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早退 (2)


「えっ……あぁ…ありがとう」


ちょいちょい、ドキッとさせるなこの子は。


「それと良太郎さん、職場で名字で呼ぶの大丈夫ですよ。私が名字で呼んでるので気を遣って呼んでくれてたんでしょうが、これからは下の名前で呼んでください。」


「いや、でも…社会人だし。友達でも職場といえど、親しすぎると、変な噂たっちゃうんじゃない?」


「私は気にしませんよ。係長からはちゃん付けで呼ばれてますし、それにプライベートの時みたいに呼んでほしいですから。」


「あぁ…そう? じゃあこれからは普段通りにするね。」

「じゃあ、改めてこれからお願いしますね。」

「うん。よろしく。」


なんだか彼女のペースに乗せられることが多いな。

こうして、仕事を中断して来てくれるくらいだから、やっぱり俺の事を意識してるのかな…


「でも、係長は女性社員皆にちゃん付けで呼びますよ。」

「まあ、あの人は基本誰にでもフランクだけど、女性社員全員に下心ある感じだけどな。」

「平等に接するのを心がけてるんじゃないかな?じゃなかったら、あんなに優しくしないと思うんですが?」

「そうかな?普段からイヤらしい顔してるからどっちか分かんないからな(笑)」

「まあ(笑)

散々な言われようですね係長。」



「へっクション!!」

「やだ。係長まで風邪ですか?」

「ズズズ… 今村のが移ったか…

誰かが噂してるな?プレイボーイはツラいな(笑)」

「「www」」



「でもまぁ、あの人はあの性格でたまに憎まれ口たたくけど根はイイ人だからな。」

「そうですよ。それに前の職場の時はこうは行かなかったので」

「あぁ、そっか。青葉ちゃんたちは特にね。」

「だから今の職場に来れて本当によかったです」

「ならよかった。」


一瞬、辛いことを蒸し返させてしまったかと焦ったが、彼女の明るい返答が返ってきたので内心ホッとした。


「それに良太郎さんとも同じ職場で一緒に仕事が出きる訳だし、こうして御宅に訪問して看病ができますから。」


(やっぱり…)

「あのさ、青葉ちゃん」

「はい?」

「前から聞こうと思ってたんだけど…違ってたら、全然否定してくれて構わないからね」

「何ですか?」

(よし、言うぞ…)


ドクンドクン

心臓の高鳴る鼓動が耳に伝わってくる中、意を決して言った。


「青葉ちゃんて俺のこと…」


RRRRR


ガクン

( 誰だ!?このタイミングで!!! )


溜め込んていた力が外に漏れ出すような感覚を覚えた


「出なくていいんですか?代わりに出ましょうか?」

「あ、いや大丈夫。今、出るよ。」

最高のタイミングを逃し、怒りを抑えつつ受話器をとった。

「はい?今村です。」

「私だ。危篤状態は治ったかな?」

「係長…。あぁはい。お陰様で峠は越しました。」

クスッ (後ろにいる青葉ちゃんが静かに笑う声が聞こえた)

「そうか!ならよかった。」

「この度はご迷惑おかけして、スミマセンでした。」

「なーに。いいってことだ。こういう時はちゃんと休んで身体を元に戻しなさい。

休むことが今の今村君の仕事だ。」

「ありがとうございます。」

「復帰したら青葉ちゃんとの話聞かせてくれよ。

「… 係長。」

「ではそういうことだから、お大事に。

休み明けからバンバン仕事してもらうからな。」

「はい、それでは失礼します

…ふぅー」

力を失くしながら受話器を戻した。

「今の電話、係長だったんですね。」

「うん。相変わらずギャグかますからこっちもギャグで応対したよ。」

「息の合ったやり取りですね」

「普段からこうだからね、もう慣れっこだよ。」

「いつも見ていて楽しいです。」

「喜ばしい限りです。

ふぅー。ごちそうさまでした。

すごく美味しかったよ。」

「お粗末さまでした。温まったところで薬も忘れずに」

「はいはい。ありがとう」

薬を飲み終えてから、後片付けまでしっかりとやってくれた。


「さて、一通り終わったから今日は帰ります。」

「うん。本当にわざわざありがとうね。」

「今日はゆっくり休んでください。」

「うん。そうさせてもらいます。」

「あ、そういえばさっき電話きたので聞けなかったですけど、なにを言おうとしてたんですか?」

「あ…あ~

何だっけ?何言おうとしたっけ?」

「あら。」

「ごめん。また今度思い出したら言うね。」

「覚えておいてくださいね。」

「了解」

「それじゃあ、お大事にしてくださいね」

「うん、本当に助かったよ。ありがとう。

気をつけて帰ってね。」

「お邪魔しました。」


静かにドアを閉めて彼女は部屋を出ていった。





「もういい加減、気づいたかな…。」



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