豆腐(2)
「良太郎といえばよ、お前。少し前に昼一緒になったって言ってなかったか?」
「あぁ、いつもの喫茶店でな。」
「その時、友枝さんも一緒だったらしいじゃん?」
「本当か孝輔?!」
「仕事で近々一緒になることがあるかもって思って俺が誘ったんだよ。そしたら、良太郎が入ってきたんだよ。しかも青葉ちゃんを連れて」
「青葉ちゃん!?」
「何で!?」
ほぼ同時に食い付いてきた2人
「青葉ちゃんっていったら都心の方で勤務だって言ってたじゃねぇかよ。」
「昼食いにわざわざ来たのか?」
核心を聞き出そうとする繁治とは対称的に雑な問いかけをする春雄
「研修とかで来てたからご一緒にお昼でもってか?」
「彼女、前の勤務先から異動してきたんだとさ。それも良太郎のいる職場に」
「へぇ、また何で?」
「あいつの職場っていったら全店の売上順位の中で下の方だっていうじゃないかよ。」
「青葉ちゃん、相当スゴい問題起こしちゃったのか?」
春雄も大概失礼なこと言うな。と関心しながら答えた。
「彼女たっての希望なんだってよ。」
「あぁ、そう。」
思ってたのと違ったのか、すんなりと引いて冷奴を口に運ぶ春雄
「前から思ってたけど、青葉ちゃんって
ひょっとして良太郎のこと…」
繁治がおもむろに口を開いた。
「あぁ。彼女、良太郎のこと好きだよ。」
「「おおっ!」」
二人同時に反応した。
この二人は似た者同士だな。
「やっぱ、そうだと思ってたんだよ!前の浅草の時から」
「俺も思ってたんだよ。あの二人はきっとそうだって!!」
「嘘つくな、お前。」
「そうだよ!お前あの時、梨江子さんにゾッコンだったじゃねえかよ。」
「そんなことはない!梨江子さんだけじゃなく、俺は皆を観てるんだぞ!」
「じゃあ、聞くが。俺と繁治は誰が好きか分かるか?そんで、友枝ちゃんと三沙ちゃんも梨江子さんも」
「そりゃ、お前決まってんじゃん。」
箸を置き、自信満々に答え出した。
「梨江子さんは間違いなく、俺に惚れてる。友枝さんも三沙さんも今は正直になれてないだけで、いずれきっと俺に惚れ出す。
と言うわけで残念だったなお前ら!
皆の心はいつでも俺にあるんだよ。人気者はツラいぜ」
☆ パ ッコ ーン ★
勢いある二人の丸めた雑誌が春雄の頭部をスイングした。
「痛っ…たぁいなッー!!何すんだ二人とも!?」
「自惚れんな!このマゾバカ!」
「お前に惚れてんなら、何でアッシーくんなんかさせんだよ?」
「梨江子さんは気があるけど、まだ俺の存在に正直になれてないから、アッシーから距離を縮めて俺を必要としていくんだよ!」
「お前の作戦が全てだと思ってんじゃねえぞ!」
「だいたい、俺らのこと当てれてないじゃないかよ!」
「そうだよ!軽くすっ飛ばして、女の子の事しか言ってねえじゃねえかよ!」
「お前らは他の人たち好きになってりゃいいの!」
「なんだと~!?」
とまらない春雄の暴走。
このままでは近所迷惑に発展する恐れを感じた。
いち早く、興奮を抑えて繁治の大噴火をとめるべく酒を飲み干して言い放った。
「俺とシゲは友枝さん。三沙さんはあんな感じだけど、シゲに興味があるんだぜ。」
「えっ !?」
「そうなの?!」
突然の暴露で繁治は固まる。
ハルは自身の思惑が外れ、開いた口が開かない。
「お前とシゲ...友枝さんが..好き...なの?」
左右に首を振りながら、(?_?)状態になってる春雄を他所に繁治が口を開いた。
「いや…お前も友枝さん…が…好きなのか?」
「あぁ。 他の皆も好きだけど、俺は友枝さんが好きだ。」
「おぉ、いいじゃん! だったら言うけど
俺はお前たちと友枝さんがいい関係になると思ってたんだ!」
「よく言えるな、お前。」
さらりと態度を変えた春雄をつっこんだ。
繁治は少しだけ動揺していた。
(あいつが俺を…)
俺は分かっていた。友枝ちゃんのことではなく三沙ちゃんが自分に対して気があったことを知ったからだということを。
「ぁ..でも、意外だな。お前も友枝さんが好きだったとは。俺はてっきりお前が三沙ちゃんに気があると思ってたんだけどな!」
「そんなことはないよ。なんなら、良太郎もあんな感じだけど友枝さんの事が気になるんじゃないかな。」
「えっ、あいつも!?」
「うそ?!」
やはり、二人は似てる。




