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豆腐

RRRRR…

「はい、企画課です。~はい、またお待ちしています。はい、失礼します」

ガチャン

RRRRR…

「はい、企画課です。~はい、ではよろしくお願いします。失礼します」

ガチャン

RRRRR…

「はい、企画課です。~○△課までお電話お願いします。はい、失礼します」

ガチャン

RRRRR…

........

......

....

..

.

「だぁぁぁー!仕事辞めたいっ!!」

「昔のお前だったらとっくに辞めてるもんな」

「毎日、毎日、しょうもない事で相手すんの勘弁してくれ。俺は伝言板じゃないってんだよ!」

「どんな会社であれ、職業であれ、俺らみたいに入社歴の浅い奴らなんか必ず板挟みになるんだからしょうがないだろう?」

「限度があるんだよ。1人の人間に寄ってたかって大多数で口を開くんだから。

だいたい指示出されてるのを見てるのに命令してくんなよ!イヤミみてぇな顔しやがって。

あのセコ眼鏡!」

ゴク ゴク

ガン!!

コップに入ったウイスキーの水割りを勢いよく喉に流し込んでいく繁治

いつにも増して愚痴が止まらない

3人の中でダントツに愚痴の多いのが繁治。

その次に春雄、そして良太郎。

かくいう俺は愚痴を言うことは基本しない。

その場で言っても解決しないから…。

「だったら何でそんな職業選んだんだよ?

バンド解散した時、お前の事だから何かのセールスとかやるんだろうなと思ってたら、市役所勤務。びっくりしたよ。」

モグモグ

「すぐに就職先が確保出来ると思ったからだよ。俺らの場合、解散した頃には廻りの同級生たちが既に内定もらって次に進んでる奴らばっかりだったから、選り好みしてる暇がなかったから仕方なくだよ。」

モグモグ

互いに枝豆をつまみながら話していた。案外止まらないものである。

この家に来て宴会をすると必ず出される一品である。

そして、遅れていつもの小料理が運ばれてきた。

「へーい!お待ちどうさん!!高野家名物油揚げと小松菜のお浸し、特製木綿冷奴、厚揚げサラダ、そして皆大好き豆乳プリン!!」

「毎度変わんねえなお前んとこの料理。」

「しょうがねぇじゃん。家にあるの、これとかしかないんだから。」

「だいたいお前!いつもの事だけど、豆乳プリンとか言ってるけどこれおぼろ豆腐じゃねぇか!」

「おぼろもプリンも食感変わんないって。メープルシロップのかわりに醤油シロップ垂らせば美味しく食えるんだから!もう好き嫌いばっかり言ってたら大きくなれないわよ!!」

「全然違う料理だし!あと好き嫌いじゃねえし、大体これ以上大きくなってどうすんだよ!?」

「もーう!分かったっつの!!!何回やるんだよ?このやり取り」

繁治の言い分も分かるけど、この家で晩酌をすると大概、大豆の料理一式が運ばれてくる。

なぜならここが春雄の実家だからである。

創業30年のこのお店、高野豆腐店

近隣界隈の常連さんが常に利用し、今日まで親しまれてきたお店である。

bar以外などで集まって飲む時は大抵、春雄の家でとバンド時代から決まっていた。そして必ず、売れ残った品をメインに出してくれるのだ。

ここで飲み食いする分には金銭的に不自由せず、困らない。ドンチャン騒ぎは流石にマズいが、少し大声を出しても親御さんは許してくれるといった寛大な計らいに俺たちは今も甘えさせてもらっていた。

「やり取りっていうけどよ。この家にお邪魔したら何も言わなくても毎回、春雄が好き嫌いしないの!とか言ってるじゃねえかよ。」

「お前そりゃ、そうだろう。ウチの豆腐一式はな、栄養満点だし、俺の家に来た奴には絶対に出す、出された人間は残さず食う。それが礼儀ってもんだ。分かったら黙って食え!お前!」

「そんな大事な看板商品を俺らに出していいのか?店の利益に影響するんじゃないのか?」

「あ。安心しろここに出されるのは今日の売れ残り品だから」

「お前…売れ残りを俺らに食わせてたのかよ!?」

「おう、当たり前だ。嬉しいだろ?食べたお前も満足。俺も俺の家も満足。一石二鳥だ!」

「お前さぁ…」

「シゲ!もう食おう。そして、お前もっと飲め飲め飲め。んでさっきの続きを話してくれ。」

そうして繁治の話を遮り、コップに更に酒を注いでいった。

こうすることが繁治を黙らせる一つの手段でもあり、大抵なら空気を読んで良太郎がいつも仲裁をするが今日は不在だ。

「おう。さっきの話って何だよ?」

「えっ、ああ。今の仕事辞めたくてしょうがないっていう話だよ。なんでもかんでも相手にしなきゃいけなくて困ってるって話でさ…」

「そう言えば良太郎どうした?あいつ今日来ないのか?」

「・・・」

「.. あぁ。あいつ今日は残業で来れないって連絡くれたからよ。」

繁治が目を見開いて固まっているのを他所に良太郎の所在を春雄に伝えた。

急な残業で前から伝えていたこの飲み会に出席できなくなったのだ。

「あいつも大変だな。少し前も残業発生して来れなくなった時あったもんな。」

「あいつも人に仕事を教えるポジションになったから忙しいんだよ。」

「そうだよな。皆、次の場所へ移行してるんだよな。お前もウダウダ言ってないで根性見せろ!」

「悪かったな!!後輩がいないから仕事教える機会が出来なくて!!!」

「おう!やるか!?」

「なんだこの野郎!」

酒が入ると漫才が始まるか、イザコザをやるのがこの二人の定番。

流石に面倒くさくなってきた

「もう辞めろ…


胸ぐらを掴み合いながら、力自慢を始め出した二人


いい加減にしろ!!!」

「「・・・・」」

孝輔の一喝でようやく矛を収める二人であった。


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