表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
槍の又左衛門 前田利家が貫いた乱世の幻影と能登の未来  作者: 《本能寺から始める信長との天下統一》の、常陸之介寛浩
18/89

第8話:赤母衣衆(続き) 第8章:小豪族の影

1556年、尾張の田園

尾張の田園は、秋風にそよいでる。

織田信長が美濃を固めた後、尾張の小豪族を掃討する戦が始まった。俺、前田利家は、赤母衣衆の頭として先鋒を任され、槍を手に持って馬に跨がってた。18か19歳の俺は、桶狭間と美濃で戦い抜き、「槍の又左衛門」の名が信長の軍で知れ渡った。背も高く、力もついて、まつとの結婚が俺を支えてる。

「利家! 準備できたか!」

声が飛んできた。信長だ。21か22歳のあいつは、馬上でニヤニヤしてる。背は低めだけど、目がギラギラしてて、俺の隣に並んだ。

「当たり前だ。槍があれば、俺はいつでも突っ込める。お前、小豪族って何だ?」

俺がニヤッと笑うと、信長がニヤリと笑った。

「尾張のちっちゃい奴らだ。俺に逆らう奴を片付ける。お前、赤母衣衆でぶっ潰せ」

「面白えじゃん。槍で突っ込んでやるよ。どんな敵でも貫くぜ」

信長が目を輝かせて、俺の肩を叩いた。

「よし! お前、先鋒で小豪族の首を取れ。槍の又左衛門の名を尾張に刻め」

「当たり前だ。俺、信長の為に突くぜ」

俺が笑うと、信長が笑い転げた。美濃戦の勢いを、小豪族掃討でも続けるつもりだ。

尾張の小豪族は、数こそ多いが、まとまりがねえ。信長は尾張と美濃を固める為に、反抗的な奴らを片付けるつもりだ。俺は赤母衣衆を率いて、信長の先鋒として突っ込む。母ちゃんとの「生きて帰る」約束と、まつの「私を置いて死なないで」が、俺の胸に響いてる。

まつの見送り

その朝、俺はまつに見送られた。

城の門前で、まつが静かに立ってた。17か18歳のまつは、小柄だけど、目は澄んでて、俺を見つめてる。

「利家、気をつけてね」

まつが静かに言う。俺は馬から降りて、まつに近づいた。

「当たり前だ。俺、死なねえよ。お前が待ってるからな」

俺が笑うと、まつが小さく笑った。でも、目が少し潤んでる。

「美濃でも危なかったでしょ? 今度は小豪族って、また先陣?」

まつが俺の手を取る。俺はまつの手を握り返して、ニヤッと笑った。

「当たり前だ。槍があれば、俺は負けねえ。お前が傷薬くれたから、平気だよ」

まつが涙をこらえて、小さな袋を差し出した。

「なら、これ持ってて。干し柿と傷薬だよ。お前、無茶するから」

俺は袋を受け取って、ニヤけた。

「またか。ありがとよ、まつ。お前、ほんと頼もしいな」

まつが笑って、俺の胸に顔を寄せた。

「生きて帰ってよ。それが約束だよ」

「当たり前だ。俺、まつを守る為に戦うんだ」

俺はまつの頭を撫でて、馬に跨がった。まつが見送る中、俺は信長の軍と共に出発した。

小豪族掃討の開始

小豪族の砦に着いたのは、数時間後だ。

田園の中に小さな砦があって、50人ほどの兵が守ってる。信長は奇策で包囲し、俺は赤母衣衆を率いて突っ込んだ。

「利家! 突っ込め!」

信長が叫ぶ。俺は赤い母衣を背負い、槍を手に持って、馬を駆けた。

「うおおおお!」

砦の門に突っ込み、俺は槍を振った。門番が俺に襲いかかってきた。俺は槍を突いて、ぶっ倒した。血が飛び散り、泥に混じる。小豪族の兵が混乱する中、俺は赤母衣衆を率いて突き進んだ。

「利家、右だ!」

藤兵衛が叫ぶ。俺は右に槍を振って、敵を突き刺した。砦の守りが崩れ、信長の軍が一気に押し寄せた。小豪族の頭は逃げようとしたが、俺の槍がそいつの背を貫いた。

戦いは短時間で終わった。砦は落ち、信長が勝ちを収めた。俺は血と泥にまみれて、槍を握ってた。

影の新たな展開

その夜、野営地で寝た。

戦の疲れで、俺はすぐ眠りに落ちた。

でも、夢を見た。

暗い森だ。俺が槍を持って立ってる。目の前に、黒い影。兜をかぶった武将が、俺と同じ槍を持ってる。顔は見えねえ。兜の下は闇しかねえ。

「お前は誰だ?」

俺が聞くと、そいつが低い声で答えた。

「お前が貫いたものだ。お前が守るものだ。絆は試される。貫く先に何を見る?」

今回は、影の姿が少しはっきりした。兜の下に、まつの目が浮かんだ気がした。

目が覚めた時、心臓がバクバクしてた。汗で全身が濡れてた。藤兵衛の寝息が、静寂の中で響いてた。

俺は拳を握った。あの影が何だか分からねえ。でも、小豪族を貫き、まつを想って戦った俺は、試練が来ても負けねえ。槍とまつを手に持つ。それが俺の道だ。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ