出会いは急なもんで。(6)
「テレビ局って言っても報道部や新聞社とかのカメラマン助手。他にも記者の真似事みたいなこともやってます。
今日はたまたま休みになったので皆と飲みに来ました」
彼女はそう言った
普段は先輩カメラマンと共に色んな現場へ飛び、シャッターに納めていることから、家に帰れないこともしばしばあること、
中々に多忙な仕事内容や現場でスクープした芸能人の面白ネタなどと話せる範囲で話してくれた
一同、興味津々にお互いの話を聞いては、世間話などをし、終始笑いの絶えない時間を過ごした。
彼女たちと出会ってから1週間経った。
皆それぞれの毎日に戻っていた
俺はというと
「今村さん、3番の電話です」
「お電話代わりました今村です。いつも、御世話になってます~」
絶賛電話対応、
「こういったお客様向けのプランもあって、お一人様からでもご利用できます~」
接客対応と変わらない日常を送っていた。
そして、昼休み
孝輔に誘われ、とある喫茶店にいた。
「先週は楽しかったな」
「本当な いい気分転換になった」
「あの後シゲたち早速、三沙さんたちの連絡先聞いてたからな。」
「相変わらず早いなあいつら(笑)」
注文したコーヒーにサンドイッチを食べながら二人の話に心が和んだ。
やりがいのある仕事ではあるが、ストレスは憑き物で仕事中のいい息抜きになった。
孝輔は再度注文したコーヒーを飲みながら
煙草を燻らせた。
根っからのコーヒー好きで無論ブラックで飲む本格派である。斯く言う俺は備え付けの砂糖とミルクを必ず淹れて飲む邪道派である
と孝輔の徹底した嗜好に感心しながらコーヒーを飲んでいたときだった。
不意に孝輔が口を開いた
「お前は誰が好きなんだ?」
!?
思いもよらぬ問いかけにしっかり噎せた
「大丈夫かよ」
「ゲホゲホッ なんだ急に!?」
「いや、お前はあの4人の中だったら誰が好きなのか気になってよ」
「あ~びっくりした。そうだな・・
皆いいとは思うけど・・・」
ふいに友枝さんの姿が頭を過った
最初に目があった瞬間から何故か惹かれるものがあった。けれど、気のせいだと自分に言い聞かせ、答えをあとにした。
「お前は誰がいいんだよ?」
孝輔から先に言わせることにした
「俺か?俺はそうだな・・友枝さんかな。」
!
まさか孝輔も、と驚いた
俺と重なるとは思いもよらなかった
しかし単なる偶然なのだと自分に言い聞かせ、
「青葉さんかな。」
彼女とは仕事も同じな上に向こうも俺に興味を持ってくれていることから彼女の名前を出した。
「おっ意外だな。お前のことだから友枝さんを選ぶと思ったんだけどな」
「どうして?」
「佑三子ちゃんに似てるとこがあるじゃん。」
「何であいつが出てくるんだよ?
どこも似てないじゃん」
「ただ何となく雰囲気が似てると思ったからかな、どこか寂しそうにしてるところとか」
「まぁ彼女に関しては仕事が忙しくて友達と滅多に逢えてないしな」
「それもそうだけど、何かこう、助けてくれって言ってるような目をしてる気がするんだよな」
「考えすぎだよ、社会人なんだから自分で何とかするだろうよ」
「それもそうだな。でも、いざっていう時は
彼女たちと俺らで助けてやろうぜ、もう友達なんだからよ」
「・・・そうだな。そんな場面に遭遇したらの話だけど」
それから、俺たちはお互い仕事に戻り、
喫茶店をあとにした。