表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/11

柊薫(委員長)、異世界を喜ぶ

始めまして、私の名前は柊薫。

小説家を志す新米転移者です。


今回は私の話をしたいと思います。

どうぞよろしくお願いします。


私はとある一企業の社員でした。

そしてその傍ら小説家を目指して日々精進していました。


そんなある日、仕事帰りの事。

私の足元に突然魔法陣のようなものが出来上がりました。


そして次に目にしたのは、よく目にしたような木々。

私は森に転移したようなのです。

辺りを見渡せば知らない植物と知らない小動物。


私は小説家を志す者。

異世界転移したのだと直ぐに分かりました。


私の心は湧きあがりました。

これは小説を書くチャンス!

異世界での生活をそのまま小説に興せばきっと売れること間違いない。


ふひひひひひひ


おっと、涎が・・・。


私はその後早速移動を開始しました。

幸い、光が見えていたのですぐに森を出ることが出来ました。


私は運がいい。


そのまま、まっすぐ歩くと目の前に大きな街が見えました。

まさかそれが王都だとは・・・。


私は早速王都に入ります。

王都は洋風な造りの建造物に囲まれていてザ・異世界という感じがしました。


まず私が行ったのは冒険者ギルドを探すこと。

もしや無いのかもとひやひやしましたが何とか探し出すことに成功しました。


その後、直ぐに私は冒険者ギルドに登録しようとしましたが、ここで大きな問題に差し掛かります。

それは、最低限の教養と実力が必要なようなのです。

なんでも以前までは身分の差が今よりも顕著で、仕事にありつけない人が付く職のようでした。

しかし、そのせいで死者が絶えなく、それを根絶するために今の制度に変わったらしい。

そのおかげで現在は冒険者という職の地位が上がったらしい。


・・・うふふふふふ

大変なことをしてくださいましたね、その場に私がいたら冒険者になる前に叩き潰して差し上げたのに・・・。


まあ、いいでしょう。

私の自頭の良さと戦闘能力を見せて差し上げましょう。

おそらく異世界転移の恩恵で私はとんでもなく強くなっているでしょうし・・・今のところそんな感じはありませんが・・・。


さて、早速試験を開始いたします。


結果・・・不合格。


ふう・・・あり得ません!

何も変わってないではありませんか!

神め。さぼりやがって・・・。


しかし、納得いきません。

私はもちろん審査官に詰め寄ります。

出来るだけ笑顔で。

威圧しないようにして、さりげなく教えていただくのです。


あら?後ずさりした・・・。

なぜでしょう。

私も一歩前に出ます。


すると、審査官は顔を青ざめて説明し始めました。


なんか納得いきません。

私が脅迫したみたいではありませんか。


まあいいです。


いきなり試験に合格なんて面白くありませんから。

私の小説に求めるのは新鮮さなのです。


それで、審査官の評価ですが、何もかもダメだったそうです。


ふっ、調子乗りやがって・・・。

あ、審査官さんの唇が紫に・・・、寒いのかしら?


筆記試験は0点だったそうです。

可笑しいですね、そんなはずはないのに。


審査官さんは間違いはないと弁明しています。

何を怖がっているのでしょう。


そして、実技試験。

これは聞くまでもありません。

だって、私自身ダメダメだった自身がありますので。


仕方がありません、ここは引きましょう。


冒険者ギルドを出た頃には日が落ち始めていました。


先に今日の泊まる場所を考えなくては、早速外で寝るなんて嫌ですからね。


私はいい具合に泊めてくれそうな、それでいて安全そうな方を探しました。

出来ればお年寄りがいいですね!


そして、暫くさまよっていた私の前にちょうどよく困っているおばあさんが転がっていました。

これはチャンス!

私はおばあさんに声を掛けました。

そして、お手伝いをし、そのままうまいこと居候することに成功しました。


さすが私。

流石にごくつぶしになるつもりはありませんよ。

しっかり働きますよ。


この日から約一か月の間、私はおばあさんの手伝いをしながら、それ以外は図書館で時間を過ごしました。


図書館では国々の生物、植物、環境、歴史など様々なことを可能な限り調べつくしました。

おかげで私はあまたの知識を手に入れました。


え?もう一度冒険者試験を受けるのかって?

そんなわけありません。

私はあんな野蛮な集団には入りません。

私は内政官を目指します。


というわけで、私戦いは諦めましたわ。

別に戦わなくてもいいのです。

私は自頭の良さを活かします。


というわけで、早速王宮に行きました。

もちろん私を雇ってもらうためです。

私の強みは転移者であること。

きっと彼らの度肝を抜けるでしょう。

おほほほほほ、私の内政官無双の始まりですわ!


と思いましたが、門前払いされました。


失礼な方々ですね・・・薙ぎ倒してあげようかしら。


しかし、仕方がありません。

いきなり言って雇ってもらえるとは思いませんでしたし。

しかし、困りましたね。

どうしましょう・・・。

そうだ!直接、王様に会いに行きましょう。

早速出発です!


このとき私は気づいていませんでした。

というか、忘れていたというか頭から外れていたというか・・・とにかくやらかしたのです。


その日の晩、私は王宮に忍び込もうとしました。

しかし、さすがに王宮、警備兵が多く侵入できそうもありません。


私はしばし探っていました。

どれだけたっても隙は生まれません。

いつまでたっても王宮に近づけない・・・そんなときです。


背後から肩を叩かれました。


私は言いました。

邪魔しないでと。

なおも背中をたたくお人がいます。

私は当然怒りました。

そして言ってしまったのです。

王宮に忍び込むんだから邪魔しないで・・・と。


言ってしまってから私は墓穴を掘ったことに気づきました。


そして、私は掴まってしまったのです。


そこからの1週間は地獄のようでした。

詰所の牢屋に入れられ、やることがありません。

これでは小説を書くこともできない。

だってここにいても何も起きませんし・・・。


やることもなく、ただ時間が過ぎるのを待つ日々。

正直、おばあさんの家に帰りたくてぐずぐずしていると、ついに私は牢屋を出されました。


向かう先は王宮。


私は、徐々に冷汗が止まらなくなりました。

私は殺されるのだろうか。どんな目に合うのか。どんな痛い目に合うのか。

今更後悔が押し寄せてきました。


しかし、玉座の間で待っていたのは、私の想像と違っていました。


まず目についたのは、隣に見えるきれいな女性。

ずっと下を向いて目を泳がせています。

私以上に汗を流して動揺しています。

この人は何をしたのでしょう?


そのまましばらく待たされました。


次に来たのは、かっこいいタイプの女性。

目が合った瞬間、私が彼女が同郷だと気づきました。


なぜ気づいたのかって?なんとなくです。


そして最後に男性が現れました。

顔を真っ青にしています。

この人も同郷だとすぐ気づきました。


そして、正面の椅子に座っている人が話し始めます。

たぶん王様かな?


その人は隣のきれいな女性を聖女と言います。

きれいな聖女様ですね。


そして彼女の醜態の数々・・・アホだと思いました。


他の方の・・・いえ、柊薫さんの罪状もお聞きしました。

思ったより大したことなかったですね。


そんなこともあり罪を償う形で、私は勇者探しの一員となったのです。


・・・・・・・・・・・・私が内心喜んだのは内緒です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ