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ブティックHill

「こちらのブラウスなどはいかかがでしょうか?

今ぐらいの季節だと生地も薄くて、着心地もよろしいかと。」

「そうね…じゃあ、それの青色で」

「かしこまりました、ありがとうございます。」

「お会計8,000円でございます、、

ありがとうございました。」


パンプスを履いた富裕層風な女性が傲然と足音を立てながら店を後にした。


平日の昼は客の入りが微妙だ。

最もランチタイムを越えた辺りに少し客足が増えるくらいで夕方などの帰宅時間帯、そして世間一般でいう休日こそが稼ぎ時になる。

今のお客様のように昼から来店される方々は専業主婦か専門学生が多い。


家業を本業にするようになってから、自分の時間を作れるようにもなった反面、給料は前に勤めていた洋服屋よりも減ったのが悩みだ。

最も衣料品、服飾系の仕事以外は今更、始めるつもりはないけれど…。


カランカラン

ドアの開く音がした。

吹き抜けで2階建ての大きめの店内ではあるが建物でいうと小さい店である、そのため入店退店が分かるように入り口には鈴がついている。


「いらっしゃいませ、あら。」

「おっすー梨江子」

三沙が来店してきた。


「結構、早かったのね。15時ぐらいって聞いてたから」

「青葉とのお昼休憩もあったからね、休憩終わりの後にも色々、ブラブラしてたけど飽きちゃってね。結局、その足のまま来ちゃった」

「あぁ、そう。

そういう時ってあるわよね。折角の休みの日だからハメを外すつもりでいざ、やりたいことをやると何故かすぐに飽きたり、時間が早く感じたりって」

「そう。当にそれよ。

なんか、休みの日って感じがしないのよね。」

「でも、羨ましいわ。世間では皆、仕事してる中、喧騒から離れられて自分の落ち着く一時が手に入るのだもの。

それに、お店に顔出してくれたことですし。」

「他ならぬ友達のお店ですもの、当然のことですわ。」

「まぁまぁ、それはそれはどうも、ご贔屓に」

「いいえ~」

「「www」」

などと仕事中とはいえ、三沙が訪れてくれることはすごく嬉しかった。

暫し、店内にお客さんがいない間、二人で談笑していた。


それから…

「今日とかはどんなのが入荷しているの?」

友人とはいえ、仕事は仕事。

遙々、訪ねてきてくれたからには接客をしなきゃね。

「夏前だからね、羽織れるような薄いカーディガンとかブラウスとかかしらね。

三沙の場合だと…今日のコーディネートはトラッド風ね。」

「そうね。シンプルに仕立ててみたの。」

「タータンのジャケットにショーツ、ローファー……

ふむふむ、

アメリカン寄りでプレッピースタイルにもなるわね…よし分かった。じゃあ今日はこんなのなんてどうかしら?」


それから20~30分は経ったことか。

お店にある商品を勧めては、試着するを繰り返した。

梨江子が今日の三沙に合うように仕立てたコーディネートが完成した。


「ブリティッシュ風にして、ちょっとだけカチッとしたら、マニッシュ感が出て今日のコーディネートともシャッフル出来ていいと思うわよ。」

「この組み合わせもいいわね。

やっぱり梨江子に相談してよかった~」

「流行はジャンルは違えど常に頭に入れてるからね。」

「やっぱり、仕事ちゃんとしてるのね。」

「ちょっと、それどういう意味よ?(笑)」

「(笑)

服でいえば、春雄くんとはどうなの?

相変わらず、運転屋さんやってくれてるの? 」

「うーん。最初の頃は直属運転手みたいな感じで休日とかお願いしてたけど、最近は特に何もないかな。何かある度に電話するのも気が引けるし、それに面倒くさいし。」

「彼、あぁ見えて純情だから意外と電話の前で待ってるかもよ。たまには構ってあげなさいよ。」

「なんだか、興味が冷めてきたのよね。

前なんかは投げたボールを拾ってくる犬のような感じで観れてて喜んでいた自分がいたのよ。

それなら、犬を飼った方が早いし、それと流石に彼に対して失礼かなとか思えてきちゃって。」

「結構、辛辣な事言うわね…あんた。

犬扱いはすごいな…。」

「だって、彼って犬に例えたら秋田犬みたいじゃない。」

「…ww確かに言われてみれば、似てるかも!」

「まぁ、そんな感じだから今はお仕事に専念して、休日も自分の時間を大切にするってことに決めてるのよ。」

「まぁ、それもいいわよね。自分の時間も大切にすることも大事だし。

こうして、彼を焦らして気が向いたら相手してあげるのも善しだし。」

「そういうこと。」


暫くの間、雑談を挟みつつ、接客をしていると、お客さんが入ってきた。


「あっ。いらっしゃいませ!」

「じゃあ、私そろそろ帰るわ。流石に彼に失礼かなとか今日はコーディネートありがとうね!」

「うん。また今度ね。」

「うん!バイバイ!」

「ありがとう!またね!」


そうして、店を後にした。

たまの休日を満喫した翌日、いつもの気が遠くなる日常へと戻った。


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