出会いは急なもんで。(5)
5.初対面
そんなこんなで一同、広いテーブル席に移動した
早速、口を開いたのはシゲだった
「じゃ、まぁ早速ですが、自己紹介といきますか。私が歌い手の北山繁治です」
「ぽっと出のね!」
すかさず、合いの手をはさむ春雄
「お黙りさなさい春雄くん、自己紹介の途中よ!君。」
「名前を言ったからもうお終い、どうも皆さんはじめましてドラマーの高野春雄です」
「アマチュアのね」
「まだまだこれからですよ」
漫才調で自己紹介を進めていく2人
女性陣は酔いも回ってか、つられて笑いが絶えない。
そんな二人を他所に孝輔が口を開いた。
「まぁ2人は置いといて、どうもはじめまして竹中孝輔と言います。こっちは今村良太郎です。」
俺の紹介まで済まされそうになったが、
「どうも、はじめまして」と
一言だけ伝えた。
男性陣の紹介が終了して女性陣に移り
ロングヘアの女性から紹介が始まった
「じゃ私から始めますね、遠坂梨江子って言います。
普段は青山のブティックで働いています。」
「へぇ~青山。
では普段はお忙しくされてるんですか?」
とシゲが反応してすぐに
「嘘ですよ、実家が婦人服の販売をしていて
そこの店番やってるんです」
ショートカットの女性が颯爽と訂正した。
「んもう、三沙ったら
たまには見栄、張ってもいいじゃない!」
「あんた、いつも自己紹介盛るじゃない!
普通に紹介できないの?」
中々の見栄っ張りさんだなと思いつつ、
シゲとハルのやりとりと重ねていた。
肝心の二人はというとキョトンとしてい
た。
「あたしは豊橋三沙って言います。
受付嬢やってます。」
「へぇ~受付嬢、これまたすごいな」
と今度はハルが反応した
「嘘です。受付嬢見習い 兼 総務課です」
今度は梨江子さんが訂正した。
「ちょっと、アンタ何で言うのよ!
というか、職場の内部事情バラさないでよ!!」
またしても話を盛られたシゲハルコンビは
再びキョトンとした。
というよりこのお二方はやっぱり見栄っ張りなんだなと分かった。
そして、お隣の幼い見た目の女性へ
「枡川青葉と言います。旅行代理店で働いてます。」
「えっ?」
思わず声を出していた。
なぜなら、自分自身が旅行代理店に勤務しているからだ。
「旅行代理店か。どこの会社で?」
と孝輔が切り出し
「JPトラベルです」
「!?」
驚愕した
「良太郎と同じ会社か」
「えっ!?本当ですか?」
彼女は嬉しそうに反応した。
俺個人も同業者で流石に気になったので聞いてみた
「どこの営業所ですか?」
「千代田です」
「僕は練馬です、何だかすごい偶然ですね」
「本当ですね! すごい巡り合わせ。」
「ひょっとしたら研修の時とか何かの場面で逢ってるかもしれないですね」
「えぇ、二ヶ月ぐらい前にあった社内行事で
見かけたような気がするんですよね」
「あぁ、確かにエリアごとに集まる機会がありましたね。あの時に?」
「はいはいはいはい、二人だけで盛り上がらないの!」
繁治が間に入り、止めた。
「熱中するね、青葉」
「ごめん、ごめん順番忘れてた」
そうしてソバージュヘアの彼女の番が来た、大変申し訳ない。
「森谷友枝です、テレビ局や新聞社などでカメラマンの見習いしてます」
4人の中で一番驚いた