修羅場(2)
「あの時も吹っ切れた春雄が梨江子ちゃん見つけたと同時に隣に移ってきたもんな。」
「俺、あいつのケツに強引にすっ飛ばされからな。固いケツしやがってよ。今度、引っ張たいてやる。」
「・・・。」
「なんだよ?」
「いや、お前普段からあいつとじゃれてる時、結構あいつの尻、触ってるから。尻好きなんだなって思ってよ。」
「おいおい、気持ち悪いこと言うな!
たまたまだよ。」
「だよな。あぁ、焦ったぞ、一瞬。
そういう趣味なのかと」
「気色悪いわ。辞めろ(笑)
男の触るより、女の方が嬉しいわ!」
繁治の本心が正常なので安心した。
「それなら何よりだ。
しかし、それならあの4人の中だったら三沙ちゃんなんて一番、理想なお尻してると思うんだけどな。」
「お前はいい加減、尻から離れろ。
あだ名、尻輔にするぞ !
大体、あんな女の尻なんか興味ないってぇの!」
良太郎たちが遅れてやってきた時
あの女との戦いがヒートアップしていた真っ最中であった。
「大体あんたの、
その女性に対してなめくさった態度、前々から気にくわなかったのよ!!」
「こっちだってな! 男の前でころっと態度変えて甘ったるく喋ってるお前の態度がずっと前から気に食わなかったんだよ!!」
二人の罵り合いが更に加熱を増していく
事のいきさつを知っておきたいと
「何があったの?」と
良太郎たちが3人に聞き始めた。
「些細なことで二人が言い争い始めちゃって。」
と友枝さんが教えてくれ、
「止めようとしたけど、もうこの状況。
俺らも諦めかけてたんだ。」
「一度、エンジンかかったら三沙はフルスロットルになっちゃうのよね。」
と孝輔に続いて梨江子さんが教えてくれた。
「それにあんたの流行りに便乗したのか、ロック歌手みたいな髪型も気にくわないのよ。会社員なら会社員らしい髪型にしたらどうなのよ?エセ外国人さ・ん」
「お前こそ流行りのタレントみたいな髪型してんじゃねえぞ。似合ってねぇんだよ!
それにこれはマレットヘアーっていうんだよ!
大体な普段からこんな髪型で仕事なんかする訳ないだろうが!結婚式の時ぐらいお洒落したっていいだろうがよ!」
三沙の言う通り、グラムロックと会社員のようなセンター分けが合体したような髪型だった。
もっとも襟足だけがいつもより気持ち長めだからそう見えてしまっているのだ。(きっとこの日の為にこっそりと髪を伸ばしてたんだな。)
真っ正面から見ると普通の会社員の髪型(?)なのである。
「ところでアンタ、花束大事そうに持って帰ってきたけど、それどうするの?
棄てたら棄てたで問題だけど、このまま持ってたら私とカップリング扱いにされちゃうけど」
「棄てる訳ねえだろ。片方のを持ってるお前には興味ないが、これは明彦と花嫁さんがくれた幸せのお裾分けだ。大事に頂いて玄関に飾っとくぜ。」
「あら、残念。花束が可哀想だわ。あなたみたいな人に飾られちゃすぐに枯らされてドライフラワーにされてまうんじゃないの?」
「なにぃ?」
「終いにはカビが生えてきて無惨な姿に…
あぁ、可哀想なお花さん。」
「ハっ!! (鼻で笑った)
そんな真似しねぇよ。お前じゃ有るまいし。大体な、お前みたいな女だって花なんか似合わないんじゃないか?直ぐに男とっかえひっかえするような奴に本当の花の魅力なんかよ。その辺に生えてるタンポポなんかがお似合いだ!」
「いつ私がとっかえひっかえしたのよ!!
アンタの方がとっかえひっかえしてるじゃない!!
大体、タンポポって何よ!?
今時の男でももうちょっとマシな花の名前ぐらい挙げるでしょうがよ!!」
まだまだ続くな。これは。
止めようにも巻添えをくらうのが目に見えてたので孝輔たち同様、止めずにいた。
すると、ギターの音が響いてきた。
「あ、ライブもうすぐ始まる。
二人は置いといて三人ともステージ近くに移動しない?」
孝輔が三人に呼び掛けた。
「そうね。めでたいカップルですもの。
二人だけにしといてあげましょ。」
「ちょっと待って、繁治さんとまだ…」
「さぁ、行こ行こ梨江子。演奏始まっちゃうわ。せっかくここに来たんだからしっかり聴きに行きましょう」
ぐうの音も言わさないで連れ出す友枝と青葉
「梨江子さん今度、俺が演奏する曲弾いてもらうから。堪能していってね。」
「良太郎、そろそろ演奏してみたくなったんじゃないか?」
「いや、俺はいいよ。もう楽器とは別れたんだから。」
「私、良太郎さんの演奏聴いてみたいな。」
「じゃ、私も」
「あ、それなら私も。」
青葉、友枝、梨江子の3人にもてはやされ
びっくりしつつも悪い気はしなかったが、
楽器とは袂を分けて3年半になるか。
「参ったな(苦笑)」
当分、せがまれそうだ。




