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歌のお兄さん

『 SAY YES 』


歌い終えた三沙は先程までとは打って変わって、椅子にもたれ掛かっていた。


「ふぅー・・・」


「お疲れ様、三沙。すごかったよ。」

「やっぱり、歌上手じゃない!」

「天才よ!」


女性組3人がまず、最初に声をかけた。

そして…


「お疲れ様、三沙ちゃん。すごかったよ!」

「もう歌手だったよ!本当に素晴らしかった!!」

「格好よかったですよ!三沙さん」

我ら男組も参上した。

「ありがとう。・・・」

そう言い残し、下を向き始めた三沙。


「「?」」

「三沙?」

歌い疲れたのか、静かな三沙に一同、不安になると、

「あー緊張した!!もう、すごく疲れた!!

人前で歌うなんて聞いてないわよ!」

「え?」

一瞬、声をあげてしまったが、

「だって、一人で見ず知らずの人たちの前で歌うなんて考えてないもん! 恥ずかしいし、もう最悪よ!! 」

結構、器用に振る舞ってはいたが、内心、心細かったんだな。

彼女の弱い一面を観れた気がした。


「あら、結構マンザラでもなさそうだったけど?」

すかさず、三沙の意思とは裏腹にこういった場を楽しんでいるかの如く友枝が茶々を入れ始めた。


そして、梨江子

「いつになく集中してたから、案外、乗り気なんだな~って思ったわ」


更に、青葉が

「そうそう」


続けざまに茶々を入れ続けた。


「全然、乗り気じゃないわよ。緊張はするし、人の視線は気になるし、寧ろ早く終わってって思ってたぐらいよ!」

と対する三沙はきっぱりとこの機会を望まない姿勢をとっていたが、

「その割には器用に前のボーカルの方とお話してたじゃない?」

「ぐっ…」

「結構、本番前から気合い入ってたみたいだし?」

「ぐぅ…」

「何気に選曲のチョイスも十八番のやつを選んだし?」

「ぐぐ~!」

友枝、梨江子、青葉3人の茶化しがエスカレートしていく。

そして、

「案外、あの歌い手さんが好みだったりして?」

「・・・」

「あら?」

そんな中で梨江子の一言から沈黙が走った

そんな時。


「Ladies and gentlemen. 皆様ごきげんよう。

最近ちょくちょくこのステージで歌わせて頂いていますお馴染みの " 北やん " でーす!」


~ ~ ! !


たまたま、居合わせたシゲのファンが今日も来店していて、歓声をあげていた。


いつもの調子でシゲの前説が始まった

「お。こっちも始まったな。」

春雄がシゲの方へ注目していた。

「では早速、歌の方に入るよ!

今日は僕にとっても最高な日なので

この曲を彼に捧げます。

C○AGE and A○KA で『SAY YES 』」


お得意のトークが始まってすぐ、

シゲの歌唱ムードに変わっていった。


「・・・・・・・・・・・・~」



「なんか…シゲにしてはいい曲を選択したな。」

「…だな。いつもなら自分の歌いたい曲を選曲して場を自分の思うがままに操ってるもんな。」

「ある意味、新郎さんと祝福を与えてくれた 結婚式への感謝の意を表してるのかもな。」

シゲも大人になったな(?)と感心しながら演奏を聴いていると、彼女たちもまた演奏に心を

惹かれていた。


「シゲくん、いいわね。」

「うん。前に聴いた時と違って、バラードも上手ね。」

「やっぱり、日本一のボーカリストなのね。繁治さん」

「・・・」

女性陣3人はシゲの歌声に再度、感動を覚えていた。

そんな中、一人静かにシゲを眺めつつカクテルを飲む三沙の姿があった。


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