何が何やら
場所がまた変わった。私は辺りを見回した。
今度は、廃墟となった村のようだ。屋根の上や木の上に、ゴブリンがいた。
何十匹もいる。全身緑色。手には石の斧を持っている。全員が歯を見せ、ニンマリと笑いながら、こちらを見ている。
私はまだ、尻餅をついていた。
前を向く。さっきの若者達が、土下座をしている。顔に傷を負っており、装備している鎧がボロボロだ。
血も流している。荒い息をしている。
「俺達が悪かった。お前の歌があったからこそ、俺達は強かったんだ。お前の補助があるからこそ、強かったんだ。今の俺達は、こんなゴブリン共も倒せない。戻ってきてくれ」
「はい、ストップ」
目の前にいる、土下座をしている勇者の首。高速で左右に振れている。全身が粟立った。
「もう少しですからね」
上を見る。屋根に登っているゴブリン。一体だけ、前を見ながら、両足を揃えて直立している。
なのに、前に進んでいる。足は全く動いていない。パッと消える。
すると、また元の位置に戻っている。
そしてまた、前に進んでいる。
「ひぃ……」
目の前で見ると、怪奇現象以上だ。まだ、怪物や幽霊の方が良い。受け入れられる。
ふと、漏らしていないか、股間を確かめた。
また、小さな画面が現れた。
「わかったよ、仕方ない」
私は、棒読みで言った。
「許してくれたぞ!」
四人が私を抱きしめる。同時に、ゴブリンが吠える。
「さあ、その竪琴で、俺達を強くしてくれ!」
ゴブリンが、一斉に襲いかかってきた。
私は、赤子のように、体を縮こませた。




