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第七十一話

帝都アルテミスの拠点となる家は、午後の穏やかな陽光に包まれていた。

窓から差し込む光が木製の床に暖かな模様を描き、暖炉の火は消えていたが、かすかな残り香が部屋に漂っていた。

私は自室のベッドに座り、白いワンピースを着ていた。

スカートに隠した狩猟刀の冷たい感触が太ももに残り、かつての森での戦いの記憶を呼び起こしていた。

紫の瞳が部屋を見渡し、心の中には最近の出来事が渦巻いていた。

数日前、ボロボロの姿でこの家に現れたロザンナは、ミリアのヒール魔法で怪我が全快しつつあった。


彼女の赤い瞳が再び輝きを取り戻し、優雅なローブを着て部屋を歩く姿を見ると、胸が温かくなった。

「…姉さん、元気になって、良かった」と呟き、紫の瞳が窓の外の石畳を捉えた。首に掛けた白銀のロケットペンダントが陽光に反射し、広場での再会を思い出させた。だが、心の奥にざわめきがあった。

「…髑髏の仮面。危なくない?」と呟き、彼女がギルドで戦った記憶が頭をよぎった。


部屋の静寂が続くなか、広間からロザンナの声が聞こえてきた。

陽光が彼女の黒髪を照らし、赤いペンダントが首元で輝いていた。

ミリアがキッチンで何かを準備し、レオンとガルドが広間で軽い訓練をしている気配を感じた。

心が揺れ、「…姉さん、何か話す?」と呟き、静かに広間へ向かった。

木製の床が微かに軋み、陽光が私の白銀の髪を優しく撫でた。


広間に着くと、ロザンナがソファに座っていた。暖炉の灰が薄暗い部屋に寂しさを添え、陽光が窓から差し込んで木製の床に柔らかな影を投げかけていた。

彼女の赤い瞳が真剣に私を見つめ、静かに話し始めた。

「…暗殺者ギルドを襲撃した髑髏の仮面について、もっと詳しく話すよ」と弱々しいが力強い声で言った。

心が緊張し、「…姉さん、辛い?」と呟き、紫の瞳が彼女を捉えた。


「その髑髏の仮面は、驚異的なスピードと力を持っていた。剣を素早く振るい、煙幕を使って姿を消す戦い方だ。

私の仲間たちは一瞬で倒され、私は煙幕で逃げただけ」とロザンナが語った。レオンが「…厄介な相手だな」と呟き、ガルドが「クソッ、俺がぶっ倒す!」と拳を握った。私の胸は不安で締め付けられ、「…姉さん、危なかった」と呟いた。

彼女の傷だらけだった姿が頭に浮かび、心が痛んだ。

血に濡れたローブ、震える手――その記憶が、静かな湖面に投げ込まれた石のように私の心を揺らした。


ロザンナが続きを話し始めた。

「あの髑髏の仮面に勝てるとしたら、リリィくらいだ」と言い、赤い瞳が私を捉えた。心が跳ね、「…私?」と呟き、紫の瞳が彼女を見つめた。

彼女が「リリィは勇者たちの中でも随一の戦闘能力を持つ。しかも、表立って戦うことがなかったから、敵にその強さの前知識がない。勝つのは至難の業だ」と説明した。胸が誇らしさと不安でいっぱいになった。


「…強い? でも、怖い」と呟き、狩猟刀の感触を確認した。森で盗賊を殺した日のように、力は自然に湧いてくるが、その先にあるものが分からなかった。

突然、ロザンナが顔を伏せ、肩を震わせ始めた。陽光が彼女の黒髪に落ち、暖炉の灰が微かに動いた。

彼女の頬を伝う涙が床に滴り、静寂を破った。心が凍り、「…姉さん、泣いてる?」と呟き、紫の瞳が彼女を心配そうに見た。彼女が嗚咽を漏らし


「暗殺者ギルドのみんなは家族同然だった。最後まで私を逃がそうと戦ってくれた。髑髏の仮面への敵討ちを手伝って欲しい」と涙をこぼしながら頼んできた。

胸が締め付けられ、「…家族、失った」と呟き、村を失った記憶が蘇った。

エドとリナの笑顔が頭に浮かび、老夫婦の温かい手が私の肩に触れた日の情景が蘇った。

「…村。家族」と呟き、胸が痛んだ。

ロザンナが家族を失い、私も同じ痛みを知っている。

彼女の涙が私の涙と混ざり、心が一つになった。


「…姉さん、手伝いたい」と呟き、静かに立ち上がった。

彼女の震える手が私の手を握り、温かさが伝わった。心が決まり、「…一緒に、戦う」と呟いた。


ミリアが「私も賛成だよ、ロザンナちゃん、リリィちゃんと一緒に、あなたの敵討ちを支える」と優しく言った。

緑の瞳が私を捉え、静かな信頼が伝わった。心が温かくなり、「…ミリア、ありがとう」と呟いた。

レオンが「リリィ、戦う覚悟か?」と尋ね、ガルドが「なら俺も加わるぜ!」と拳を握った。ロザンナが涙を拭い、弱々しい笑みを浮かべた。

部屋の空気が変わり、陽光が窓を照らした。


レオンが地図を広げた。陽光が紙に反射し、帝都の構造が浮かび上がった。

ロザンナが「髑髏の仮面はギルドの跡地に現れるかもしれない」と言い、赤い瞳に決意が宿った。

心が緊張し、「…危険。でも、行く」と呟いた。

ミリアが杖を手に持つと、魔法の準備を始め、ガルドが「前衛は俺がやる! リリィは後ろで仕掛けてくれ」と言い、レオンが「ミリア、サポート頼む」と頷いた。

ロザンナが「私の情報とリリィの力なら、勝機はある」と呟き、赤いペンダントが輝いた。

私の胸は決意でいっぱいだった。


「…姉さんの家族、守る」と呟き、白銀のペンダントに手を置いた。


陽光が部屋を満たし、敵討ちへの一歩が始まった。森で盗賊を殺した日のように、力は湧いてくるが、今度は姉さんのために使う。心が静かに決まった。


計画が進められ、部屋の雰囲気が緊迫感と希望で満たされた。

暖炉の灰が静かに揺れ、陽光が私の白銀の髪を照らした。心は家族への想いでいっぱいだった。


「…姉さん、ミリア、仲間。一緒なら、大丈夫」と呟いた。ロザンナの涙が乾き、彼女の赤い瞳に新たな光が宿った。


ミリアが「リリィちゃん、一緒に頑張ろうね」と微笑み、小さく頷いた。


レオンとガルドが準備を進め、部屋に団結の空気が流れた。

窓の外の陽光が未来を照らし、髑髏の仮面への戦いが私たちを一つに結びつけた。

ペンダントが絆の証として輝き続け、希望が胸に広がった。


「…約束。勝つ」と心の中で誓い、ロザンナの側に寄った。彼女の震える手が再び私の手を握り、温かさが心を満たした。

部屋の静寂が戻り、陽光が木製の床に優しく落ちていた。

私の心は、森で初めて自分を見つめた日のように、静かな波紋を広げていた。


答えはまだ見えないが、姉さんのために戦うことが、私の道なのかもしれない――そんな予感が、胸に宿っていた。

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