修羅場(1)
「まぁ、何はともあれ結婚式が無事に終わってよかったよな。
式後の後はさらにすごかったけど。」
「本当だよ。あの後の二次会でもひと悶着は起きたし。」
「あれはお前も悪いだろ?」
「俺は悪くない。」
そう。
結婚式が終わって、それぞれが二次会に向かう中、俺らも飲み直すことになり、
孝輔の計らいでHOT SOUNDSへ移動した。
最初は俺と孝輔で向かった。
遅れて、良太郎と青葉ちゃん、
そして春雄が合流した。
しかし、訪れた先でまた遭遇してしまった。
一足早く、来店してたのが友枝さんと梨江子さん。
そして…
「あ``」「げぇ」
互いに嫌な顔をし合った。
やはり、奴もいた。
しっかり花束を携えた繁治と座席の隣に花束を置いている三沙の再び相まみえた瞬間でもあり、
この時からまたしても、暗雲が立ち込めてきつつあったのだ。
そんな2人を他所に孝輔が口を開く
「あれ、3人とも来てたの?」
「うん。梨江子が飲み足りないって聞かないから付き添いでね。」
「繁治さん!よかった。また、会えた!!」
酔いが覚めたのか、いつもの乙女な梨江子さんが出迎えてくれた。入って最初に見えたときは酩酊したおっさんのような雰囲気だったが俺が現れた瞬間に切り替わった。
「や、やぁ。梨江子さん今日は大丈夫?飲みすぎてない?」
話題をそらし、視界に三沙を入れないようにした。
「全然、大丈夫!まだまだ飲み足りないぐらいですし、こうしてまた繁治さんと会えたと分かったら酔いなんてどっか行っちゃいました!!」
「あ~そう。それはよかった。」
「さぁさぁ、繁治さんこっち来て飲みましょう!!」
「お… おーおーありがとう。じゃ、隣、失礼するよ。」
「梨江子、さっきまでシェリー酒3杯くらい飲んで潰れかけてなかった?その辺にしといたら。大好きな繁治さんが面倒みてくれないわよー」
いちいち癇に障る話し方をするなこの女(怒)
「三沙、やめなさいよ」
と友枝さんが割って入り中和してくれた。
「まぁまぁ、せっかくこうしてまた会えたんだから喧嘩しないでお酒を楽しもうよ。じゃ、俺は三沙ちゃんの隣で」
孝輔は三沙の隣に着席。間に友枝さん、そして梨江子さん、俺の席順で飲み直しがスタートした。
「でも、今日はすごい日だったね。
こんな形で皆と再会するなんて思わなかったよ。」
「本当。庭園でも話してたんだけど私たち前世でもお知り合いだったんじゃないかっていう」
「あはは。じゃあ、その頃からの付き合いだとしたら僕ら100歳越えてるかもね。」
友枝と孝輔が仲睦まじく話していると
「えぇ!? そしたら私、お婆ちゃんより年上になっちゃうじゃない」と梨江子が口を揃えた。
「お婆さんはおいくつなの?」
「今年で70」
「へぇ。俺の婆ちゃんもそのぐらいだったな。」
「やっぱり、繁治さんと私って固い縁で繋がってたんですね♡」
「それはただの偶然だと思うんだけど…
だいたい似たような年齢だと思うし。」
などと繁治も話に参加していくと、
「前世でも性別は一緒だったのかしらね?私たち」
と三沙が言い出し、
「今と同じ性別だったら面白いよね。お酒の代わりに皆で縁側でお茶呑みながら話してたりして」
「あはは。もうヤダ。おじいちゃんとおばあちゃんじゃない。」
孝輔のよもやま話につられる三沙
しかし、
「いいじゃん。ジジイババアになっても仲良しなんて元気で仲のいい証拠じゃん。」
と繁治のガサツな言葉が飛んできた。
「じゃあ、あなたはクソジジイね」
三沙のカウンターがいち早くとんだ。
「あぁ? 誰がクソジジイだ!? (怒)」
ガタンと立ち上がり激昂した。
気の短い性格だな。
「孝輔くんは例えばの話に乗っかって話してくれたん で・す。
それにあなたの日頃の言動を聞いているとクソジジイと言われてもまんざらでもないんじゃないですこと?」
三沙の皮肉混じりの回答に対し、怒りのボルテージがさらに急上昇した。
「なんだとぉ?
じゃあ、私からも言わせてもらいますがね貴方も大概じゃないですかあ?
クソババア通り越して、ヒステリックなお局政治家さんじゃないですかねぇ?」
相手を煽ることにおいて、繁治の右にでる者はいないと言われるだけあってか、堂々と挑発し始めた。
「はぁぁあ!?」
今度は三沙が立ち上がった。
「大体、お前はな!」
「何よ!?」
「まぁまぁ二人とも」と
席と席の間だったのもあって孝輔が仲裁に入ろうとすると、
「「 おだまり!!! 」」
「は…はい。」
二人の息ぴったりな迫力に圧倒され萎縮する孝輔。
同じく唖然とした友枝と梨枝子
二人の怒髪衝天な気迫には誰も逆らえなかった。
すると、そこへ、
「お待たせ。青葉ちゃんも連れてき……え?」
「あ。3人とも一緒だったんだね。って何かあったの?」
ようやく遅れて登場した良太郎と青葉ちゃんも運悪くこの場面に出くわしてしまったのであった。
更にもう一人その場へ現れたのが
「うおっす! 呼ばれて飛び出てジャジャジャ…どうしたの?」
式場の時とは打って変わって明るくなった春雄もただならぬ雰囲気を感じとり、自分が場違いなことに気づいて静まり返った。




