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集団散歩(4)

「春雄のこと、許してあげてよ。

あいつも悪気があってあんなこと起こした訳じゃないからさ。」

別の場所へ各々、移動してから孝輔が切り出した。

元気がなさそうに梨江子は返答した。

「ははは、別に気にしてませんよ。・・・

苦手なことや嫌いなことは誰にだってあるわけですし・・・だけど、・・・」

「?」

「女性を置いて、逃げることあります?

しかも看板の上まで登って泣き出すって」

「・・・」

「お化けが苦手なら言えばいいじゃないですか。『お化けが苦手だから他の所行かない?』って素直な気持ちを!それをやせ我慢してまで付き合うって」

「・・・。」

「おまけに私の名前まで口に出すって、ほんと私まで恥かいた気分ですよ!」

そっと静かに振り返り孝輔が切り出した

「・・・春雄は・・」

「私、こんなことなら今日来なければよかったです」

梨江子の言葉は止まらない

「・・」

「三沙たちと遊びにいくから無理だって初めからそう言えばよかったですよ、そうしたらこんな思いしなくて済んだのに••ッ••。」

と涙ぐむ梨江子

「梨江子さん…」

「私、繁治さんが好きなのかもしれないんです。」

「・・・」

「繁治さんなら今日のデート楽しめたんだろうってずっと思ってて、••だから断って…繁治さんとデートをしたら••」

「梨江子さん!!」

「!?」

普段から大声を出さないであろう孝輔から、いきなり大きな声で返された梨江子

「繁治を気になってことは知ってました。

恐らく、好きになったんだろうなって」

「・・・」

「それを踏まえた上で…春雄のことを嫌いになるのは待ってあげてください。あいつは・・・」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

同じ頃、三沙と春雄

「・・・・・」

「・・ねぇ、春雄さん」

「・・・はい?」

「いつまで落ちこんでるつもりですか?」

「落ちこんでなんか・・・悪いことしちゃったなって」

「誰に?」

「誰にって・・梨江子さんに決まってるじゃないですか。」

「そう思うのなら、面と向かって梨江子に言えばいいじゃないですか」

「無理ですよ」

「何でですか?」

「・・・彼女にもう目を合わせられないからですよ、それに繁治のことしかもう興味ない

じゃないですか」

「何でそう言いきれるんですか。リエがそう言いましたか?」

「・・・」

そう俯きながら下を向きなおすと、

「はっきりしなさいよ!!」

「!?」

三沙の怒鳴ったのに対し、ビクッとする春雄

「たった1回デート失敗したからっていつまでもウジウジしてんじゃないわよ!!」

初めて見る三沙の一面に戸惑いつつも、

「でも・・」

「でもじゃないわよ!自分のことを格好よく見せてばっかりいないで素直の気持ちをぶつけなさいよ、男らしくないわね」

再び俯きだした春雄に三沙は

「あなたがそうしないなら、もう私たち協力しないから」

「・・・・・三沙さん!!」

何かを掴んだ春雄を見つめる三沙

「俺、決めましたよ!」

「どうするの?」

「彼女を・・彼女に告白します!」

「・・そうこなくっちゃ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「って今頃、言ってる頃だろうな。」

「分かるの?」

缶コーヒーを片手に高層ビルを眺めながら繁治が話す。

対して友枝はボラードに腰掛けながら話す、

二人は少し離れた場所で休憩していた。

「孝輔のことだから、あいつを嫌いにならないでとか言ってるんじゃないかな。春雄は春雄で勝手に妄想していじけて怒られてるだろうし。」

「まだ、みんなと友人になって日が浅いから詳しくは知らないけど、まるで見てきたような口ぶりね。」

「まぁ、こういった場面も珍しくないし結構前にもあったんだよね。大学の時だったか

似たようなことが。」

「4人はいつから友達なの?」

「俺と春雄は大学から良太郎たちと知り合って、良太郎と孝輔は高校からの友人だったかな。二人はその頃からミュージシャンに憧れてバンドやって、大学で知り合った俺と春雄もバンド始めたんだよね。」

「繁治さんと春雄さんが演奏してたから分かるけど、あの二人もやってたのね。」

「うん。今は会社員でイメージがつかないだろうけど、あの頃の二人は凄かったんだよね。

ステージに立った時なんか特に。

色んなバンドマンたちも一目置いてたぐらいレコード会社の人たちも見に来てたから。」

「そんなに凄かったんだ、観てみたいわね。その内演奏とかしてくれないかな?」

「いや~こればっかりはどうにもならないな。二人ともずっと楽器から離れてるし、孝輔は触らせたら多少できるかもしれないけど、良太郎はもうやらないだろうな。」

「どうして?」

すると、周囲を見回した繁治。

「あんまり、大きな声で言えないけど良太郎、好きだった彼女がいてね。その彼女にフラれたんだよね。レコード会社のオーディションの日に」

「あら!?」

「案の定、ボロクソな結果だけが残ってバンドは解散。暫くの間、良太郎元気なくしちゃったんだよね。」

「みんなにとっても運命の日だったのね、

良太郎さんよく立ち直れたわね。」

「あいつその後、何やってもパッとしなくてさ。

俺らで話し合って、一人で海外旅行に行かせたのね、そしたら一気に元気になって。」

「へぇ、何か掴んだのかしら。」

「たぶん、外国の生活とか日常を感じ取ってきたのか気持ちも明るさを取り戻して、そこからは就職先も旅行関係に就きたいって誰よりも早く内定とってきたんだよね。」

「良太郎さんにとっては天職だったのね。」

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