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二人のランチタイム part2


「あ、おはようございます。今村さん。」

「おはよう。枡川さん。」


赴任してから数ヵ月、慣れないことも未だにあるけど、少しずつではあるが、こなせるようになってきた。

旅行業の1日はどこの業界よりも忙しい。


女性従業員の朝は定時よりも早く出勤、(最も最近は少し、改善され頻度は減り、男性陣や班ごとの交代制も導入されてきた。

お蔭様で仕事に余裕がほんの少しではあるが出てきた。)

この日は良太郎さんが先に出社してきていた。


朝礼前に清掃、企画書の用意。

始業後は先方や本社、委託先などから送られてくるFAXのまとめ作業、見積りチェック、

郵送などとやる事が多岐に渡る。

繁忙期などはこれの倍、休む暇なく業務を進めるとあっという間に昼休憩。


基本はデスクでの昼食、稀に職場の人達や良太郎さんと外へ摂りに行ったりがいつもの日課。

この日は仕事が休みだった三沙と外で昼食。


「今日は1日、何してたの?」

「いつもよりもゆっくり寝てた、起きてから渋谷へショッピングに出かけてたわ。あとで梨江子の店にも顔出す予定よ。」

「結構、満喫してるみたいね」

「そんなでもないわ。今日だって久しぶりに服、買いに行ったけど、あまりいいのなかったしね。ウィンドウショッピングも兼ねてぶらぶらしていたわ。」

「いいな~。私もたまには平日休みとかほしいもんな。」

「こうでもしないと、やってられないからね。」

「相変わらず、そっちの仕事も大変?」

「そうね。いつも変わらず、来客対応に追われて板挟みになったり、話の通じないバカな上司や社員に振り回されたり、大変よ。」

「そっか。やっぱりそっちも苦労してるんだね」

「女だからって、何でも押しつけられたり、軽く見られたりするのは気にくわないわ。

人間じゃないみたいじゃない。男も女も身体の構造が違うだけで差別するなんて間違ってると思うわ。」

「そうよね。」

「一体いつからこんな世界になったのかしらね。」

「んー戦国時代とか?」

「そんなに前? そんな時代から虐げられてきたの私たちって?」

「現代と違って、教育できる環境が違ったり、いろんな面で男性に委託するほかなかったからじゃないかな?」

「はぁー。ある意味、尊敬できるな。その頃の先人たち。」


ランチを挟みながらも、淡々と三沙の話で進んでいった。

「でもなんか、青葉って聞き上手よね。」

「そう?そんなことないよ。」

「結構、物知りだしね。」

「小さい頃からずっと勉強させられてたからね。」

「私ももっと勉強させられてたら、青葉みたいになれてたのかな…。」

「大変よ。睡眠時間削られてまで勉強させられて。おまけに遊ぶ時間まで制限させられて自由な時間がほしかったくらいよ。」

「…なんか、ごめんね。」

「いいよいいよ。お陰で今は自由に好きな仕事も出来て、自分の時間も作ることができてるんだから。」

「…そっか。でもそんな風に出来てても

青葉も前の職場では相当、苦労してたんでしょ?」

「まあね。今の職場でも似てる部分がない訳ではないけど、少し意識が変わってきた印象はあるかも。少しずつだけど取り組みが変わってきてるかもね。」

「いいな。私も青葉の職場に転職したいわ。」

「ものすごく大変よ。覚えることもやることも多いし。」

「それもそうね。今からだとまた一から始める事になるんだもんね。辛抱強く待つしかないか。」

「それに仕事だけじゃなくて、結婚することも選択肢だと思うけどね。」

「まぁ、そうよね。ゆくゆくは」

「誰かいい人はいないの?職場に?」

「残念ながら、会社にいい人はいないな。

ジジイかパッとしない男しか」

「…それはしょうがないね。」

「青葉は?誰かいい人見つけた?

あっ、良太郎くんは?

一緒の職場じゃない、あれから進展は?」

「うん。…仕事が忙しいから、今のところ一緒に何かするってのは出来てないかな。

強いて言うならこの間の結婚式と二次会の行き来を一緒に歩いたぐらいかな。

あ。そんなこと言ったら三沙、私たちが店からいなくなった後、繁治さんに水かけたって本当?」



カラン


その瞬間、空気が変わったのか、グラスに残ってた氷が音を立てた。

「あの男がへらず口をタラタラ述べるから頭に血が昇っちゃたのかしらね。

自分でもよく覚えてないのよ。

気がついたら、ピッチャーの氷水をぶちまけてたのよね。

お陰で気分が落ち着いたのか何事もなく家路に着いたのよね。」

「…そうだったんだ。」

「家でお風呂から上がった後、ずいぶんと派手にやらかしたなってちょっと反省したわ。」

「二人とも結構、お酒入ってたし、注目浴びてたもんね。」

「後日、菓子折り持って、お店にも謝りに行ったわ。

あの男と違って、私たちは顔パスではいかないからね。礼儀は大事にしておかないとね。」

「そうだよね。まだ、お店利用して間もないもんね、私たち。

折角だからこれを機に、繁治さんとも仲良くしてみるっていうのは?」

「絶対ありえない。あんな男。

梨江子もあの男のどこに惹かれてるのか不思議だわ。

やっぱり、私は孝輔さん一択だわ。」

「そうかな。」

「そうよ。あの4人なら絶対、孝輔さんだわ。それに今ごろ、絶対受け取った花束、枯らしてドライフラワーにしてるよあの男」

花 「 カラカラ~ 」

たくさん話しているとあっという間に時間が過ぎた。

「ごめんね。お昼休憩なのに私の話に付き合わせて」

「いいよ。お陰でリフレッシュ出来たし」

「じゃ、午後も頑張ってね。」

「うん。梨江子にもよろしく伝えといて」

「了解。じゃまた、今度ね。」

「うん、またね。」

そう言いながら、私は仕事に戻った。


その後、良太郎さんから繁治さんが本当にお花を枯らしていたことを聞かされたが、驚きはなかった。

なぜなら三沙の予言が的中したことに驚いてたからだ。


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