺はお前と生きる為に槍を手に持つ! 信長の非情さに魂が耐えきれなかっただけだ!」

まつが目を潤ませ、小さな布を差し出した。

「なら、これ持ってて。私が魂込めて刺繍した。お前の槍に結べよ」

俺は布を受け取り、まつの刺繍した赤母衣の模様が燃えるように輝いてるのを見た。俺は叫んだ。

「まつ、お前、魂の塊だな! この布、戦場でも俺を燃やすぜ!」

まつの熱い絆が、俺の魂に火を灯した。

信長の影

その夕方、家の外で馬の蹄の音が響いた。

俺は槍を手に飛び出し、佐々木藤兵衛が立ってるのを見た。

「利家、また会ったな」

藤兵衛が重い声で言う。俺は槍を地面に突き、熱く叫んだ。

「お前か! 信長の使いか! 何だ、魂を試しに来たのか!」

藤兵衛が頷き、目を伏せた。

「信長様が怒ってる。お前がいねえと、赤母衣衆が締まらねえ。戻ってこいって」

俺は魂から叫んだ。

「戻るかよ! 信長の非情さに俺の魂が耐えきれねえ! 俺はまつと生きる! 帰れ!」

藤兵衛がため息をつき、続けた。

「信長様、お前の槍を惜しんでる。お前が戻らねえなら、俺が困る」

「困れよ! 俺の魂は信長に縛られねえ! 槍は俺の為に振る!」

俺が槍を振り上げると、藤兵衛が首を振って去った。信長の影が、俺の魂を揺さぶった。

影の熱い問い

その夜、まつと寝た。

まつが隣で寝息を立ててる。俺は藤兵衛の言葉で魂が燃え、やっと眠りに落ちた。

でも、夢を見た。

暗い森だ。俺が槍を手に持つ。目の前に、黒い影。兜をかぶった武将が、俺と同じ槍を握り、魂を燃やしてる。顔は見えねえ。兜の下は闇だ。

「お前は誰だ!」

俺が魂から叫ぶと、そいつが熱い声で答えた。

「お前が貫いたものだ! お前が守るものだ! 絆は試される! 貫く先に何を見る!」

今回は、影の声に信長の怒りが燃え、まつの目が熱く輝いた。影が俺の槍を指し、まつの刺繍した赤母衣が炎のように揺れた。影が一瞬、俺自身の姿に変わった。

目が覚めた時、心臓がバクバクしてた。汗で全身が濡れてた。まつの寝息が、静寂の中で響いてた。

俺は拳を握り、魂を叫んだ。あの影が何だか分からねえ。でも、信長と決別し、まつと生きる道を選んだ俺は、試練が来ても負けねえ! 槍とまつを手に持つ! それが俺の魂の道だ!



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